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③ChatGPT君は「教えてツール」じゃなくて「仮説検証ツール」だ

 ChatGPT君を「教えてツール」として使うのは間違った使い方である

 では前回の続きです(^-^)。

 前回はこんな結語でした。

ChatGPT君はWhy型思考「なぜなぜくん」の仮説検証質問に完璧に答えを出してくれる

②Why型思考「なぜなぜくん」とWhat型思考の「そのままくん」

 ここで最初に、みこちゃんがこの言い方に込めた字句的なこだわりを少々説明します。

 ChatGPT君は正解を出すツールではないのであって、仮説検証において完璧な答えを出してくれるツールだと述べました。

 それが本日の記事のタイトル、③ChatGPT君は<正解を>=何が正解、何がWhatを「教えてくれるツール」じゃなくて、何故(why)なんだろうという「仮説」を「検証するツール」だとなります。

 この記事ではこの仮説を検証します。

そもそも仮説思考とはなにか

 仮説思考とは目の前のデータから始めて精緻な仮説を組み立てる手法だ、という説明がブログ記事や書籍にもたくさんありますが、まずこれがデタラメです。データから始めるところに仮説思考は成立しません。

 同様にPDCAのCから始めようというのも、PDCAの本質が何も分かっていない頭の痛い(悪い?)考え方です。本来仮説思考のフレームワークであるPDCAを単なるWhatツールにしてしまいますので台無しです。それならやらない方がいい。それは今すぐやめましょう。

 仮説思考とは正しくはこのようなものです。

 仮説思考は、簡単に言うと「まず結論から考えてみよう」という発想です。
 結論を予めある程度想定して、「そのためにはこういう情報が必要だ」とか「こういう形のロジックが必要だ」という形で、言ってみれば「逆算」していくような考え方です。仮の結論をまずは置いてみて、そのために必要なものを考えていくという、逆転の発想になります。

前掲書より

 眼の前のデータに語らせるのではなく、まずは結論を出すのです。そして、その結論が正しいかどうかを目の前のデータで検証する。この逆算思考プロセスが仮説思考の正しい考え方です。この真逆で説明している言説がいっぱいあるので注意しましょう。

 といっても、そう言い切ると反発する方も多いと思いますので、もうちょっと引用しておきます。ロジカルシンキングやクリティカルシンキングの信奉者の方から反対意見が出そうですね。

 これでは論理ではなくて、「結論の決めつけだ」と思われる方がいるかもしれません。ある意味ではそのとおりなのですが、ここで重要なのは、先に「結論」と言ったのはあくまでも「仮の結論(これが「仮説」です)」であって、最終結論を決めつけるわけではないということです。したがって、ここでの「仮の結論」=仮説は、柔軟に変更しながら進めていく必要があります。

上掲書より引用

 それでもこの20年、悪しきデータ主義はビッグデータの安易な活用態度(教師なし学習の偏重)とともに蔓延していますので、さらに引用しておきましょう。

 仮説思考は、ある意味では結論を初めから決め打ちしてしまいます。その代わり、決め打ちした結論を最後まで引きずってはいけません。データを集めて、そこから論理的には結論が導けないとなったら、仮説は柔軟に何度でも見直し、次の仮説を作り直していくことが求められます。

上掲書より引用
太字はみこちゃん

 つまり、最初に出した仮の結論自体を、その結論を出した自分自身が否定するという脳内自己否定運動、これが正しい仮説思考だということになります。最近サラリーマンにブームのなんちゃって哲学をかじっている人は、弁証法かと思うかもしれませんが、まったく違います。それでも弁証法の文脈で理解したいのならば、ヘーゲルではなくキルケゴール的な弁証法です。

 これが、前回の記事で言う眼の前のデータにWhy思考の「なぜなぜ君」の態度です。この態度が、日本の未来を救います!

みこちゃんは、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングが
What思考だとまでは言いませんが、
対案のないロジカルシンキングやクリティカルシンキングは
完全に悪しきWhat思考
ですね。
ロジカルシンキング信奉者、クリティカルシンキング信者
の中には残念ながらこういう人は多いです。

【まとめ】ChatGPTは「教えてツール」ではなく脳内自己否定運動支援ツールである

ChatGPTを検索エンジンのように使ってはいけない

 このように考えると、本日の仮説、ChatGPT君は「教えてツール」じゃなくて「仮説検証ツール」だという命題で言いたかったことが明らかになると思います。

 ChatGPTを「教えてツール」として使おうという態度は、はっきり言って検索エンジンと同じです。というか、検索エンジンの方がはるかに無駄なく検索できます。

 それは「何を」検索したいのか(これがつまり検索ワード!)がすでにあきらかだからです。

 ChatGPT君に向かって「やる気の出し方教えて」と聞くのは、検索窓に「やる気の出し方」と打ち込むのとなんら変わりはありません。この時点でこの人はChatGPT君時代から完全に取り残されています。古い検索時代の人ですね。

 Why思考の「なぜなぜくん」はChatGPT君に向かって、自分の仮説が正しいかどうか、その具体的な証拠を求めます。

 「なぜなぜくん」は、まず「やる気がでないのは何故(Why)だろう」と考えます。そして仮説として「努力に対して正当な評価が得られていないからではないか」という結論を仮に出してしまいます

 そして、ChatGPT君に向かってこう尋ねます。

「努力に対して正当な評価をされていないと思った時に取りうる、穏健で正しい態度を、できる限り多面的にリストアップしてください」

 こういうのは、ChatGPT君の独壇場です。

 ここで10個くらいすぐに、すごい回答が出てきます。

 これをまた検証するのです。

 そして、自分なりの検証が得られたら、明日上司に対して自己の評価を公的的に見直してもらう穏健で正しい方法を駆使して交渉するのです。

 そして運良く上司が理解してくれて評価が変わりました。しかし、それでもやる気が出ないという場合もあります。その時は、ずっと後回しにしていた彼女との結婚話を避けてきたことが、自分がやる気が出ない原因なのではないか。前向きに人生設計をすることをすべてペンディングにしていた、という仮説が正しいのかもしれない……と思い始めるわけです。最初の仮説を自ら棄却するのです。

 その時再びChatGPT君に対して、こう質問してはいかがでしょうか。

「恋人に対して結婚話を真剣に持ちかけたいのだけど、注意点や前向きなアドバイスをください」

 その時のChatGPT君の回答はこれです。

まるで頭の良い親友のChatGPT君

 いかがでしょうか。
 
 「やる気の出し方教えて」のときと違って、自分でWhyを真剣に考えている最中なので、ズバズバと心に響きますよね。

 さっそくこれを咀嚼して、そのあと自分の立てた仮説検証脳内否定運動(仕事で評価されなかったことではなく、自分の人生に一番大切な人とのことを後回しにしていたこと)に促され、彼女に「久しぶりにゆっくり会いたい」とLINEをすることになりそうです。

 ChatGPT君はもしかすると、彼と彼女のキューピットかもしれません。


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