初めての入院&手術

〈DAY1-①〉

このたび、石を抱えていた胆嚢くんと、おさらばすることになった。
昨年末に、みぞおち部分の鈍い痛みや黄疸の症状があったものの、それ以降は全く平常通りの体調で元気いっぱい。私にとっては、お産以来の入院だ。

そんな元気な私の心配事は…
入院中の食事😆

入院前の先生の説明では、
「手術翌日の昼ご飯から食べられます」
そう、たしかに「翌日のお昼」…そう仰っていた。

私の手術は、朝イチ。
ということは、つまり、
手術当日の朝昼夕+手術翌日の朝、計4回の食事をスキップしなければならないということだ。

入院前から、主人にも子供たちにも
「こんなにご飯が食べられないなんて…辛い」
と、こぼしていた。
「手術なんだから仕方ないっしょ。それに、お腹痛くて食べられないかもしれないし。それくらい我慢しな」
と、娘にたしなめられた。

さて、吹雪の中、病院に到着したのは9:30。
この日は検査日で、摘出手術は翌々日。
私の算段では、初日の夜と翌日(手術前日)は、普通に食事ができることになっていた。

病室のベッドで待機していると、
担当の看護師さんが現れた。
若くて可愛い看護師さん。
娘より若そう。

ひと通り看護師さんの説明が終わったところで、
私は口を開いた。
「ご飯は、いつ食べられますか」

すると、
「今日は、ご飯食べられないかもしれませんね。もしかしたら、明日の朝も食べられないかもしれないです」

なんですって!
私はショックに打ちひしがれた。


〈DAY1-②〉

ご飯が…ご飯が食べられないなんて…。
もはや、私の頭の中は食事のことでいっぱいになっていた。

度々顔を出す看護師さんに、
「あの…飴も食べたらダメなんですよね?…あ、やっぱりそうですよね。いや、ちょっと聞いてみただけです。いいんですいいんです。手術しに来たんですから。ご飯のことばかり聞いてすみません。一体何しに来たのかーって感じですよね。ハハハ」

実は私、コッソリおやつも持参していた。
だって、1Fの売店には行けないんですもの。コロナ対策で。

予定時間を過ぎても検査は始まらず、時間を持て余している私。
たしか、デイルームには温かいお茶があると言っていたな。湯呑みを持って談話室へ。
すると、そこには1週間分のメニューが張り出されていた。
えーなにこれ、美味しそう。
これが食べられないなんて…。涙
私は意味もなく、そのメニュー表を写真に収めた。

次に現れたのは、師長さん。
「〇〇さん、こんにちは。師長の〇〇です」
「お世話になります。明日のお昼までご飯が食べられないんですね…」
と、しつこいくらいにご飯のことを聞く私😅
自分でも、こんなに食に執着する人だとは思っていなかった。
師長さんは、
「確認しますね」
と言ってくださったのだが
「いえ、いいんです。手術しに来たんですから。これで体重減ったらいいなぁ、ハハハ」

すると、ほどなく別の看護師さんがやってきた。
「〇〇さん、今日の夕飯も、明日の朝昼夕も食べられますよ」
おそらく、師長さんが伝えてくれたのだろう。

やったー!
…ということは、オヤツも食べられるって訳ね。


〈DAY2〉

2日目の朝は、TVの不具合から始まった。
イヤホンから聞こえてくるのは、BGMのみ。人の声は聞こえない。いや、宇宙人のような声が微かに聞こえる。まぁ、普段からTVはほとんど見ないからこれと言って不便は感じないけれど。

さて、今日は朝昼夕の食事は食べられるはず。
「昼食の時間です。感染予防のために手洗いをして下さい」とのアナウンス。

私は、同部屋の誰よりも早く手を洗い、温かいお茶も用意し、配膳しやすいようにカーテンを開けて待っていた。
いよいよ、私達の部屋の前に食事の入ったワゴンが到着した。

が、
しかし…

私のところに食事が運ばれることはなかった。

あれ?
急いでナースステーションに行き尋ねた。
「あの、私のお昼ご飯はないんですよね?ということは、お昼の薬は飲まなくてもいいのでしょうか」
あたかも、薬の確認に来ました…という風に。
すると看護師さんは、
「はい、そうです。お薬も飲まないでもらえますか?」

自分のベッドに戻り、いくつかの書類に目を通す。

あ。

「午後に検査を受ける方は、検査当日の朝食後は、検査が終了するまで食べたり飲んだりしないで下さい」の文言に、〰波線が付いている!!
私の確認ミスか!
しかし、待てよ。
私は、朝食を済ませた1時間後くらいに、少量のオヤツを食べてしまった。
どうしよう。。。
これは、黙っておくしかない。
検査は16時。
昨日みたいに、検査時間が遅れることを願うも、検査は遅くなるどころか、1時間半も早まってしまった。
看護師さんに、
「時間早くても大丈夫なんですか?」
と、一応聞いてみると
「お昼ご飯は食べていないんですよね?」
「あ、は…はい」
(朝食後にオヤツは食べましたけれど)
検査は、、、無事に終わった。
(たぶんバレなかった。ホッ)

初めての入院は、珍しいことばかり。
今日は、初めてのお風呂。
そして明日は、いよいよ初めての手術。
無影灯ってどんなだろう。
無影灯といえば、田宮二郎の「白い影」を思い出す。原作は、渡辺淳一の「無影燈」。
麻酔が効くまでの間、じっくり見ておこう。

あ。
ちなみに、
TVの不具合ではなく、
私が持ってきたイヤホンが壊れていたのだった。


〈DAY3-①〉

「目がキレイだね」「肌がキレイだね」「手足がスラッとしているね」など、身体的な特徴を褒める言葉は数多くあると思うが、

「いい血管ですねームッキムキ!」

こんな褒め言葉を言われる人は、そう多くはいないだろう。それを言われたのは、もちろん私。
褒められるということは、たとえそれが血管だとしても嬉しいものである。

その立派な血管から点滴を入れ、3時間後に手術は始まる。私は、この3時間が退屈、いや、もはや苦痛でしかない。

そんなこともあろうかと、私は事前に動画を用意しておいた。
それは「チェアバレエ」。

チェアバレエとは、バレエの動きを取り入れながら、椅子に座ったまま筋肉を鍛えられる運動のこと。スペースを取らず、足腰が弱い方でも無理なくできるのが特徴だ。

点滴棒の持ち手の部分にスマホを置き、ベッドに腰掛けながらやってみる。音声は、もちろんイヤホンから。

TV画面に自分の姿を映しながら、優雅に手足を動かす。カーテンを閉め切っているので、誰にも姿を見られることはない。
そうそう!私が好きなのはコレコレ!

…と、突然!

「〇〇さん」
という声と同時にカーテンが開いた。
現れたのは、私の執刀医。

私は、急いでスマホをお尻の後ろの方へ隠した。
先生は、昨日の検査結果のことや、これから行う手術のことを説明し始めた。
先生の目をしっかり見て、ウンウンと頷く私。
あ。
ヤバ。
耳にはイヤホン刺さったままだ。
私は慌ててイヤホンを剥ぎ取り、
「すみません!」
と先生に言った。

先生、ごめんなさい。
どんだけ図太い神経の患者なんだ!!…と思われたな、おそらく。


〈DAY3-②〉

いよいよ手術室へ。
5〜6人のスタッフがキビキビと動いている。
(ほぅ、これがよくドラマなどで見る手術室ね。いかにもって感じ)

身ぐるみを剥がされた私は、スタッフ総出で腕やら胸やらに器具を装着され、手術台に仰向けになった。無影灯は…私がイメージしていた天井に備え付けのものではなく、可動式のものだった。
おぉ!これが本物の無影灯か。

あれよあれよという間に、酸素マスクも装着。
「今から頭がボーッとしてきますからね」
という看護師さんに対し、
「もう眠るんですか?」
と聞く私。
「いえ、まだ眠りませんよ」

と言われたものの、たちまち変な気分に。
例えるなら、普段お酒を飲まない私が、お酒を飲んだ時に感じる、ポワワ〜〜ンとしたほろ酔い気分に似ている。
いつ眠くなるのかなぁ…と思ったのが最後。
右肩をトントンとされ「〇〇さん、手術終わりましたよ」という声で目が覚めた。
その間、2時間。

こうして、私の初手術は終わった。


〈DAY3-③〉

病室へ戻り、直ちに関係各所へLINEやメールを送った。意外に意識はハッキリしている。
そして、3時間後には自力で起き上がり、普通に歩くことができた。

私が受けた手術は、腹腔鏡手術。
おヘソ部分からカメラを入れ、腹部に2ヶ所穴を開ける。そこから鉗子を入れ、カメラの画像を見ながら胆嚢をチョッキン✂️
切った胆嚢は、金魚すくいの金魚を入れるような袋に入れて、ヘソから取り出すそうだ。

私が最も気になっていたこと。
それは、どんな胆石がどのくらい入っていたかということ。
術後に先生が持ってきてくれた!
ちょっと気持ち悪いので写真はお見せできないが、直径1〜2ミリの胆石が数個くっついて、一つの石のようになっている。
それが数十個!!
こんなんが、胆嚢に入っていたとは、恐ろしや恐ろしや。
手術室の看護師さんの話によると、いろんな形や大きさの胆石があるとか。

年末に体調を崩したのは、おそらくこの胆石が胆嚢からコロコロ転がり、胆道を塞いだものと思われる。黄疸が出たのは、胆汁が途中でせき止められたと考えるのが一般的だろう。

胆石ができる原因は、いくつかあるが、私は急激なダイエットも一因になっていると考えている。
そのダイエット方法とは、18時以降は食べない、というもの。たったこれだけで、1年間で9キロ減。(まだまだ十分デブだが)
食事と食事の時間が長いと、胆嚢に胆汁が留まっている時間が長く、石灰化しやすいそうだ。
就寝時間もAM1:00やAM2:00が当たり前。

何か思い切ったことをやらないと痩せることはできないと考え、実行した結果がコレだとは。。。
でも、健康について考える機会ができてよかったと今は思っている。


〈DAY4〉

手術が終わり、回復も順調!
不安や心配から解放されたせいか、昨晩はぐっすり眠れた…と言いたいところだが、むしろ目がランランとして眠れない。いつもの夜更かしモードへ勝手に身体がシフトしたらしい。
習慣とは恐ろしいものだ。

もうベッドで寝ているのも、ただ座っているのにも飽きてしまった。持ってきた3冊の本も読み終わり、退屈しのぎにあっちへウロウロ、こっちへウロウロ。

夕方、やっと点滴が外れた!

私は、待ち構えていたかのように、
カーテンを閉め、
スマホの動画を再生。
バレエのバーレッスンを始めた😅
もちろん、飛んだり跳ねたりはしていないが、
やはり、音楽に合わせて身体を動かすのは気持ちいい。早く、思いっきり身体を動かせる日がこないかな。

このベットから見える、様々な人間模様。
病院スタッフのみなさん、
本当にありがとうございます。


〈DAY5〉

今日は、朝からホワッホワの雪が降り続いてた。
軽い雪だけれど、雪かきが必要な雪の降り方だ。
しばらく外の空気を吸っていないけれど、外は寒いのだろうか。

今日は、明日の退院に向けて、レントゲン撮影と採血があった。
結果は「本当に手術したの?っていうくらい、何でもない」と、先生。
実際、自分自身でも「本当に手術したの?」って感じるほど元気だ。

バレエのバーレッスンの動画で、少し身体を動かす。汗が、じんわりと滲んでくる。
ほんの少しでも、身体を動かすとスッキリする。
「あまり無理しない方がいいよ」
と、同部屋の方。
はい。
そうします😊

好きなだけ寝れるのは、今日だけ。
今までなるべく横にならないようにしていたけれど、今日は少し横になろう。
…と、いつの間にかウトウト。自分のイビキで目が覚めたら夕食の時間だった😅

入院生活最後の夜。
今日は早めにベッドに入ろう。
夜勤の看護師さん、よろしくお願いします。
0時、3時の見回り、全部わかってるよ。
本当にお疲れ様、ありがとうございます。


〈DAY6-①〉

初めての入院生活も、今日で終わり。
朝食後、身支度を整えて病院を後にした。

11月に受けた健康診断で肝臓の数値に異常が見つかり、12月初旬の精密検査で胆石が見つかる。
それまで全く症状がなかったが、12/30に初めて症状が現れ1/21に胆嚢摘出。

肝臓は、今まで一度も健診で引っかかったことがなかったため、恐ろしいほど高い数値は何かの間違いではないかと思っていた。
しかし、やはり間違いではなかったのだ。

症状の出始めから胆嚢摘出までを振り返ってみる。

12/30朝
朝食後にみぞおち辺りに鈍い痛みを感じた。どうしたんだろう?と思いつつ雪かき。ここまでは異常なし。そのあと換気扇を掃除。いつになく身体がダルくてダルくて、上向きになってネジを止める作業が辛くて途中で昼寝。この捗らなさは歳のせいだと思っていた。何とか換気扇の掃除を終え、カーテンの洗濯。だんだんと調子が悪くなり、身体をくの字に曲げていないと歩けなくなる。夕食を作る元気も食欲もなく、スーパーでやっと買物を終えたあと布団に潜り込む。
もう、そこからは起き上がれなくなった。
熱を計ると37.2℃。
肝臓の専門病院での精密検査の時に「健診受けた時、みぞおち辺りの痛みとか、肩とか腰は痛くありませんでしたか?」
という先生の質問があったことを覚えていた。
そのため、この調子の悪さは肝臓から来ているものだとピンときた。もし、先生からこの質問がなかったら…私は胃に原因があると思っていたに違いない。実際、主人も「何か変なもの食べたんじゃないの?」と、全く肝臓を疑っていなかった。

31日
夕方くらいから調子が良くなり、動けるようになった。

元日
メイクをしようと鏡で自分の顔を見ると、白目が黄色味がかっていることに気がついた。
黄疸が出たことにより、これは肝臓に原因があると確信。赤茶色のひどい色の尿も、12/30から続いていた。身体中が痒くて掻きむしって傷だらけになった。

1/4
精密検査を受けた肝臓の専門病院を受診。
その病院には外科がないため、外科のある病院に紹介状を書いてもらう。

1/5
紹介していただいた外科の先生を訪ねる。

1/12
同病院の消化器内科の検査を経て手術日を決定。

1/21
手術。

1/24
退院。

振り返ってみると、実にスピーディー。
今思えば、12/30に症状が現れてくれてよかったと思っている。
同級生の医師の話によると、細かくてたくさんある胆石は、早く手術した方よいそうだ。


〈DAY6-②〉

今回の入院・手術を経て思ったことは、健康診断の大切さ。やはり、健康診断は受けるべきだと思う。そして、自分の健康を過信し過ぎないこと。これも大事。今までが大丈夫だったからといって、これからも大丈夫だという保証はない。今回、つくづく思い知らされた。

また、普段からの体力作り、これも重要なのではないだろうか。

私は、たとえ手術をしたとしても回復は早いのではないかと思っていた。体力には自信があったからだ。(これも過信??)
実際、手術を受けてみて自分の回復力には驚いている。

これは、先生の腕がよかった…ということもあるだろうが、週4でバレエのレッスンを受けてきたことも大きいと思う。5泊6日の入院中、じっと動かずにいることが辛かった。普段、いかに身体を鍛えていたかということを思い知った。

そして、医師という職業の素晴らしさと尊さ。
画像を見ながら臓器を取り出し、身体がきちんと機能するように整える。もう、私には到底考えられないことだ。簡単な言葉しか出てこないが、本当にすごいとしか言いようがない。改めて尊敬の念を抱いた。

また、入院しなければ知り得なかった、医療に携わる様々な方々。麻酔医師、病棟の看護師さん、手術室の看護師さん、薬剤師さん、お掃除の方、食事を準備くださる方、事務の方。
そして、それぞれの病と闘っている患者さんとそのご家族。様々な方々の姿を、ほんの少しだけだが知ることができた。

そして、
義父母や義姉、母や妹からは励ましの言葉を。
御守りを用意してくれた息子。
雪かきやご飯支度、洗濯など一挙に引き受けてくれた娘。多くは語らずとも心配してくれた夫。
こんな人たちに恵まれた私は、本当に幸せ者だと思う。

5泊6日の「初めての入&手術」は、これにて終了!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。








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