Creepy Nuts 聞き方 指南
普段からCreepy Nutsが好きだと言っていると、「Creepy Nutsに興味があるんだけど何がオススメ?」と聞かれる場面が増えてきた。
この曲が好きならあの曲が好きかな方式でオススメしたり、ライブDVDつきのアルバムを貸してみることもある。※最後に補足
(今回の本題は「歌がはやくて歌詞が聞き取れない」からスタート↓)
さて、この後が問題。
ヒップホップをあまり聞いたことがない人は「ヒップホップをどう聞けば良いのか分からない」という問題に遭遇する。そういう自分もヒップホップの聞き方やハマり方が分からないという問題に遭遇した。
・歌がはやくて歌詞が聞き取れない
・ヒップホップを聞く時の注目ポイントがわからない
・韻をどう踏んでいるかわからない
・聞き慣れない単語が出てくる
このあたりがヒップホップを聞く時のハードルになっているように思う。オススメポイントを伝えてから聞いてもらっても「うーん、歌詞がはやくてあまりよくわからないなぁ・・・」というリアクションになることが多い気がする。
もちろん「この曲、なんとなくいいな」という聞き方も良い。ただヒップホップを聞く時のポイントが分かれば、もっと楽しむことができる。(それはきっとCreepy Nutsの敬愛するRHYMESTERが『B-BOYイズム』で言っていた「俺たちだけに聴こえる特殊な電波」だと思う)
今回は…
Creepy Nutsの曲を紹介しながら「ヒップホップへの入り口のハードルを下げる」ことと「ヒップホップの楽しみ方」を中心に説明。今回はあくまで楽しみ方の一つを個人の解釈を交えながら解説するだけなので、もちろん楽しみ方は、みんなちがって、みんないい。
なので「Creepy Nutsの定番曲、そこはおさえておこうよ」っていう話からズレるかも。というよりも、Creepy Nutsが常に変化しているからこそ、この曲をおさえておくと良いって話を、今したところで未来になれば「あの時のCreepy Nutsはもうそこにゃ居ない」ってことになる可能性がとても高い。
ただ、「アルバム1枚を聞いてみるならどれがオススメ?」ともし聞かれたら自分なら『よふかしのうた』と答える。聞きやすいけれど、とても聞きごたえがあって一生聞けるアルバム。(6曲中5曲にMVがあってYouTubeでも見られるのでそういう点でも聞きやすい。6曲入りだからミニアルバムというくくりになっているけれど聞きごたえはフルアルバム以上の満足度。)
各種配信サイトへのリンク↓
ラジオ盤のCDアルバムだとラジオみたいなトークが聞ける↓
ここから今回の本題。
それぞれの問題をどう解決すれば良いのか。
歌がはやくて歌詞が聞き取れない
→歌詞カードとか歌詞付きのMVを見る。曲を聞き続けると耳が慣れてくる。
世の中にはリリックビデオや歌詞が見れるMVがあったり、インターネットで歌詞を検索するとすぐ見れたり・・・歌詞を見ながら曲を聞くというのが解決策の一つでヒップホップへの入り口のハードルを少し下げてくれると思う。歌詞を見ると言葉が聞き取りやすくなるし、いろいろな曲を聞き続けると耳が慣れてきて歌詞を見なくてもある程度は聞き取れるようになる。
歌詞が見れるMVでオススメの曲は『阿婆擦れ』
愛するお前を振り向かせるために血迷ったり道に迷ったりしてみたけれど結局はお前に振り回され続けているという曲。
この歌詞に登場するお前とはヒップホップのことで、自分だけのものにならない魅力的な女性という意味でヒップホップを阿婆擦れと表現している。
ライブでR-指定さんが「ヒップホップって人間やったらいい女やと思います」という内容の話をすれば、次は「阿婆擦れ」だと予想ができる。
『阿婆擦れ』は最初の方でオススメしたアルバム『よふかしのうた』に収録されている。
※この後も、この曲はこういう表現になっていて…とか、こういう韻を踏んでいて…とか、少しネタバレっぽい話をします。
リリックビデオの紹介、気になる方はぜひ(Creepy Nutsの曲とR-指定さんが客演した曲を1曲ずつ紹介)↓
ヒップホップを聞く時の注目ポイントがわからない
→言葉遊びに注目。過去の作品を知ることでより楽しめる。
ヒップホップというと韻のイメージが強いかもしれない。韻の話は後ほどするとして、韻とかフロー(歌いまわし)とか分からなくても楽しめる言葉遊びがある。
-言葉遊び1. ダブルミーニング
『紙様』
ライブでは曲の冒頭からDJ松永さんがキレッキレのスクラッチをしてR-指定さんは「皆さんお金は好きですか〜」と観客を盛り上げてとてもライブ映えする1曲。
YouTubeで『紙様』が聞けるのは『クリープ・ショー』のティーザー映像の1:43〜2:10ぐらいかな。(↑再生ボタンを押すと紙様のサビが聞ける)
この曲のサビではお金に関する言葉遊びがある。
太字にした部分でダブルミーニング(日本人古来の言い方だと掛詞(かけことば))の言葉遊びをしている。
No、グッチ ヒデー男
→ 野口英雄(千円札)
一応
→ 樋口一葉(五千円札)
行き違い
→ 福沢諭吉(一万円)
ラストのサビは縁と円でダブルミーニング。
ライブだとラストのサビの円(縁)に合わせてあるささやかな演出が・・・それはライブで遭遇するお楽しみってことで。
『紙様』が収録されている『クリープ・ショー』のSpotifyのリンク↓
amazonのリンク↓
-言葉遊び2. 数字
『板の上の魔物』
曲の最初の方(MVの0:48頃から)、数を数える言葉遊びがされている。
太字にした部分で一巻から十巻まで数えている。
一巻、時間→二巻、参観日→三巻、予感→四巻、五感→五巻、無冠→六巻、死ななアカン(曲中の発音は「死ななかん」)→七巻、発汗作用→八巻(夜間飛行の部分も八巻という解釈もある)、急患→九巻、実感→十巻。
『板の上の魔物』は漫才を題材にしたドラマ「べしゃり暮らし」のオープニングテーマで使われていた。「べしゃり暮らし」の原作が漫画なので一巻から十巻まで数えたのかなと思う。
『板の上の魔物』は他にも上手い表現のオンパレードで…あれ…MVを見たけれど歌詞の記憶が…。Creepy NutsがMVで「大物ミュージシャンになったら」ってコントをするから…「俺の感受性ならば尾崎」って表現をするぐらいの照れ屋ぐあいを発揮してMVのインパクトをMAXにするから…歌詞がMVのインパクトに呑まれそうになってるから…。
『板の上の魔物』は最初の方でオススメしたアルバム『よふかしのうた』に収録されている。
-過去の作品を知ることでより楽しめる
ヒップホップでは過去の曲や音源の一部を引用し、再構築して新たな楽曲を製作するサンプリングという方法がよく使われる。
過去の作品を知ることでより楽しめる曲として紹介したい曲は『スポットライト』
曲の最後の方(MVの3:07頃から)で過去の作品名が登場する。
『使えない奴ら』
『使えない奴ら』はR-指定さんのソロアルバム『セカンドオピニオン』に収録。
『トレンチコートマフィア』
もともとDJ松永さんのソロアルバム『サーカス・メロディー』に収録。
後にCreepy Nutsとして出したアルバム『クリープ・ショー』にも収録。(途中で紹介した『紙様』も収録されている)
『たりないふたり』
R-指定さんは「山里亮太の不毛な議論」、DJ松永さんは「オードリーのオールナイトニッポン」のラジオのリスナーで、南海キャンディーズの山里さんとオードリーの若林さんがやっていた「たりないふたり」からタイトルをオマージュした1曲。ジャケット写真は山里さんと若林さんの「もっとたりないふたり」のオマージュ。(後に山里さんと若林さんの「さよならたりないふたり」のためにCreepy Nutsが曲を書き下ろすという熱い展開があった。)
Creepy Nutsの『たりないふたり』のジャケット写真はテークエムさん(R-指定さんが大阪のラッパー仲間たちと組んでいる梅田サイファーのメンバーの1人)のデザイン。梅田サイファーは『マジでハイ』とか『トラボルタカスタム』とかどの曲もどちゃくそイカしていて、テークエムさんのソロアルバム『XXM』は名曲ぞろいだしR-指定さんも客演している『それじゃ無理』とかもハンパない。
脇役→『助演男優賞』
映画のサンプリングとかを見つける楽しみもあるけれど、そういうの抜きで楽しい一曲。
(あくびが出るぐらいどうでもいい補足)今回のnoteのタイトル『Creepy Nuts 聞き方 指南』は「メジャーデビュー指南」の指南の部分を拝借。
韻をどう踏んでいるかわからない
→聞いているうちにわかるようになる。韻はなんとなくわかればOK。
韻を踏む = 母音(アイウエオ) を合わせる ということ。
韻は英語だとライム<RHYME>という。
「ライム」や「マイク」や「ライブ」は"アイウ"の母音で韻を踏んでいる。
学ぶより慣れろ方式が良いという方は「(曲名) 韻 考察」とかでインターネットで調べてみるのがオススメ(載ってない曲も多いとは思う)。同じ韻を踏んでいるところを色付けとかしてわかるようにしていると思うので、それを見ながら曲を聞くと、「こことそこで韻を踏んでるのか!」というのがわかる。聞いているうちに耳が慣れてくると「こことそこで韻を踏んでる!」というのを自分でわかるようになる。
韻の紹介…どれにしようかな…
平成1ケタ生まれが歌詞を冷静に見とけない歌でも紹介しようかな…
『中学12年生』
曲の最初
太字にした前半は母音が"ア"の部分のみ変えながら"アッエアウ"で韻を踏んでいて、後半は"エンエイ"(鉄線は"エ○エイ"※○は不規則)で韻を踏んでいる。
曲の途中
このあたりの歌詞とか平成1ケタ生まれが、うぁぁぁってうめきたくなるような単語なん兄弟なんや。
曲最後
太字にした部分は発音的に"イアオウーオイア"で韻を踏んでいて韻が固い(韻をたくさん踏む)し、皆のユートピア 「ミラノ風ドリア」とかパンチラインだと思う。
『合法的トビ方ノススメ』
冒頭から韻が固いし2番の歌詞とかも韻が固いし長いし上手いしライブで盛り上がるし最強。
太字の「お慕いしております」と「押し倒して乗ります」は"オイア○イエオイアウ"(○は不規則)の母音で韻を踏んでいる。
聞き慣れない単語が出てくる
→前後から意味を推測するか、気になる場合は調べる。(ヒップホップ以外にも通ずるか・・・)
ヒップホップは独特の言い方や言い回しが多い。
ヒップホップではAメロをバース、サビをフックと呼ぶ。
『生業』は自身のラップがどれだけイケているのかをボースティング(自慢)する曲となっておりバースという単語がよく登場する。
ラッパーってよくバースを蹴飛ばす↓
『かつて天才だった俺たちへ』に登場する「ゴンフィンガー」は覚えておくと良い単語&ジェスチャー。
ライブでかっこいいスクラッチとかラップを聞いた時に指のGunを空にPow!と撃つと、盛り上がっていることを表現できる。声を出すことが制限されているようなライブではゴンフィンガーをすると盛り上がれる。
以前紹介した『この道の先 (feat. J-REXXX & R-指定)』という曲ではヒップホップやレゲエのいろいろな単語紹介されていて分かりやすい↓
※補足
Creepy NutsのライブDVDをゲットしたい方はCDアルバムのライブDVD盤をゲット。現在(2021年3月)ディスコグラフィーのDVDに唯一表示されるのはラジオイベントのDVDのみ。イベント用に作成&販売したカードバトルで突然対戦を始めたり、ラジオの人気コーナー『大江戸シーラン』でエド・シーランさんの「Shape of You」の音源が使えずリスナーが考えたポンポンポンの部分の歌詞だけをただただ表示するなどかなりトリッキーなDVDになっている。このラジオイベントでもライブをしているので気になる方はぜひ。
※補足の補足
ライブDVD盤のアルバムは2021年3月時点で2枚出ていて、初回生産限定盤だった『よふかしのうた』のライブDVD盤は売り切れていて、『かつて天才だった俺たちへ』は初回生産限定盤ではなかったように思っていたけれど売り切れ中…
Creepy NutsのライブDVDをゲットしたい方はラジオイベントのDVDをぜひゲット!
おわり
好きに聞こう。聞き方はみんなちがって、みんないい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
ヒップホップでよく使われるこの単語を覚えればヒップホップが聞きやすくなるとかを不定期で書いています。
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