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【パルプファンタジー】『砂騎士アンジェロ』

ユーキ・ファンタジーラヴァー

やぁ同好のみんな！
急激に寒くなってきたが元気だろうか？

今日はふと『オレ、パルプ小説書いてみたい！』ってなったので自作アドベンチャー掌編をお送りするよ！

本作品は以前行った以下のポストをベースにしている。

このお話はオリジナルの設定に則っているが、ハルクウーベンの世界から強い影響を受けている。よって二次創作ガイドラインに基づいた配信を行うよ！

ハーミットインのファンメイド、二次創作であることに注意してからじっくり楽しんでくれ！

砂騎士アンジェロ

7度の両手剣による斬撃をもって、聖騎士アンジェロはボボサと名乗ったバグベアを屠ることに成功した。

剛毛と巨大な筋肉で覆われた堅牢な肩に、手のひら幅の両手剣が3分の2程めり込んでいる。

どす黒い出血と共に7フィートの巨体は声もなく崩れ落ちた。寸暇もなく、アンジェロはバグベアの肩口に3度の突きを行った。

2撃目はバグベアの皮膚を完全に貫き通し、3撃目にやっと切っ先が貫通。鎧の背板に到達し金属が触れ合う感触を得た。

「マチョーテの神に誓って、今日の行軍は限界だな。」

アンジェロのわきから現れた従騎士ジョバンニはボボサに突き刺さった両手剣を強引に引き抜き、取りついた粘度の高い血塊をナイフでこそぎ落とす。

バグベアの血液はその高い体温を失うと急激にゼラチン質の粘り気を発揮し、上等な剣を即座になまくらへ変えてしまうのだ。

アンジェロの額には冷ややかな汗がしたたり落ちていた。バグベアとの死闘の中で従者ジョバンニを除く従者3人は負傷(恐らく一番若い男は死亡した。)斥候のホブゴブリン、赤の戦化粧をしたレザーハットのやつが丘を越えて逃げていくのを目撃していたからだ。あのホブのことは知っている。サドメアという指揮官で、騎士殺しで有名な殺戮者だ。

ホブは十中八九、新たな増員をもって俺たち5人にとどめを刺しに来るだろう。増員には複数のホブ、場合によっては新手のバグベアも含まれている可能性がある。

幸いにもアンジェロは無傷であったが、鎧の右脛と胴の中心線沿いに深い打撃痕が残ってしまっているのが気がかりだ。

「高原のどこかに隠れるしかないだろう。」「案内人の地図には観測所と地下水道への竪穴が記載されております。」「竪穴までの道は稜線を越える必要がある。」「しかしデポアの遺骸を運ぶ必要があります。観測所に引き返す前にサドメアに追いつかれましょう。」

薄汚れた地図にナイフを当てながらアンジェロは一つ仕事を打つこととなった。

「良かろう。ではこういうわけだな。俺一人が稜線を越え、“穴倉”へ火を打ち込む。そうすればあのホブゴブリンどもも手を焼くこととなるだろう。」

ジョバンニは深く頷いた。
騎士は留め具の外れかかったヘルムを砂地に投げ落として己の使命を呪うのだった。

＊＊＊＊＊＊

アンジェロは馬に乗らぬ騎士である。元より馬上の戦いは不安定で好まないし、何より敵に気が付かれることを嫌った。

壁向こうでの経験が、アンジェロを地上の騎士として成長させたのである。砂が入らぬようマントの端を鎧の隙間に詰め込んで、アンジェロは黒い土を這進んだ。

土は焦げたにおいがして、鎖帷子に塗り込んだオイルの香りとまじりあう。

そこにほのかに、確かに、鋭くまじる血の匂いに、アンジェロは素早く反応した。

立ち上がり際の一撃がサドメアの胸鎧ではじけ、そのまま首元へ滑り入った。敵は二人、ホブゴブリンのサドメアと護衛のバグベアだ。

ホブの小さな頭は激しく後ろに折れ曲がり、音を立てて血を吹き出した。転げ落ちたホブの頭とは対象にバグベアは毛むくじゃらの巨頭に小さな牙を持っていた。

両手斧をもつバグベアは咆哮と共にアンジェロの肩鎧めがけて一撃を振り下ろした。

未だ強襲の衝撃から立ち直っていないホブゴブリンの残された身体を足蹴にして、アンジェロは8フィートの巨体と対峙する。

「Waaagh!!」雄たけびと共の一撃。

一歩半の後退がアンジェロの腕を凶撃から守った。すかさず左手で握りこんだ砂をバグベアの小さな目に投げつける。

目に砂が直撃し、痛みと驚きで瞬時に視界が奪われた。巨大な生物は痛みに怒りながらも、一瞬の混乱を隠すことができなかった。

その隙を見逃さなかったアンジェロは、敵の防御が手薄になった瞬間を見計らって、素早く両手剣を振り下ろした。

刀身は空気を切り裂く音を立てながら、バグベアの厚い筋肉と皮膚を容易く切り裂いた。深い傷からどくどくと血が溢れ、バグベアは苦痛の叫びを上げたが、アンジェロの攻撃はそこで終わらなかった。彼はさらに一撃を加え、怒りと戦闘の興奮に駆られながら、巨大な敵の脆弱な部分を的確に狙い続けた。

やがて巨体はひざを折った。

聖騎士は血と鉄と汗のたまった黒土に腰を下ろし、しばしその興奮を収めるのだった。やがてはデコン高地を越え、帝国へ至らねばならぬ。

その道はいかほどに血を欲しているのか、ふと考えるばかりであった。

つづく！！

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