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無いものは出せない

今朝、AM5:00に起きてリビングに行くと、すでに主人は起きていた。

そして、起き抜けの私に向かって
「あのー、前に使ってた大きな袋ある?」と。

"前に使っていた大きな袋"というのは、
主人が単身赴任をしていた時に使っていた、プルーシートのような生地でできた、マチのある大きな袋のこと。これに1週間分の洗濯物を入れて単身赴任先と自宅を往復していたのだ。掛け布団1枚くらいなら4つ折りで入るくらいのサイズ、と言えばわかりやすいだろうか。

私は、下りてきた階段を再び上がり、その大きな袋を探しに行った。
なにしろ私は起き抜け。
まだ頭がボーっとしている。
そして、以前それがあった場所に向かった。

なぜ、"以前それがあった場所"と過去形になるのかというと…
私はその袋を"捨ててしまった"自信があるからだ。
捨てた、というからにはそれなりに理由がある。
それは、その袋のファスナーが壊れていたことと、1週間分の洗濯物を運ぶ必要がなくなったからである。

心のどこかで「ひょっとしたら捨てたのは思い違いで、まだ残っているかも」という淡い期待を抱きつつ探してみるも、やはり無い。
私の記憶は正しかったのだ!

主人に「捨ててしまった」と言いにくい私は、無いとわかっていながらも、それを探している風に時間を稼ぐ。主人から「無いならいいぞー」という声が掛かるまで。

しかし、待てど暮らせど主人からの天の声は聞こえてこない。私はいつまで無いものを探し続け(るフリをし)なければならないのだろうか。

こうなったら、その袋の代用品を探さなければ!手ぶらでリビングに下りていくわけにはいくまい。

代用品として白羽の矢が立ったのは、折りたたみマットレスが入っていた袋と息子が小学校の修学旅行で使ったバッグ。私はそれらを手に取り、ズリズリと引きずりながらリビングに戻ってきた。

「ないのか?」
という主人に、
「うん。。。その袋ね…捨てた自信あるんだ。これじゃダメかな」
と代用品をそっと差し出す。
主人はそれらを一瞥したあと、
「ディズニーの大きな袋とかないの?」
どうやらこの代用品ではご満足いただけないらしい。
その主人の言うディズニーの袋も、表面のビニールが浮いてきて見栄えが悪かったので"捨てました"。

元々、捨て魔な私。
部屋をスッキリとしたければ、物を処分するしかないという考えの持ち主。
そんな私は、この家に引越ししてきた際に、さらに処分してきたのだ。
特に紙袋やビニール袋は、使わないのにため込むことが多いため、私の中では"処分するものランキング"で常に上位に入っている。

話が逸れてしまったが、結局、無印の巨大な袋が見つかり一件落着。

…と、思いきや、
「あのー」
と、再び主人が私の顔を見た。
(えぇ〜〜💦一体今度はなに??)

私は、主人から次の言葉が出てくるのを固唾を飲んで待った。

そして、主人が口を開いた。
「前にお母さんが誕生日にくれたソメスサドルのベルトが入っていた袋、ある?」

主人のその言葉を聞いて、私はホッと胸を撫で下ろした。
ありますともありますとも。
ついこの間のことですもの。
ずいぶん立派な巾着だったので、ちゃんとしまってありますとも。

私はすかさず引き出しからそれを取り出し、ドヤ顔で主人に差し出した。

ねぇ、お願いだから出かける直前に「無いものを出せ」とか言わないでね。
こちとら心の準備というものがあるんだから。
そして、無いものは出せないんだよ😬

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