ベランダから愛をこめて。

家の道路を挟んだ向かいの家
に90歳のお婆ちゃんが一人で
住んでおり

2階のベランダが向かい合わせ
なんで、洗濯を干すタイミング
が合えば、お婆ちゃーんと
大きく手を振ってみます。

おはようー！さむいなー！

私の小声ボリュームも最大に
朝から発声練習並みのシャウトで

4.5メートルある距離感
見えてる？聞こえてる？と
思いながら

不思議なもんで同じ音量で
話しても届く時と届かない時
がある。

今日は見えたのか聞こえたのか

おはようと手を振り返してくれた。

元気か。足大丈夫か。と
私の方が心配されてる節さえあり。

洗濯を干す背中は私よりも
肉厚があり男前にさえ見える。

まだこの地に引っ越して来て
1年半余りですが

お婆ちゃんとの生存確認の
会話は何とも楽しい。

「　老いるショック　」

みうらじゃんさんの造語に
深く共感しつつ

老いることに今まで出来たこと
が出来なくなったり

あったものが無くなったりも
することもあるかもやけど

老いることは悲しいこと
でもなく

心はどんどん自由にする
ことは出来る

歳を重ねていく度に
今まで生きてきた体験を
讃え合うことができる

今までよくがんばって生きてきたな

あの時もこの時も
乗り越えてきたから今がある

歳を重ねるって
褒める数しか増えていかない

私達の今を精一杯生きて
創造してきてくれた先輩さまへ
敬意と感謝をこめて

自分を讃えるひとときを
どうか過ごして頂きたい

わたしも生涯そうありたい

そんなベランダ越しに見える
90歳のお婆ちゃんに愛をこめて