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ヒプステのライブ、Battle of Prideの曲と曲の繋げ方の良さについて書きたい
2021年、ヒプノシスマイクの2.5次元の舞台(通称:ヒプステ)で、初めて全ディビジョン・キャラクターがそろうライブ、Battle of Pride(通称:BoP)が開演されました。そのBoPの時の、曲と曲の繋げ方の良さについて書きたいと思います。
[SET LIST]
M0「The Opening (Rule the Stage -Battle of Pride-)」
舞台のヒプステだと、ディビジョン・ダンス・バトル(通称D.D.B)のメンバーのToyotakaさんの前説から始まるのですが、ライブのヒプステだと前説はありません。各ディビジョンのリーダの関係性が分かるような演出から始まります。
M1「Battle of Pride」
BoPの主題歌。
開演された舞台順に、全ディビジョン・キャラクターが登場します。
何から何まで圧巻。
M2「Counterfeit Busters」
track.1に収録されているイケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”のディビジョン曲。
曲の最後、一郎は「負けるわけにはいかない、絶対に許さない、絶対に勝たなきゃならない」と左馬刻に対しての感情をあらわにします。そして、左馬刻がリーダであるMAD TRIGGER CREWの曲が始まります。
今回は、このような曲と曲の繋げ方の良さについて書きたいと思います!
正直な話、何の繋がりもない1曲1曲を、立て続けに表現(演奏)したとしても、ライブとして成立すると思います。しかし、曲と曲の繋がりを作り、流れを生み出すことで、ライブをより魅力的にすることができます。特に、ヒプステの舞台では、物語に沿って曲が展開されるので、2021年のBoPのライブでは、曲と曲の繋がりを作ることに意味があったのだと思います。
<考えの補足>以前、別のアーティストに関して『魅力的なライブ・ステージのつくり方』という話を書いたのですが、その時の「MCの重要性」という内容に通じると思うので、興味のある方は、ご覧ください。
ヒプステの舞台、またはヒプマイの原作で、接点のあるキャラクター同士なら、曲と曲を繋げやすいと思うのですが、途中、接点のないキャラクター同士の曲と曲を繋げる演出もあります。そういう細部までの作り込みの積み重ねによって、ヒプステは素晴らしいエンターテインメントになっているのだと思います。
このM2の曲からM5の曲まで、track.1に収録されている曲が続きます。
M3-1「Trigger Off」、M3-2「MAD TRIGGER BOX」
track.1に収録されているヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”のディビジョン曲。
決勝トーナメント進出が決まったものの、喜ぶことはなく、「こんなんじゃ肩慣らしにもならない」と言いながら立ち去る左馬刻。
M4「We Are North Bastard」
track.1に収録されているアカバネ・ディビジョン“North Bastard”のディビジョン曲。アカバネ・ディビジョンはヒプステに登場するオリジナルのディビジョンです。
この曲は、「トラップ」という音楽ジャンルに当てはまります。「トラップ」は、ドラッグの売人と深い関係があります。アカバネのキャラクターに、ドラッグの元売人がいるので、ヒップホップの歴史的な文脈を踏まえた曲になっています。また、ヒプマイの原作にはない感じの、ヒプステの舞台ならではの曲になっていると思います。
M5「2つの影」
track.1に収録されている曲で、イケブクロの一郎と、幼馴染による曲。
巨大なスクリーンに映る花火が印象的で、幼馴染の去り際の悲しそうな表情が、track.1の展開を物語っているかのようです。
M6「Trap Of "Fling"」
M6からM7まで、track.2に収録されている曲が続きます。
track.2に収録されているシブヤ・ディビジョン“Fling Posse”のディビジョン曲。
曲の最後、乱数は「まさか予選で負けるわけはないだろうが…楽しみだよ。寂雷。」と言いながら立ち去ると、寂雷がリーダである麻天狼の曲が始まります。
M7「Blast Wolf」
track.2に収録されているシンジュク・ディビジョン“麻天狼”のディビジョン曲。
曲の最後、独歩が寂雷に「”あるディビジョン”の人たちに因縁をつけられている」という相談をしながら立ち去ります。”あるディビジョン”というのは、次に登場するディビジョン。
M8「アサクサBounce」
track.2に収録されているアサクサ・ディビジョン“鬼瓦ボンバーズ”のディビジョン曲。アサクサ・ディビジョンはヒプステに登場するオリジナルのディビジョンです。
ビートで祭り囃子が鳴っていたり、和風なビートで、最高に楽しい曲です。
ダンスが特徴的です。
M9「オオサカ24金マジック」
M9からM12まで、track.3に収録されている曲が続きます。
track.3に収録されているオオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”のディビジョン曲。
花道にいる時のダンスに注目。
track.3の物語は、各ディビジョンやキャラクターが、点と点で繋がっている場面が多く、2021年のBoPのライブでも1曲1曲が独立していた印象です。
M10「B.A.T Strike Back Against」
track.3に収録されているナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”のディビジョン曲。
ナゴヤの曲はロック色が強く、さらに曲の途中でアクロバットをするので、「なんか、もう、ズルくない?」って思うレベルで、かっこいい。
M11「School Rap」
track.3に収録されている“道頓堀ダイバーズ”の曲。道頓堀ダイバーズはヒプステに登場するオリジナルのグループで、高校生3人の漫才トリオです。
ヒプステに登場するオリジナルのキャラクターは、大雑把に言うと、「大多数の凶悪なキャラクター」と「少数派のとびきり明るいキャラクター」で構成されています。道頓堀ダイバーズは「とびきり明るいキャラクター」に該当します。(明るさの中に、闇もありますが…)
この後に登場する、凶悪な親玉(と表現したい)キャラクターとの対比に注目です。
M12「幸福世界・粘糸〈ねんし〉」
track.3に収録されている大蜘蛛 弾襄(以下、弾襄様)の曲。弾襄様は、ヒプステに登場するオリジナルのキャラクターで、キョウト・ディビジョンに総本山を構える新興宗教団体、“糸の会”の教祖です。
「幸福世界」では弾襄様がどのような考えを持つ人物であるのか表現されています。そして、「粘糸〈ねんし〉」を見た人は、きっと全員、糸の会に入信すること間違いなしでしょう。
M13「兄弟喧嘩」
track.1に収録されているイケブクロの二郎と三郎による曲。
巨大なスクリーンに映る映像と、歌詞との連動が面白いので要チェック。
三郎が「東京観光」と「高層マンション」で韻を踏みながら、二郎をあおるところは、歌詞も映像も全部が強い。
ほら早く行ってこいよ 東京観光
僕はお前を見下ろす 高層マンション
M14「GAMBLE ZANMAI」
track.2に収録されているシブヤの帝統の曲。
D.D.Bのダンスが、歌詞に登場する、ポーカー、スロット、ルーレット、ピンボールをそれぞれ表現しています。
この曲と次の曲の繋ぎ方に注目。
ギャンブルで散々な結果になった帝統の前に現れた、オオサカの天谷奴は「いい話があるんだ。聞いていかないか?」と帝統に話を持ちかけます。ヒプステまたはヒプステで接点のないキャラクターですが、曲と曲を繋げるための演出になっていいて、このような積み重ねが、魅力的なライブを生み出していると思います。
M15「ペテン師の情報網」
track.3に収録されているオオサカの天谷奴 零の曲。
曲の初め、天谷奴は客を見つけて「とっておきの話があるんだ。君たちは天才だ。OK…この情報、君たちにだけ教えてあげよう。」と言ってから曲が始まります。
M16「今は光」
track.4に収録されているシンジュクの一二三の曲。
飲みに誘われた独歩。一二三が盛り上がっているうちに、ひっそりと立ち去る独歩。
M17「雨」
track.2に収録されている、シンジュクの寂雷と独歩、アサクサの“鬼瓦ボンバーズ”による曲。
「今日は久しく定時で帰れたのに、こんな日に限って雨」と嘆く独歩。曲の最後、傘を持った一二三が独歩を迎えにくる場面が印象的です。
M18「一斉検挙」
track.4に収録されている、ヨコハマの銃兎と理鶯、シブヤの幻太郎による曲。
以前、「入間銃兎」と「ディスカウント」で韻を踏むところ最強すぎるやろ、という話を書いたので、興味のある方は、ご覧ください。
曲の初め、銃兎はメインステージにいます。巨大なスクリーンに映る、巨大すぎる幻太郎が、入間銃兎とはどのような人物なのかを説明している間、銃兎は花道の方に移動します。幻太郎が説明を終えたタイミングで、銃兎は巨大なスクリーンに向かって何かを操作をし、幻太郎をスクリーンから消し去り、メインステージへと戻ります。
照明の演出も、理鶯が出てきてからのダンスも、全てがカッコいい。
M19「Bad Ass Temple’s Attack」
track.3に収録されているナゴヤの3人による曲。
獄が「被害者」、「加害者」、「跨いだ」で韻を踏むところが、振り付けも含めて、何度見ても気分が上がります。
君は被害者 または加害者
その境界線 ならばすでに跨いだ
M20「超RAP劇」
track.3に収録されているオオサカの簓と蘆笙による曲。
曲が終わってから、簓と蘆笙の2人でネタを披露するのですが、ネタは公演ごとに異なっていました。最終的に、全公演のネタがBoPのBlu-rayの特典映像に収録されました。
M21「記憶」
track.4に収録されているイケブクロの一郎の曲。
1曲前の超POPな簓と蘆笙がどうしようもなく脳裏にこびりついて離れねぇ記憶になりかけている時に、一郎によるシリアスな曲が続くという、振れ幅。
M22「Come Back To Me」
track.4に収録されているヨコハマの左馬刻の曲。
1曲前のM21からM25まで、歌詞の中に"戦う理由"が書かれた曲が続きます。M21とM22の曲の歌詞は、一郎と左馬刻、それぞれが"遭遇した出来事"と"なぜ戦うのか"について書かれています。
M23「戦いの始まり」
track.4に収録されているイケブクロの一郎、ヨコハマの左馬刻、シブヤの乱数、シンジュクの寂雷による曲。
"戦う理由"について、各キャラクターの考え方が歌詞の中に書かれています。
M24「秘めたる闘志」
track.3に収録されているオオサカの簓とナゴヤの空劫による曲。
簓と空劫が、左馬刻と一郎に対して抱く、秘めたる闘志について歌詞の中で書かれています。
M25「Why We Fight」
track.4に収録されているイケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクの全員による曲。
2021年のBoPで披露された中で一番、バトル色が強い曲です。実際のMCバトルのように、同じ韻でアンサーを返すところがあったり、全員が全員「イケてるのは俺たちだ!」って感じの歌詞が印象的です。
M26「Champions In Da House」
ヒプステ内で行われた決勝トーナメント『Championship Tournament』の第1回の優勝曲。
戦う理由が書かれた曲や、バトル色の強い曲の後に、優勝曲が来るのは、曲順に物語を感じます。
M27「Guess Who’s Back」
ヒプノシスFlavaというイベントにて開演された、舞台オリジナルのアカバネとアサクサの2つのディビジョンによるライブで初披露された曲。
接点がないはずの、track.1で登場したアカバネと、track.2で登場したアサクサが、1曲の中に存在しているのには理由があります。その理由は、BoPのBlu-rayの特典映像に収録されている、ヒプノシスFlavaのライブの中で確認できます。
2021年のBoPでは、ヒプノシスFlavaのライブを見ていない人でも、接点がないはずの2つのディビジョンが1曲の中で存在することを、違和感なく見られるように、M12「幸福世界・粘糸〈ねんし〉」の弾襄様の曲の中で、ある演出がされています。
ちなみに、曲のタイトルになっている「Guess Who’s Back」とは、「誰が戻ってきたかわかるよな?」とか「戻ってきたぜ!」といった意味で使われる言葉です。
「さっきまで、原作ディビジョンで盛り上がっていたみたいだけれど。誰が戻って来たか分かるよな?俺たち、アカバネとアサクサが戻ってきたぜ!」って感で、ゴリッゴリにかっこいいです。
M28「Hypnosis Delight +」
track.4のイケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクの4ディビジョンの全員曲「Hypnosis Delight」に、オオサカとナゴヤの2ディビジョンの全員が加わったのが「Hypnosis Delight +」。BoPで初披露されました。
各ディビジョンがフラッグを持って登場するのですが、これほどハイテクなフラッグは今まで見たことがないです。
M29「D.D.B BoP edit」
今までのヒプステの舞台の集大成となるような、D.D.Bによるダンス。
M30-1「Gimme The Mic -Rule the Stage track.1-」
track.1の主題歌で、イケブクロ、ヨコハマ、アカバネの全員による曲。
このM30から、全キャラクターが黒い衣裳、<Battle of Pride Special Styling>で登場します。BoPのビジュアルブックでは、黒衣裳の詳細やデザイン画が載っていて、ディビジョンごとの衣裳のテーマや共通素材、各キャラクターの衣裳のこだわりPOINTなど、写真や文章で、衣裳の素晴らしさがまとめられているので、気になる方は、BoPのビジュアルブックをぜひチェック。
(追記)2023年12月25日(月)~2024年3月31日(日)までの期間限定で、Amazonプライム会員向けサービス「Prime Reading」および「Kindle Unlimited」にて、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stageの歴代パンフレットやビジュアルブックが読み放題です!
M30-2「Don't Pass The Mic -Rule the Stage track.2-」
track.2の主題歌で、シブヤ、シンジュク、アサクサの全員による曲。
M30-3「Crush Your Mic -Rule the Stage track.3-」
track.3の主題歌で、オオサカ、ナゴヤの全員による曲で、道頓堀ダイバーズの全員と糸の会の弾襄様も登場します。
M30-4「Fight 4 your Pride -Rule the Stage track.4-」
track.4の主題歌で、イケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクの全員による曲。
[ENCORE]
M31「Battle of Pride」
1曲目にも披露されたBoPの主題歌は、全ディビジョン・キャラクターが黒衣裳で登場することで、さらに圧倒的な感じになります。
最後に
YouTubeで公開されているBoP 全曲視聴トレーラーがかっこよすぎる。
2021年に開演されたBattle of Prideでは、それまでの舞台の中で、物語に沿って曲が展開されていたこともあり、曲と曲の繋がりを作り、ライブ全体の流れを作る演出になっていて、これはこれで最高でした!!!
2023年に開演されるBattle of Pride 2023のライブは、ディビジョンごとの単独ライブ《Rep LIVE》を経験したからこそできるライブの演出になっていて、それはそれで最強です!!!!
BoP2023は、9月10日(日)17:00の千秋楽公演が、ABEMAでライブ配信されます。9月16日(土)まで見逃し配信を見ることができます。
BoP2023のBlu-rayは2024年1月に発売されます。
映画館用にオリジナル編集されたBoP2023の【Cinema Edit】は、2024年2月16日(金)から【Dual 3D版】と【3面ライブスクリーン版】が2週間限定で上映されます。
2023年8月7日より期間限定で『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.1-から-track.5-までの過去6作品が「ABEMAプレミアム」限定で見放題配信されているので、気になる人は要チェック。
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