昭和10年の新聞をプリントしてみた〜88年前の雑誌広告欄が面白い
昭和10年生まれの父は、今年5月に88歳の誕生日を迎えた。
いわゆる米寿だ。
本来、数え年の昨年に米寿のお祝いをするべきだったのだろうが、家族の都合などもあり先日ようやくホテルのレストランでお祝いの会を開くことができた。
5人の孫たちも奇跡的に全員集合!さぞかし父も嬉しかったに違いない。
その祝いの席で撮ったスナップ写真を、写真用品店で取り扱っているフォトブック(ミニアルバム)に入れて、父にプレゼントすることにした。
ところが撮った写真を見てみると、どれも似たり寄ったりの食事のシーンばかり。
これではあまりにつまらない。
何か良い案はないかと考え、父の若かりし頃の写真や、生まれた日の新聞をプリントしたものも載せることを思いついた。
調べてみると、記念日新聞の自動販売機があることがわかり、設置されている新千歳空港国際線ターミナルまで出かけてきた。
100円玉を4枚入れ誕生日を入力すると、その日の新聞の一面がプリントされることになっているらしい。
ドキドキしながら新聞が出てくるのを待った。その当時(昭和10年)の新聞一面には、いったいどんな記事が載っているのだろう。
待つこと2〜3分。
取り出し口からA3サイズの新聞が出てきた。
すると…
私が想像していたものとは違うものが出てきた。
そもそも北海道新聞ではなく、北海タイムス(1998年9月2日廃刊)のものだ。
それも記事ではなく、新聞広告?雑誌の広告?のようなもの。パッと見た感じ、米寿のお祝いとしては相応しくなさそう。なんだ、ガッカリ…。
その日は、北海道新聞の休刊日だったのか、はたまたあまりに古くて保存されていなかったのか。
仕方ないので、両親の結婚記念日の紙面をプリントして帰ってきた。
家に帰り、改めて北海タイムスの紙面をよくよく読んでみると、実に面白いことに気がついた。
それは「婦人倶楽部」という雑誌の広告紙面だったのだ。
「婦人倶楽部」とは
以下Wikipediaより
『婦人倶楽部』(ふじんクラブ)は、かつて存在した日本の雑誌であり講談社が編集出版した。
1920年(大正9年)10月創刊、1988年(昭和63年)4月休刊。戦前・戦後を通じて「四大婦人雑誌」に数えられた。旧誌名『婦人くらぶ』。キャッチコピーは「女のよろこび 妻のしあわせ」。
紙面をお見せできないのが残念で仕方がないのだが、
タイトルだけでも書き写してみようと思う。
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・純情小説 女の友情
・恋愛小説 喘ぐ白鳥
・家庭小説 結婚の条件(菊池寛)
・時代小説 夢の浮橋
・歴史小説 千姫
・流行歌集
などなど。まだまだ書ききれないくらい。
横書きの文字は右から左へ書かれており、旧字体も多い。
88年前の雑誌なのに、取り上げる話題が現代とほぼ変わらないことにとても驚いた。
美容・健康・料理・洋裁・医療・小説・男女のいろいろ…
世の中は目まぐるしく変化しているように見えるけれど、人間の関心事は今も昔もそう変わらないのかもしれない。
『昭和10年といえば日中戦争が始まる2年前ですかね。時代のきな臭さは増していたのでしょうが、ある意味で「平和」を感じるラインナップでしょうかね』
私の書き写したものを見た知人は、こんな感想をコメントしてくれた。たしかに、仰るとおり!
新聞社からは、フォトブック掲載についてのみ著作物の許諾をいただき(著作保護切れのものでした)、この写真も載せて父にプレゼントできることになった。
早く喜ぶ父の顔が見たいものだ。