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「スタバの桜シリーズ」

3年前に書いたものです。もしよろしければお読みいただけると嬉しいです。

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仕事帰りのJRの車内。
大学生くらいの若者2人が、スタバの桜模様の紙カップを手に乗り込んできた。そっか、もうスタバは桜シリーズの季節なんだね。

桜シリーズと言えば、5年前に娘と一緒に食べた桜シフォン。
大学合格おめでとうの、ささやかなお祝い。悲喜こもごもの受験だったから、思い出すと胸がキュンとなる。

春と言って思い出すのは、自分の高校入学の頃。少し埃っぽい空気と、暖かく柔らかな日差し。これから始まる新たな高校生活へのワクワク。

そして、子どもが生まれてからは、スーパーの文房具コーナーに春を感じた。真新しいノートに鉛筆や筆箱。

それから、時は流れ、、、
去年の3月8日。
その日、私は札幌駅のドトールコーヒーで、1人静かにその時を待っていた。
間もなく息子からの着信。
「ねぇ、オレ落ちたの?落ちたの?」それは暗く沈んだ声ではなく、まさか信じられないという叫びのような声だった。
一浪した彼は、今年も不合格だった。
一足先に結果を知っていた私は、「どうやらそうみたいだね」としか言えず、駅のホームに立つ息子の横顔は、無表情で青白かった。

あの電話の声は、1年経った今でも はっきりと耳に残っている。私だけしか知らない、あの声。きっと、これからも忘れることはないだろう。

息子にとっての春は、どんなイメージなのかな。
そんなことを考えながら、最寄駅に到着。スタバのカップの大学生も、飲み終えたカップをゴミ箱に捨て、同じ駅で下車した。

駅構内にあるパン屋さんを覗くと、帽子を被ったエプロン姿の息子が、せっせと働いていた。
「オレ、バイトの時は真面目だよ」とこの前言ってたけど、オイ!真面目なのはバイトの時だけかい!!大学生活、思う存分満喫しろよ!

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