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27歳〜私と娘それぞれの雪かき

本格的な冬到来

いよいよ本格的な雪の季節がやってきた。

昨日も、子供たちの住む札幌や旭川では、一面雪景色の様子がテレビに映し出されていた。

視線をテレビ画面から窓の外に移す。

道路は相変わらずアスファルトが見えているし…というか夏場と変わらず、まったく雪は積もっていないし降ってもいない。スニーカーで普通に歩ける状態。

ふふん。

ちょっと得意気に鼻を鳴らす私。
ここ苫小牧は、札幌からおよそ70キロしか離れていないというのに真冬はまったく別世界だ。

娘からのLINE

そんな意味不明な優越感に浸っていると、娘からLINEがきた。
「雪めっちゃ降っている時、お母さんは朝から雪かきしてた?ここに引越してきてから初めての雪で、どこに雪を捨てていいかわからないし、朝早く起きれないし、雪かきのことを考えたら朝から憂鬱だわ」

そうだよねー。
今まで親と暮らしていた時は、雪かきなんて滅多にしなかったものね。
雪を下ろして温められた車で、優雅に送迎されていた身だもんね。

新婚時代の非効率な雪かき

そんなLINEを見て、結婚して間もない自分のことを思い出した。今の娘と同じ27歳頃のことだ。

当時、私たちは主人の会社の人が紹介してくれた、古い一軒家に住んでいた。
古いも古い、夏場には羽アリが大量発生し、スイカの種が落ちていると思ったら、それはわらじ虫だったり。お風呂はタイルで、キッチンはキッチンというより「流し」というにふさわしいような、トタンでできた浅くてボコボコとあちこちに凹みがあるようなシンク。居間の中心には、煙突式のストーブ。
タイムスリップしたかのようなレトロ感満載の家。
何が悲しくて、こんなボロい家で新婚生活を始めなくてはならないのかと思いながら暮らしていた。

近所の臨床検査センターでパートをしていた私は、パートから帰り、夕飯の支度をして主人の帰りを待っていた。その日は、苫小牧にしては珍しい大雪。夜になっても、まったく止む気配はない。

そんな日に限って、待てど暮らせど主人は帰ってこない。このままだと、主人が帰ってきても家の前の駐車場は雪まみれで車を停めることはできないだろう。

私は観念して雪かきをすることにした。
娘と同じように、独身時代はほとんど雪かきなどしたことがなかった私は、
"雪かきなんて、ただスコップで雪を避(よ)ければいいんでしょ?"
と、気軽に考えていた。
しかし、そんな甘い考えはいとも簡単に打ち砕かれることとなった。

まず私は、雪かきスコップで雪をすくい、それを前方に投げる。ひたすらそれを繰り返していくと、たちまち前方が雪の山になってしまった。
そして、その前方のうず高く積もった雪を、上の方からすくいあげ、さらにその前方へ投げる。

想像できるだろうか。
雪の山を少しずつ前方に移していく、それもその山は少しずつ高くなっていくーなんと非効率な雪かきなことか!
たちまち私は、そのうず高く積もった雪に囲まれる格好となった。

真っ暗な中、電柱に灯るオレンジ色の電球が、もやっと光っている。
「これは、いつ終わるんだろう」
私は、1人泣きそうになっていた。

すると、そこへ救世主が現れた!
見るに見かねたお隣の奥さんが出てきて、サッササッサと見事な手さばきで、雪の山を片付けてくれた。

あの時の感動は、今でも忘れられない。
そして、まだまだ未熟だった自分の姿のことも。

その後、札幌と苫小牧の引越しを繰り返し、雪かきもすっかりお手のものとなった。

雪かきは慣れだから心配しなくて大丈夫

だからね、娘もきっと大丈夫。
雪かきは慣れだから。

しかし、娘、意外と周りのことを気にする子だったのね。一緒に暮らしていた時は、雪かきのことなんてちっとも気にしていなかったのに。自分で生活するとなると、やっぱり自然とそうなるよね。それでいいんだよね。


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