ももクロ「満漢全席」の韻がすごい！（100個以上の韻を解説）
ももいろクローバーZのアルバム『祝典』に収録されている「満漢全席」という、とっても楽しくて美味しい曲があるのですが、たくさんの韻を踏んでいてすごい！！
「韻って何？」って思っているあなた！
今は↓画像の色付けの意味がわからないかもしれません。
しかし、これを読み終える頃には文章の色付けの意味がきっとわかるようになっていると思います。なぜなら、これから、ヒップホップやラップを知らない方にもわかるように、ももクロ「満漢全席」の韻を解説するので！
そもそも「韻を踏む」ってどういうこと？
「韻を踏む」とは「言葉のひびき（おもに母音）を合わせる」こと。（英語では RHYTHM→韻、韻を踏む）
たとえば、「ももクロ」の母音は"オオウオ"なので、同じ母音の「おどるよ」や（発音を「ショギョムジョ」みたいに工夫すれば）「諸行無常」などで韻を踏むことができます。韻の詳しい説明は下記をチェック！
ももクロ「満漢全席」韻の解説、スタート！
1番Aメロ
紫色の「今日は」、「生姜」、「小」、「今日が」は、"オウア"の母音を基本に4個の韻を踏んでいます。（「小」の母音のみ"オウ"）
黄色の「香り」、「好吃」、「楽しい」は、"アオイイ"の母音を基本に3個の韻を踏んでいます。（「香り」の母音は"アオイ"）
青色の「た」、「は」、「姜」、「だ」、「が」は、"ア"の母音で5個の韻を踏んでいます。（紫色の韻との重複は3個）
※1音の母音でも、小節（適当な長さの音の区切り）の末などで規則的にひびきを合わせることで韻を踏んでいます。
緑色の「り」、「に」、「吃」、「しい」、「日」は、"イ"の母音で5個の韻を踏んでいます。（黄色の韻との重複は3個）
赤色の「特別な日」、「特製フカヒレ」、「濃くて深い」は、"オウエウアイ"の母音を基本に3個の韻を踏んでいます。
※「特製フカヒレ」を一文字ずつはっきり発音すると、母音は"オウエイウアイエ"。曲の中では「特別な日」、「濃くて深い」と同じようなフロウ（歌い方、歌いまわし）にすることで、「とくせぃフカヒレ」のように発音し、韻を踏んでいます。
太字の「フカヒレ」、「深い」、「蒸かして」は、"ウアイエ"の母音を基本に3個の韻を踏んでいます。（「深い」の母音は"ウアイ"。赤色の韻との重複は2個）
ピンク色の「うっとりする」と「ぶっとびスープ」は、同じようなフロウにすることで、"ウッオイウーウ"の音で2個の韻を踏んでいます。
灰色の「縁が繋いで」と「円卓回転（えんたくかいてん）」で、"エンアウアイエ"の母音で2個の韻を踏んでいます。
＜1番Aメロ＞韻の数：19個
…1番Aメロだけで19個もの韻？ さすが、餓鬼レンジャー！（今回、楽曲提供をした餓鬼レンジャーは最後の方で紹介するのでお楽しみに〜）
1番Bメロ
灰色の部分は「コー」と「もう」で、"オー"の音で2個の韻を踏んでいます。（「もう」の発音は「モー」。【参考】「言う」の発音は[イウ]か[ユー]か。）
黄色の部分は…"エウイ"の母音を基本に8個の韻を踏んでいます。（最後の方は、基本の母音が"ウエイ"に変化。詳細は下記。）
1. AtoZ → エウイ
2. 全部いい → エンウイイ
3. 巡り → エウイ
4. エネルギー → エエウイ
5. 熱意 → エウイ
6. Destiny → エウイイ
7. 胸に → ウエイ
8. てぇい → エイ
赤色の「謝謝（シェイシェイ）」と「永遠（えいえん）」は、"エイエ"の音で2個の韻を踏んでいます。
＜1番Bメロ＞韻の数：12個
1番サビ
赤色の「拓」、「皆」、「今」は、"イア"の母音で3個の韻を踏んでいます。
紫色の「感情（かんじょう）」と「全乗（ぜんの）」は、"ンオ"の音で2個の韻を踏んでいます。
ピンク色の「酸辣」、「湯 噛」、「満漢（まんかん）」は、"アンア"の音で3個の韻を踏んでいます。
黄色の「たい」と「なみ」は、"アイ"の母音で2個の韻を踏んでいます。
灰色の部分は…「も」と「心（こころ）」は、"オ"の母音で2個の韻を踏んでいます。
※「みもこころも」という言葉自体、最初の「み」以外すべて"オ"の母音で韻を踏んでいるという解釈もできるのですが、今回は「みっ⤵もー、こっ⤵こー、ろ⤵も」というフロウなのでこの解釈にしました。
青色の「宴」と「歌え」は、"ウアエ"の母音で2個の韻を踏んでいます。
緑色の「歡迎」と「光臨」は、"アンイン"の音で2個の韻を踏んでいます。
＜1番サビ＞韻の数：16個
【言葉の意味】
満漢全席…山海の珍味を使った豪華絢爛な料理を2〜3日かけてたっぷりと味わう中国の宴の席での料理
一直以来謝謝了…いつもありがとうございます
歡迎光臨…ようこそいらっしゃいませ
上の3つの言葉の意味をざっくりつなげると「いつもありがとう♪ ようこそいらいっしゃいませ！豪華絢爛な宴をたっぷり楽しんでね♪」という無限の愛にあふれた意味になるのですが、歌い出しが「待ちに待った 宴だ今日は」なので「待ちに待った ライブだ今日は」と解釈してライブで聞いたら・・・楽しさ前提セットリストでも泣いてもいいですか。
2番Aメロ
黄色の「ぷは～」、「ふわ～」、「美味～」、「深～」、「ゆら～」、「くら」、「くな」は、"ウア"の母音で7個の韻を踏んでいます。
紫色の「ゆらし」と「愉快」は、"ウアイ"の母音で2個の韻を踏んでいます。
ピンク色の「わずかに素面」と「預かり知らぬ」は、"アウアイイアウ"の母音で2個の韻を踏んでいます。
太字の「わず」、「明日」、「預」は、"アウ"の母音で3個の韻を踏んでいます。（ピンク色の韻との重複は2個）
赤色の「100点の日」と「鳴るメロディー」は、"アウエオイ"の母音を基本に2個の韻を踏んでいます。（「100点の日」の母音は"アウエンオイ"）
※韻を踏む時に"ン"の音をどうするかという話（一般的な考え："ン"は無視してOK）がありまして、ここの歌詞は"ン"の発音を工夫して韻を踏むパターンに当てはまると考えられます。"ン"の詳しい説明は下記をチェック！
＜2番Aメロ＞韻の数：14個
「100点の日」とかの独特なフロウはポチョムキンさんが作詞の可能性100%
2番Bメロ
太字の「てる」と、「ける」は、"エウ"の母音で2個の韻を踏んでいます。
紫色の「微笑み」、「この手に」、「宝石」、「この席」、「So many」、「衝撃」は、"オオエイ"の母音を基本に6個の韻を踏んでいます。
灰色の「一途な（いちずな）」と「絆」は、"イウア"の母音で2個の韻を踏んでいます。
ピンク色の「乾杯」、「ONE LIFE（ワンライフ）」、「時間無い（じかんない）」は、"アンアイ"の音で3個の韻を踏んでいます。
＜2番Bメロ＞韻の数：13個
2番サビ
青色の「拓」と「皆」は、"イア"の母音で2個の韻を踏んでいます。
緑色の「感情（かんじょう）」と「全乗（ぜんの）」は、"ンオ"の音で2個の韻を踏んでいます。
＜2番サビ＞韻の数：4個
Cメロ
赤色の「標準搭載」と「興奮状態」は、"オウウンオウアイ"の音で2個の韻を踏んでいます。
黄色の「搭載」、「状態」、「もう最」、「高 Ride」、「情 解」、「放 I」、「know 愛」、「相対」、「壮大」、「もう大」、「丈夫 最」、「良 な日」、「を 迎え」、「所 My」は、"オウアイ"の母音を基本に14個の韻を踏んでいます。（赤色の韻との重複は2個）
※「を 迎え」は"オウカエ"の母音ですが他の言葉と同じようなフロウにすることで韻を踏んでいます。（「もう⤴だい、じょうぶ⤴さい、りょう⤴なひ、をむ⤴かえ」みたいなフロウ）
ピンク色の「最高」、「Ride on」、「感情」、「解放」、「I know」、「愛情」、「大丈夫」、「最良」、「迎（むか）えよう」、「 My Home」は、"アイオウ"の母音を基本に10個の韻を踏んでいます。（黄色の韻との重複は5個）
※「Ride on」は"アイオン"で、「感情」は"アンオウ"で、「迎（むか）えよう」は"ウアエオウ"の母音ですが他の言葉と同じようなフロウにすることで韻を踏んでいます。（「さい⤵こうー、ライ⤵ドン・・・かん⤵じょー・・・（をむ⤴）かえ⤵よー」みたいなフロウ）
太字の「標」、「搭」、「興」、「状」、「もう」、「高」、「on」、「情」、「放」、「know」、「情」、「相」、「壮」、「もう」、「丈夫」、「良」、「を」、「よう」、「この」、「所」、「Home（ホーム）」は、"オウ"の母音を基本に21個の韻を踏んでいます。（赤色・ピンク色・黄色の韻との重複は20個）
紫色の「り」、「距離」、「より」は、"オイ"の母音を基本に3個の韻を踏んでいます。
＜Cメロ＞韻の数：23個
短い韻を踏みつつ同じところで長い韻も踏んでいるので、重複する部分の韻の数え方に悩みました…（重複を考えずに単純に足し合わせるとCメロの韻の数は50個!!）
「標準搭載」の「搭」だけでも3パターンの韻（赤色の"オウウンオウアイ"、太字の"オウ"、黄色の"オウアイ"）を踏んでいたり…紫色の「最高」からは"アイオウ"で韻を踏んでいると見せかけて、実は「搭載」から引き続き黄色の"オウアイ"の韻も踏んでいたり…もう、我愛你。
この隠しがたい巧みなRHYTHM SKILL、Cメロの作詞はYoshiさんかな。
ラストサビ
1番サビと同じ。
＜ラストサビ＞韻の数：16個
★韻の総数
＜1番Aメロ＞韻の数：19個
＜1番Bメロ＞韻の数：12個
＜1番サビ＞韻の数：16個
＜2番Aメロ＞韻の数：14個
＜2番Bメロ＞韻の数：13個
＜2番サビ＞韻の数：4個
＜Cメロ＞韻の数：23個
＜ラストサビ＞韻の数：16個
→韻の総数： 117個
韻をたくさん踏んでいて最高！
ももクロちゃんへの楽曲提供だからこそ、普段の餓鬼レンジャーの曲では聞けないリズム感、フロウ、韻の一面を見られてそれもまた最高。
餓鬼レンジャー
今回、ももクロに「満漢全席」の楽曲を提供したのは餓鬼レンジャーという1990年代から活動しているヒップホップグループ。MCは、フロウが特徴的なポチョムキンさんと、韻が固い（たくさん韻を踏む）Yoshiさんの2人で、DJはGPさんとオショウさん2人で、ダンサーのタコ神様で、グループは構成されています。
餓鬼レンジャーの曲は1曲ずつ聞くのも良いのですが、1枚のアルバムを最初から最後まで順番に聞くのも良くて、その中でも個人的に大好きなのが『キンキーキッズ』。ヒップホップのアルバムで曲と曲の間によく（最近は減ってるかもしれませんが）収録されるスキットというものをいい感じに活用していて、超全力でいいすねって話を以前、書いたのでぜひ御覧ください〜！
ももクロのヒップホップな曲
日本語ラップの先駆者であるいとうせいこうさんが作詞した「5 The POWER」というヒップホップな曲があったり（詳細は下記）、
ヒプマイ好きとしては聞き逃がせないinvisible mannersが作詞作曲の「The Diamond Four」は、韻の多さはもちろんのこと、「Apache」っぽいボンゴのような音や、Kendrick Lamarのオマージュがあったり・・・ももクロ好きも、ヒップホップ好きも大満足の一曲があったり、
他の曲も含め、ももクロのヒップホップな曲はすごいだZ!
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