実習について②:実習先はどうやって決まる?
前回の記事 実習について でBSUでの実習について概要を書きました。今回は、どのように実習先が決まるのかをお話しましょう。
BSUでは一人の教授がクリニカルコーディーネーターとしてundergradもgradもプログラム全員の実習先を決定し、各プリセプターとの橋渡しをしてくれています。つまりその教授にすべての権限があるのです。
実習先が決められる要因としては、①住んでいる場所からの通いやすさ、車の有無 ②生徒の能力・実力 ③生徒の進路・希望などが挙げられます。
では一つ一つ詳しく見ていきましょう。
①住んでいる場所からの通いやすさ、車の有無
都市部に近いと言ってもやはりアメリカなので、電車でどこへでもアクセスできるわけではありません。特に大学なんかはまわりに何もないようなところにキャンパスがあることも多く、車は必須です。高校でも同じです。
私は最初のセメスターではまだ車を持っていなかったので、自分の学校であるBSUで実習をしました。また、少ないとはいえもちろん電車で行ける場所もいくつかあります。ボストン周辺はsubwayが結構細かく通っているので、キャンパス内に駅があるcommuter railという電車を使って、ボストン方面に乗り継いで通える大学やトレーニング施設などの実習先があります。
さらに車で30分以内くらいの近い場所だと、車を持っている生徒にライドを頼むていで自分は車がなくてもそこにアサインされる場合もあるようです。私のクラスメイトは以前それでしたが、大体は自分のクラスメイトではなく他の学年の子と実習先が重なるので、車を持っている子と授業の時間が違ったり、その子はバイトをしていたり、その子が入院したり(!)で、自分の予定にあわせて実習に行けないのでかなりストレスだと思います。現に前述の友人もこんなん無理、とその次のセメスターから車をレンタルで入手していました。
また不可能ではないですが、BSUより南のRoad Island州に住んでいる子がBSUよりさらに北のBoston方面の実習先に通うのはかなり遠いので、RIに住んでいるならRI内の実習先になることが多くなると思います。
②生徒の能力・実力
クリニカルコーディネーターもよく言っていましたが、希望したからといって誰でも数が限られたDivision1の大学に実習に行けるわけではありません。やはりD1の大学は忙しく、学生たちの面倒をそこまでゆっくり見てあげられる余裕もないので、学校で習った基本的な知識やスキルは当然知っている、できる前提で扱われます。また求められるものも高く、実習を生活の優先順位の一番に置いて週6で来るように、などと拘束時間も長い傾向にあります。
今の時代女性だからといってD1のフットボールやプロのチームには実習に行けないということはありません。でも、若干、男子のほうが有利といえば有利だと個人的に見ていて感じています。肉体労働でもあり、ロッカールーム問題も多少は関係しているかもしれませんしね。男子チームに男性ATSを配置したほうが、まぁ都合はいいのではないでしょうか。
クリニカルコーディネーターはがっつり私たちの授業も教えています。だから各実習先のプリセプターからの評価だけでなく、彼女自身も私たちの授業中の様子やテストの出来も含めて生徒の能力を知っています。どれだけ実習先でうまくやっていても、勉強していない子はバレています。
③生徒の進路・希望
卒業後高校で働きたい、大学で働きたい、クリニックで働きたい、あるいは野球がいい、フットボールがいいなどの自分の目標や目的がそれぞれあると思います。そのような希望は、きちんと言えばちゃんと考慮してくれます。
面談の時間などは特にありません。だから自分の意見は自分からアポをとって伝えに行くべきです。また彼女は文書も用意してくれていて、「今まで学んだこと」「これからもっと伸ばしたいところ」など提示された項目にそって希望をまとめて提出する機会も設けてくれていますが、これもoptionalです。
私は去年の今頃、相談と言う形でクリニカルコーディネーターのオフィスに行き、2年目の秋は絶対に大学でフットボールを見たいと希望しました。それを聞いて彼女も意見を言ってくれ、それは確かに、と思うこともあれば、いやでも、とさらにdiscussionすることもできたので、もちろんconfirmするために後で文書での希望もしっかり出しましたが、ちゃんと話をして自分のビジョンに向けたアドバイスを直接もらうことはとても大事だと私は思います。
ここからは余談ですが、クリニカルコーディネーターの教授ももちろん人間です。彼女との関係性はいいに越したことはありません。明らかに嫌いな生徒とかはさすがにいないとは思いますが笑、実習先が全く思い通りにならなかった、めっちゃ遠いところにされた、という文句も周りから非常によく聞きました。
もちろん彼女も生徒一人ひとりがベストな実習の経験を積んで社会に出て行ってほしいと願っているでしょうが、60人もの生徒に個別にオーダーメイドの実習先をアレンジする仕事もなかなか大変だろうと思います。自分の意見を礼節を持って主張して、チャンスを与えてもらえるように実力を証明するのは自分たちの責任だと私は思います。
実習の話、いかがでしたか。また時間を見つけてこちらのマガジンにも記事を増やしていこうと思います。