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真の記憶術シリーズ2.速読よりもあらかじめ捨てることが大事

 真の記憶術は、暗記とは違いました。暗記に走ると、あんなに優しいおねさんがマッドサイエンティストになってしまいます。

 目指すべきは京都観光案内のプロであり京都タクシードライバーでした。

 では、いったいあの方たちはどうやって膨大な記憶すべき京都情報を獲得し、そしてそれを、忘れずに維持、どんなお客さんにも使えるように最適化して発展させているのでしょうか。

 その秘密はこの記憶術の名著に書いてありました。

小は大を兼ねるという発想

不安だからたくさん憶えようとする。理解するのが面倒くさいから、たくさん憶えようとする人は多いと思います。ほとんどの方がそう思っています。ここに記憶の落とし穴があります。
記憶に関しては、「大は小を兼ねる」ということはありません。むしろ、「小は大を兼ねる」と言ってもいいぐらいです。
たくさん憶えていれば、いろんなことに対応できると思うかもしれませんが、
・時間は無限にあるわけではない
・理解の努力を怠ってしまう

どうして、こんな簡単なことに気づかないのでしょうか?
時間は無限にあるわけではないのです。

宮口 公寿『読んだら、きちんと自分の知識にする方法』

 この方は、日本の記憶術界隈では大御所中の大御所で、著作はAmazonレビューでは評価がそれほど高くないのですが、どれも名著です。評価が低いのは本質に突っ込んで書いているので、記憶術を求める多くの読者の「即効性」を後回しにする書き方(本当はそれが必要)のせいでしょう。3冊出版されていますが、宮口さんの本はどれも名著です。

 場所法を応用した「道法」の創案者で非常に使える記憶術がたくさん公開されていますが、根幹になる考え方が3冊共通していて、「小は大を兼ねる」という考え方です。

「記憶において小は大を兼ねる」と言ってもいいのです。

私は顔と名前の記憶術というセミナーをやっています。
そのときに、一番最初に私が言うのは、次のひと言です。

・憶えるべき人と憶えるべきでない人を区分けする

営業職に就いている人は、毎日たくさんの人と会います。しかし、名刺をもらったすべての人の顔と名前を憶える必要はありません。
名刺をもらった瞬間に、2種類に分けるのです。

・もう一度会う可能性がない人
・もしかしたら、また会うかもしれない人


もう一度会う可能性がない人なら、憶える必要はありません。すべての人の名前を憶えるのは可能ですが、あまり意味がありません。

金かな槌づちを持ったら、すべてものが釘に見える愚

新しい趣味に熱中しすぎな日曜大工お父さん
来週あたり奥さん大爆発する
( U_U)

「金かな槌づちを持ったら、すべてものが釘に見える」という諺ことわざがあります。

私は、記憶術をもじって、「記憶術を習ったら、憶える必要のないものまで憶えたくなる」と言っています。

別な言い方をすると、「知識を理解しないで、暗記で解決したくなる」ということです。

何でもかんでも無批判に暗記すれば、それですべてが解決すると勘違いしがちです。読書をするときに、何のために本を読むのか、常に意識して本を読んでくださいと説明しました。

前掲書

 記憶術なんてバカバカしくて……という人は、円周率を1000桁覚えた!とか聞くとそう思うかもしれませんね。

 その人にはつまり、円周率の記憶は必要なかったわけでした。

 でも、もしかすると名刺をもらった時、そして初対面のときの印象、些細なエピソードを記憶しておきたいという切実な思いを常に持っている営業職の方もいると思います。

 その方が「記憶術って円周率覚えるやつでしょ、忙しくてやってらんない」と言ってしまうと、もったいないかもしれません。

 記憶術こそはその営業に割く時間を1/10にしてくれるかもしれません。

 要は、自分が記憶術で何を手に入れたいか、最初に明らかにすることが、暗記ではなく真の記憶術をマスターする第一歩として欠かせないというわけでした。

 当たり前のようですが、必要な物事を自分ごとにする、必要のないものはあらかじめ断舎離しておくというとっても地味で大切なことが、派手(で無駄な(笑))なイメージの強い記憶術の根幹なのです。

 では、シリーズ続きます(^~^)


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