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おにぎりとごま団子 お財布を忘れた私のお昼休みの出来事とは

お財布を忘れて仕事に出かけてしまった私は、
残金150円のKitacaで買ったおにぎりを、
デパ地下のエスカレーター横のイスに座って食べていた。

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すると、70代後半と思われるご婦人が、私の横に座り「すみません。この蓋を開けていただけませんか?」と、私にペットボトルを差し出した。
ご高齢のご婦人には、固すぎる蓋だった。「ありがとうございます」と、そのご婦人も食事を始めた。

私も「かくかくしかじかで、今日やっとおにぎり一つ買えたんです」などと、世間話。

すると、そのご婦人は、
「これ、もしよかったら食べてください」と、今ここのデパ地下で買ったばかりと思われるごま団子を私に差し出した。3個買ったうちの2個を!

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何度か丁寧にご遠慮申し上げたが、何度も勧めて下さるので、遠慮なくいただくことにした。

「すみません、ごちそうさまです」
「いえいえ、これも何かの縁ですから」

そのご婦人は、17年間自宅で介護した103歳のお母様を、最近見送ったとのこと。

施設に入るのが嫌だと言って、ご自宅でテレビ見たり新聞読んだり。毎日日記を書き、いつ誰が訪問したかなど、ご家族の皆さんは全部お母様に聞いていたとか。

「お母様、幸せでしたね。(長々に渡る介護は)なかなかできることじゃないですよね」

そのご婦人は、椅子から立ち上がり 膝をさすった。

「母は、103歳まで毎日日記を書いて頑張っていたんだから、痛いなんて言ってられないわね」
そう言いながら、
「それでは」と、立ち去った。

17年間…一口に言うには、あまりに長い時間。私には想像を絶する。どれだけのご苦労があったことか。

お財布を忘れたお陰で、こんな素敵な一期一会。ひょっとして、このご婦人に会うために、私はお財布を忘れたのかもしれない。

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