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タンテとマイクロフォンよこせ? 〜ヒップホップの歌詞に頻出するタンテとマイク〜
タイトルはCreepy Nuts『合法的トビ方ノススメ』のサビからサンプリング(引用)。
ヒップホップに聞きなじみがない時、聞き慣れない早口が続くなぁとか思いながら、やっと聞き取れた「タンテとマイクロフォンよこせ」。
マイクロフォンはわかる。カラオケとかにもあるマイクのことですよね。
タンテとは・・・?
マイクの対になるものだろうからタンテ・・・ファンタのCMでDJ先生が「違います」って言う前にチュクチュクさせてたターンテーブルの略ですかね。(特定の世代にしか伝わらなさそう。)
A.タンテ
「タンテ」は「ターンテーブル」のこと。DJが曲を繋げてミックスする機械。
元ネタの曲Anderson .Paak『Come Down』が、
世界一のDJの手にかかると別の曲のように聞こえる。
1人のDJの演奏も最高だけれど、4人組DJのC2Cの演奏も最高。
A-a.タンテ
タンテという単語が歌詞に登場する曲は何があったかなと探して見つけた。
Hilcrhyme『リサイタル 〜ヒルクライム交響楽団 作品第1番変ヒ短調〜』
1 MIC2タンテ どちらも長年掴んでる
「2タンテ」と「掴んでる」で「ウアンエ」の母音でさり気なく韻を踏んでいることに気を取られたけれど、なぜ「1 MIC(ワン マイク)」に対して「2タンテ(ツータンテ)」なのか。1つのマイクと1つのタンテで対になりそうな気がするけれど。
2タンテを調べてみた。マイクは1つで歌えるけれど、タンテは1つだけでは曲を繋げないから2タンテらしい。
個人的な話、この曲を聞くと同じアルバムに入っていた『春夏秋冬』以上に『純也と真菜実』を思い出す。懐かしい。久しぶりにアルバムを聞き直したら意外と韻を踏んでいることに気がついた。韻に気づけるようになってからいろいろな曲を聞き直すのは楽しい。
A-b.ターンテーブル
歌詞にターンテーブルが登場する曲。
RIP SLYME『DISCO-MMUNICATION』
才能なんて必要ない 屁理屈もリスクも必要ない
ターンテーブルとマイクロフォンがあれば
もう最高ってなわけで交代
「屁理屈も」と「リスクも」で「イウウオ」の母音で韻の踏む感じとフロウ(歌いまわし)が心地良いなと思っていると、歌詞にターンテーブルとマイクロフォンが登場。
学生の頃、ヒップホップをあまり詳しく知らなかったけれど、RIP SLYMEはなんとなく聞いていた。ベストアルバムの『GOOD TIMES』も裏ベストアルバムの『BAD TIMES』もけっこう聞いていた。当時は、メロディーの聞き心地良さに気を取られて歌詞は聞き流してしまっていた。もっと韻とかに興味を持て聞けばよかったなと思う今日この頃。改めて聞き直して思ったけれどRIP SLYMEはおしゃれな韻の踏み方が多い。
A-c.針を落とす
ターンテーブルという単語が歌詞に直接登場しないけれど、針を落とすという表現をする歌詞の曲もある。
mihimaru GT『気分上々↑↑』
Hey DJ カマせ yeah yeah yeah 気分上々↑↑の
針落とせ 音鳴らせ パーリナイ
懐かしい。気分上々になる。それに尽きる。
B.マイクロフォン
「マイクロフォン」はカラオケとかにもある「マイク」のこと。
ラッパーはマイクが大好き。 「マイク」と「ライム」で「アイウ」の母音で韻を踏める。 (ライム=韻)
ラッパーはマイクのことを、マイクロフォンって言ったり、MIC(エムアイシー)って言ったり、シュア(SHURE社)のSM58マイクのことを58(ゴッパー)って言ったりする。
ラッパーはマイクが大好きだからか、歌詞にはマイクがよく登場する。(「A-a.タンテ」と「A-b.ターンテーブル」で取り上げた曲でもすでにマイクが登場。)
B-a.マイク
マイクとライムでライムしている(韻を踏んでいる)曲。
餓鬼レンジャー『The Skilled feat. LITTLE & FORK』
マイクの前ではバイブスキープして
ライムスキルを磨くとさ
「マイク」と「ライム」で「アイウ」の母音で韻を踏んでいるし、さらに「バイブスキープ」と「ライムスキル」で「アイウウイウ」の母音で韻を踏んでいる。
この曲では餓鬼レンジャーのYOSHIさん、KICK THE CAN CREWのLITTLEさん、ICE BAHNのFORKさんという韻が固い(韻をたくさん踏む)3人が韻を踏みまくっている。
FORKさんがマイクとライムでライムしているところを紹介したけれど、他の歌詞もYOSHIさんもLITTLEさんのライムも半端ないのでこの曲は韻好きにオススメ。
もう一曲、マイクとライムでライムしている曲。
ヒプノシスマイク、オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”の白膠木簓(ぬるでささら)『Tragic Transistor』
時間とか巻いてもまかない尻尾
マイクとライム踏み出した1歩
わいらはライマー度が過ぎたHIPHOP
オオサカrepresent どついたれ本舗
「マイク」と「ライム」で「アイウ」の母音で韻を踏む以外に、「尻尾」と「1歩」と「HIPHOP」でそれぞれ「イッオ」の音で韻を踏んでいる。
ヒプマイのこの曲の作詞を担当したHIDADDYさんは自身が所属する韻踏合組合というグループでマイクリレーという単語で韻を踏んでいる。
ラッパーはマイクだけではなくマイクリレーも大好き。
韻踏合組合『マイクリレー』
クリイレみたいなマイクリレー
ワイフにイェ 無いくびれ
気にすんなぁ ほらランナウェイ
「マイクリレー」と「ワイフにイェ」と「無いくびれ」は「アイウイエ」の母音で韻を踏んでいて言葉選びが面白い。
韻踏合組合はグループ名 自体も韻を踏んでいるし、曲の中でもメンバーがマイクリレーをしながらかなり韻を踏んでいるから面白い。
B-b.マイクロフォン
NITRO MICROPHONE UNDERGROUND『NITRO MICROPHONE UNDERGROUND』
Hey yo! Microphoneから調子はどうだ
グループ名にマイクロフォンが入ってる。
『NITRO MICROPHONE UNDERGROUND』はMCバトルのビートで使われることも多い。「マイクロフォンから調子はどうだ」の部分がサンプリング(引用)されることが多い。
B-c.MIC(エムアイシー)
MIC(エムアイシー)が歌詞に登場する曲。
ICE BAHN『LEGACY』
始まりのREC 向こう側
ゆるいいブルース歌って守り抜く
このLEGACY 握るMIC
その名を刻むHIP-HOP現代史
「LEGACY(レガシー)」と「MIC(エムアイシー)」と「現代史」で「エアイ」の母音で韻の踏んでいる。
ICE BAHNの「LEGACY」は後世に残すべき遺産。
いろいろな曲を聞いて思ったけれど、MICはエムアイシーよりもマイクって読むことの方が圧倒的に多い。「Mic check(マイクチェック)」もしくは「Mic test (マイクテスト)」(←どちらもライブ前にマイクの音を確認すること)、「Pass the Mic (パスザマイク)」もしくは「Gimme the Mic (ギミザマイク)」(←どちらもマイクリレーと同じ意味合い)とか、Micはマイクの読み方で歌詞に登場することが多い。
B-d.58(ゴッパー)
58(ゴッパー)が歌詞に登場する曲。
(シュア(SHURE社)のSM58マイクを58と呼ぶ。)
梅田サイファー『マジでハイ』
冒頭のフックからマイクロフォンが登場して、KZさんとKBDさんのバースで58(ゴッパー)が登場して、KennyDoesさんのバースでマイクとターンテーブルが登場する。
pekoさんはバースで
よく言われるよ『ラップが上手いだけ』
と言っていて、実際に梅田サイファーはみんなラップが上手い。上手すぎる。
「マジでハイ」はパンチラインだらけ。
この曲の中で個人的に各ラッパーの気になるところを簡単にまとめます。
[KZ]
「静脈にレコード針 打ちます」の表現、最高。
[peko]
自然とマジでHigherすぎる。
[ふぁんく]
リズム感が「神なんちゃうん?」状態。
[KOPERU]
サンプリングがキマってる。
[KBD]
バースとMVでの韻の遊び心の忘れなさ。
[KennyDoes]
フロウがえげつなすぎて、マジでハイ。
[R-指定]
どちゃくそイカしてる。
ヒップホップでよく使われるこの単語を覚えればヒップホップが聞きやすくなるとかをゆるーい感じで不定期で書いているので、気が向いたらフォローお願いします。
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