黒い何か(レア体験)
寒い日の朝は思い出す。
あれは、小学生の頃だった。
学校へと向かう途中、道幅の広い歩道を歩いていた。
50メートルほど先、アパートの近くの歩道に、黒い影を見つけた。
40メートル、30メートル、と、黒い影に近づくにつれて、それがカラスだということに気がついた。
20メートルのあたりを歩きながら、「カラスの横を通るのは怖いな」なんて考えていると、10メートルのあたりで、カラスはすぐ近くの背の高い木に飛んで行った。
「これで一安心だ」と思いながら、先程までカラスがいた場所を見ると、歩道に黒い何かが残されていることに気がついた。
「動物の死骸とかだったら嫌だな」と思いながら、カラスが残した黒い何かと距離を取りながら歩いていると、5メートルほどまで近づいたところで、それが黒い棒状の何かであることに気がついた。
2メートルまで近づいた時、はっきりと分かった。
「巻き寿司だ!」
そう、あれは小学校4年生の節分の次の日、つまり2月4日、誰かがスーパーで買ってきたと思われる、プラスチック製の容器に入った、切り分けられていない一本のままの恵方巻きを黙々と食べるカラスと遭遇したのだ。
みなさんは、道を歩きながら『節分やったから、カラス、太巻き、食べてたんかい!』とツッコミを入れたことはありますか?
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