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医療現場での一コマ 知命の独り言 #13
看護師になって30年以上経ち、日々現場で患者さんの病気と向き合っていますが、どうしても「効率」というものを考えて、感情が鈍感になりがちなのかもしれません…。
先日、勤めているクリニックの休日当番がありました。
うちのクリニックはスタッフがそれなりに多いので、休日当番日もローテーションで、看護師は大体1年に1回のペースで回ってきます。
外科系を担当するので、普段とは違い様々な外科系(外傷が主)の患者さんが訪れます。
外傷ということで、転倒した、刃物で切った等で血まみれで受診される方も多いです。
慣れというものと、仕事柄というもので、多少の出血には特に感情が揺れることもなく、たんたんと処置をします。
頭の中では、既に患者さんが全てを終えて帰られるまでのルーティンができているので、サクサクと勧めていきます。
休日当番日は対応するスタッフの人数も減るので、効率よく動かないと来られる全ての患者さんに迷惑がかかるのです。
申し訳ない話かもしれませんが、患者さんの感情面のフォローが追いつかないところもあります。
怪我をして治療を嫌がる大号泣の患児を優しく宥めるよりも、「頑張れ」と言いながらガッチリ押さえて処置がスムーズに運ぶようにするなんてことも。
親御さんからみたら、(もっと寄り添ってよ!)なんて思いもあるかもしれません(・_・;
しかし時間は有限です。
一組の患者さんに要する時間が短ければ、他の患者さんを受け入れるスペースも生まれるのでご理解いただきたいというのは、医療側のエゴでしょうか?
しかし、先日は頭痛を訴え、自力歩行で奥様と来られた患者さんがおられました。
検査の結果、「くも膜下出血」と診断を受け、急遽総合病院への救急搬送の為に処置が始まりました。
患者さんをベッドで安静にさせ、点滴を留置し、再出血を防ぐ為に血圧コントロール、鎮静をかける為に薬剤を入れていく処置です。
転院搬送のための準備も同時進行ですし、他に待たれている患者さんの把握も必要ですから、頭の中と身体はフル回転。
そんな中、ふと患者家族に目を向ければ、病名を告げられ不安で一杯の様子。
当然です。
一般的に「くも膜下出血」と聞けば、命の危険も伴う病気ですから、医療に携わることのない一般の方から見ればパニックでしょう。
しかし、院内ではゆっくり家族に寄り添う時間もありませんでした。
声をかけるにしても、転院搬送に必要な情報を聞いたり、必要な書類を書いてもらったりすることがメインになります。
転院搬送には、看護師も付き添う形となり、30分程度の救急車での搬送道中、ご家族の隣にいた私。
隣で他の家族と連絡をとっている奥様の顔は真っ青で、鼻を啜っておられる。
そこでようやく彼女の不安に寄り添う時間がとれました。
声をかけると、次から次へと質問をされ、それに答えていく形で、彼女の不安が少しでも減ればいいと思いながら。
実際に彼女の不安が解消されるのは、無事に手術が終わり、元気な姿で家庭に戻ったご主人を見た時でしょう。
医療現場で様々な病気と向き合ってきて、咄嗟の時にパニックにならずに対応できているのは、患者さんはあくまで患者さんで、他人であるからです。
もちろん、患者さんのために動いているのですが、冷静でいられるのは、やはり自分は他人だからだと思います。
これが家族ならいくら医療知識があっても、パニックです。
「看護師だから平気でしょ?」と思われるかもしれませんが、とんでもない。
冷静という言葉なんてどっか飛んでいってます。
医療従事者である自分すらそうなるのです。
医療知識のない方が不安に震えるのはごく当たり前のことですよね。
今回くも膜下出血の患者家族の方を担当して、いくら休日体制でスタッフが少なかろうが、改めて患者家族への不安の軽減のフォローもしていかなくてはと改めて思わされる一件でした。
その為には知識とスキルのアップ。
医療というものはこれで勉強が終わりというものがない…もちろんそれは医療に関わらずですが。
衰えていく一方の脳細胞の活性化を図るサプリを開発してほしい…
切実に願う私でした。
あ、あと老眼に効くサプリも!!