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【仏教心理学】いろいろある!心理学諸派の無意識論と唯識仏教

フロイトは「無意識悪玉説」でユングは「無意識善玉説」

 心理学と言えば、必ず出てくるのが「無意識」ということばですよね。この言葉は、フロイトが打ち立てた精神分析学、精神分析療法から心理学において人間の心を解明する新しいかつかなりパワフルな道具となりました。

フロイトは「無意識悪玉説」

 現代でも、無意識の話はいっぱいあります。

 負の方向の「無意識」は例えばメンタルブロックですね。顕在意識としては良いことをしようとしているのに、無意識レベルでそれを邪魔するのがメンタルブロックと言えます。

 また、良い方向の「無意識」もよく論じられています。例えば芸術家の創造とか、宗教的な啓示なんかは無意識がいい方向に作用したものだ、と考えることができます。

 フロイトは無意識悪玉説です。自分の神経症患者さんに悪さをしているのが無意識だと考えたのでした。そして、ユングは芸術や宗教の源が無意識にあると考えたので、無意識善玉説です。

ユングは「無意識善玉説」

マズローは「無意識悪玉説」&「無意識善玉説」ハイブリット型

 じゃあ、このシリーズでよく取り上げているマズローはというと、「無意識悪玉説」&「無意識善玉説」です。

 この話ですね。

 

成長知=善玉無意識
防衛知=悪玉無意識

 成長していきたいとう原動力は無意識のモチベーションとなりますし、現状維持を志向する防衛意識は、無意識のメンタルブロックとなります。

 まあ、現実的には成長したい!という考えが間違った方向に突っ走る場合もあります。それを保守的で常識的な防衛知が、暴走を食い止めるという面もあるわけですよね。でも、方向性としては(ベクトルで考えれば)、成長知=正のベクトル、防衛知=マイナスのベクトルと言えるでしょう。

 マズローは、欲求5段解説っていうのは最初の本で提示しただけで、合計7冊の大きな本があるのですが、2冊目以降は1冊ごとテーマを変えて本を書いていました(これもあまり知られていないかもしれない)。

 経営学の本も書いています。

 この中では、マクレガーという人の「X理論」「Y理論」という、ビジネスマンの間では多分知らない人がいない有名な概念を取り入れて、「無意識悪玉説」&「無意識善玉説」を発展させています。

マクレガーの「X理論」「Y理論」もまた「無意識悪玉説」&「無意識善玉説」


 ちなみに、マクレガーの「X理論」「Y理論」というのはこんな感じです。

X理論とは

 X理論とは「人間は生来怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしない」とする、「無意識悪玉説」的な考え方です。

 マズローの欲求5段階説で言えば、生理的欲求や安全の欲求あたりを説明するとぴったりです。最低限のノルマとか最低限の社会人としての振る舞いとかです。目標が達成できれば報酬を、できなければ処罰を与えるといった「アメとムチ」で管理します。

Y理論とは

 Y理論とは「人間は生まれながらに嫌いということはなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」とした、「無意識善玉説」的な考え方です。

 マズローの欲求5段階説でいえば、社会的欲求や自我・自己実現欲求の段階ですね。管理職の人や、意欲を持ってどんどんプロジェクトを引っ張るような人はこれで説明可能ですね。

 マクレガーもまた、人間の無意識にはプラス方向のものとマイナス方向のものがあると考えていましたわけです。

仏教もまた、「無意識悪玉説」&「無意識善玉説」でもその前に唯識仏教の説明が必要


 仏教も実はこの「無意識」というのをよく考えています。

 というか、フロイトが「無意識」ということを問題にするはるか2000年以上前(笑)にすでに仏教ではフロイト著作集の数百倍(数千倍かも)の分量で無意識の研究をやっていました。

 フロイトなんて単純なもので、顕在意識と潜在意識で二階層、2段階ですよね。

たった二つしか階層がない

 でも、唯識仏教ではなんと8段階に分けて(くどいようですが2500年前に)緻密に無意識を分析していました。

めっちゃ詳しく無意識について研究していました。
マズローも仏教はかなり研究してましたよ!

 どんな著作集なんだ!(゚0゚;)というと、お釈迦様は自らは著作をしてませんので、弟子たちがお釈迦様の言ったことを思い出したり、解釈の解説書を書いたりしたもの(つまり仏典)です。

 つまり仏典ってものに誤解があるんだけどさーほんと。あの法事で眠たくなるやつ=お経ってのは睡眠薬じゃないんだよ実は。お経って自己啓発書だって言い切っても良いんじゃなかなと思います(みこ説)。

 それは、主に唯識仏教ということでまとめられています。唯識仏教はですので、仏教の深層心理学解釈派みたいなものです。

 この本も、副題が「自分を変える仏教の心理学」となっているように、無意識に注目した自己変革、これが唯識派の仏教だと言えるでしょう。

 だからなんと、2500年前にインド人はすでに、無意識をどうやったら手懐けられるのか、どうやったら悪玉無意識を消して、どうやったら善玉無意識を育てることができるのか、真剣に考えていたのでした。

 驚きです(゚0゚)!

 仏教というのはありがたい、元気になる話もいっぱいあるわけですが、詳しく見てみるとこのように、下手な心理学や自己啓発書真っ青の、ものすごく深く考えられた自己変革、深層心理学、メンタルブロックの外し方、創造性の開花のさせ方などを理論的、かつ実践的に扱っているのでした。

 唯識仏教はみこちゃんが一番凝っている(勉強している)仏教分野なので、また何書いてみたいと思います。

 (^▽^)

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