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ラッパーがよく蹴飛ばすバースって?
ラッパーが蹴飛ばしたバース
Creepy NutsのR-指定さんは『生業』で、梅田駅前でバースを蹴飛ばし、
DABOさんは『レクサスグッチ』で、煙たいバースを蹴飛ばし、
RHYMESTERのMummy-Dさんは『B-BOYイズム』で、Kick the verse 歌詞蹴っとばした。
ラッパーに蹴飛ばされる「バース」とは
蹴飛ばすことのできるバースは、サッカーボールでもなければ缶でもない。バースとは、物理的なものではない。曲の構成要素の1つ。
バース = Aメロ(サビ以外の歌・ラップ)
日本でお馴染みの「Aメロ→Bメロ→サビ」のような曲の構成は独特で、海外では「バース(Aメロ)→コーラス(サビ)」の曲の構成が典型的。(参照:日本だけ特殊?曲のセクションの呼び方について)
ラップの曲の構成は、海外の曲の構成と同じですが、サビの呼び方が異なる。ラップの構成は「バース(Aメロ)→フック(サビ)」。(サビの部分が、海外の曲ではコーラス、ラップではバース。)
ラップは、以下の要素で構成されますが、バースとフックだけで構成される曲が多いので、バースとフックを覚えておけばOK。
イントロ・・・イントロ
ヴァース・・・サビじゃない歌。1番、2番、3番のこと。これを本書ではヴァース1、ヴァース2、ヴァース3と呼ぶ。
フック・・・サビ、またはコーラス
ブリッジ・・・大サビ/もう1つのサビ、つなぎ部分
サブフック・・・サビではないリフレイン
アウトロ・・・アウトロ
(補足追記)
Kindle Unlimitedの会員は、追加料金なし(¥0)で読めるそうです。韻の踏み方やフロウ(歌いまわし)など、ラッパーならではの、詳しい解説がたくさん書かれているので、とてもオススメです。
今回、本を引用したZeebraさんの代表曲『Street Dreams』は、以下の構成。
イントロ→ヴァース1→フック→ヴァース2→フック→ヴァース3→フック
ちなみに、ヴァース2の歌い出しは、「ヴァース2」という歌詞から始まる。
なぜラッパーはバースを蹴飛ばすのか
ヒップホップではラップをすることを、「バースを蹴る」とか「バースをキックする」という言う。(英語で言うとkick a(the) verse)
バースを蹴ると言えば良いはずが、なぜバースを蹴飛ばすのか。
それは「バース」と「蹴飛ばす」で韻を踏めるから。
特に『レクサスグッチ』と『B-BOYイズム』では、「蹴飛ばす」の部分を「けとばーす」と発音することで、「バース」に近い音で韻を踏んでいる。
つまり、ラッパーは韻を踏んでラップするために、バースを蹴飛ばす。
最初に載せた、RHYMESTERの『B-BOYイズム』のリリック「Kick the verse 歌詞蹴っとばす まるでストレスとばすジェットバス」ではかなり韻を踏んでいる。Mummy-Dさん自身も口気持ちいいライミングとして挙げている。(14:15頃から)
先ほど、しれっと文中に書いたリリックとライミングという言葉。
リリック【lyric】 = 歌詞
ライム【rhyme】 = 韻、韻を踏む(動詞でも名詞でも使う)
ライム【rhyme】の語尾にingがついてライミング【rhyming】。
ライミングの意味は韻を踏むこと。(ライムと同じ意味。)
まとめ
今回紹介した中で、ヒップホップを聞く上で覚えておくといい単語は4つ。
バース【verse】 = Aメロ(サビ以外の歌・ラップ)
フック【hook】 = サビ
リリック【lyric】 = 歌詞
ライム【rhyme】 = 韻、韻を踏む(動詞でも名詞でも使う)
ラップをするので、ラッパーはよくバースを蹴飛ばす。
ラップをする = バースを蹴る、バースをキックする、kick a(the) verse
最後に
(追記)
『ラップの「バース」と「バーズ」の違い』について書いたので、興味のある方はぜひご覧ください。
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