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息を忘れるほどのミルク

一昨日、子どもを産んだ。

明け方の破水に始まって、誘発剤等を使って50時間以上の陣痛を耐えた末の帝王切開で出産した。

そうして産まれた息子は今、NICUに入院している。「新生児無呼吸発作」だそうだ。医師によると原因はいまいちよく分からない為、取り敢えずNICUで経過を観察している状態だそう。息をせずに酸素濃度が下がってしまう状況が何度かあるようで、ほとんどが呼吸せずにミルクを一気飲みしてしまう場合だそうだ。

「食にがめつい」と言えば一気に緊張感が無くなってしまうし、笑い話になってしまいそうなのだが、息子の入院手続き、病状説明、助成の申請、日常のお世話、搾乳等を病院で独りでこなしているとなんだか大きな不安に押し潰されそうになる。コロナ禍の為、祖父母はおろか夫の面会もできない。そのため、息子を育てていく上での必要なことを全て私独りで聞かなければならない。たとえそれが、「ミルクを飲ませる時は、時々哺乳瓶を口から離して息をすることを思い出させてあげて」という、おいおい息子よ…と思う話でも。

こんなミルク一つで呼吸を忘れてしまう様な生物を、私は生かし続けることができるのだろうか。(だって授乳は3時間おき!)今は親身に助けてくれる看護師さんも、退院すれば居なくなる。くしくもコロナ禍、夫は面会には来れず息子の病状?とケアを一緒に分かち合うこともできない。なんだか息子と2人、足場の無い真っ暗闇に放り出された様で心許ない気分だ。

まさかミルク一つでこの先の生活に絶望することになるとは思わなかった。早く夫に会って、このしんどさの半分を押しつけてしまいたい。

とりあえず息子よ、食にがめつい男はモテないと思うので、ちょっと控えてほしい。


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