論文レビュー:principal-principal conflicts(Young et al. 2008)
Jensen and Meckling(1976)は株式会社制度において経営者(エージェント)と株主(プシンシパル)の利害対立をエージェンシー問題として示しています。
エージェンシー問題はコーポレートファイナンスの研究領域において非常に浸透しています。
今回取り上げるYoung et al. (2008) はプリンシパル同士の問題に注目した先行研究をレビューした研究です。
例えば大株主と少数株主の利害対立が挙げられます。
より具体的な事例を論文から検討してみると・・・(p. 197)
①所有権と支配が集中している
②少数株主の保護制度が不十分である
③コーポレートガバナンスの脆弱性を示唆する指標
・上場企業数の減少
・企業評価額の低下
・配当金の水準低下
・株価に含まれる情報量の低下
・非効率的な戦略
・イノベーションへの投資の減少
・少数株主の収奪
とくに最後の「少数株主の収奪」は大株主と少数株主の利害対立を深刻化させる要因となります。Johnson et al. (2000) は大株主による少数株主の富の収奪行為をトンネリング問題と名付けています。
ちょうど今筆者がプリンシパル同士の利害対立に関心を抱いているので今回はYoung et al. (2008) を紹介してみました。
続きはまた次回。