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娘がお姉ちゃんになった日〜あの時、わかってあげられなくてごめんね

Facebookに表示された7年前の今日の思い出。    これを読んで、とても懐かしい気持ちになりました。 

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今日の午後、車を走らせていると、息子を出産した産院の前を通り過ぎた。
ある光景が、一瞬にして映像を映し出すように脳裏に浮かんだ。

とても暑い7月の午後のことだった。

産まれたての息子に会いに来た主人と娘。その帰り、2階の窓に見える私に向かって、しまじろうの人形を手に、ニッコリと笑いながらバイバイしている娘の姿。当時2歳。事情をよく飲み込めないまま、主人に手を引かれて車に乗り込んだ。

脳裏に浮かんだのは、この光景。

お姉ちゃんになる、という意味は分かっていても、これから始まる生活のことなどは、想像すらできなかったに違いない。

上の子の宿命とはいえ、今まで愛情を独り占めにしていた生活とは一変。
我慢しなければならないことも増えた。

私は私で、新しい生活に慣れることに必死で、全く余裕が持てなかった。

退院してしばらく経った ある昼下がり、私は息子をベビーバスで沐浴させていた。

私が手を離せないことを分かっていた上で、娘はわざと洗面器の石鹸水を両手で絨毯の上にばらまき始めた。
それも、ニコニコしながら楽しそうに。

いくらたしなめてもイタズラをやめる気配はない。私は怒りのあまり、片手が空いたスキにボックスティッシュを手に取り、それで娘の頭を叩いた。

きっと娘は構ってもらいたかったんだ。そう気づいたのは、数年後。

夜、子供2人と添い寝をする時も、娘が見るのは息子に授乳している私の背中。
当時、私のその背中の向こうから「お母さん、しつけってなあに?」と聞いてきた娘。お母さんの背中を見ることが、自分に対する「しつけ」だと思ったのか。今でも、背中しか見えなかったのが悲しかったと言っている。

なかなか娘の気持ちを汲んであげられなかったことが、今でも申し訳なく思う。

もしかしたら、今もなお、気持ちを分かってあげられていないんじゃないかとも思う。

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そんな娘も、まもなく27歳。            時の流れはなんと早いものか。           彼女が新しい家庭を築く日も近い。


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