鬱になるとかかる費用 みんな早めに保険入ろう!
私は2019年2月に鬱状態と診断されてから2年半弱、2021年7月現在、快方に向かってはいますが通院を続けています。
実際うつになるとどれくらいお金がかかるのか、直接的、間接的にかかる費用について、私の場合どうだったか書きたいと思います。
でもとりあえず最初に結論だけ言うと、健康なうちに保険に入れ。支払いが少し辛くても保険をやめるのは最後の最後にしろ。ということです。
1. 医療費
費用として真っ先に思い浮かぶのは医療費かと思います。
今までにかかった医療費総額は、正確にはわかりませんが、多分50〜70万円くらいだと思います。
鬱になってから半年以上、自暴自棄を極めており「こんなもの取っておいても誰かが払ってくれるわけでもないしいいや」という謎理論で領収書を捨てまくっていたからです。(公務災害申請しようと思ってからは保管してあります)
(参考までに)
50万円〜70万予想の内訳
・自暴自棄期間を過ぎて領収書を取っておいた2020年の1年間で19万円(領収書で計算してるのでこれは正確な額です)
・2020年にはだいぶ通院頻度が減っており、2〜3週間に一度だったが、2019年は週1回程度通院していたことから考えるに、2019年はもっと支出が多いに違いない
→30万から50万の間くらいだろうと予想
・2021年は通院頻度と薬の量が減り、さらに障害者自立支援医療費助成制度を使っているのでまあせいぜい2〜3万円かなあ
というざっくりしたものです。
これは本当に馬鹿すぎる判断(判断と呼べるほどのものではないですが)でした。
1年間の医療費が10万円を超える場合、確定申告の際に申請すれば医療費控除が受けられます。かかった医療費は返してくれませんが、税金の減免という形で補填してもらえます。
なお、医療費については別途公務員災害補償制度で申し立てた結果、そのうち返ってきそうです。
(認定の通知が来てから1ヶ月、まだ申請方法の問い合わせに満足な返答をもらえず、申請できていませんが。)
2. 収入の減少
国家公務員は、細かい説明は省きますが、休職期間であっても6ヶ月までは基本給を全額もらうことができる制度になっています。
私の休職期間は6ヶ月未満だったので、退職するまでは基本給は全額もらっていました。
ただ、当時は社会人2年目。基本給も高くありません。残業代が出ないので、手取りが14万円台にまで落ち込みました。
余談ですが、キャリア官僚は高給取りと思われがちですが、(実際、仮に残業代が全部出たらそれなりの給料にはなると思いますが)私は約3年間の勤務で、一番手取りが高かったのは30万円ほどで、休職してた期間を除いて平均すると、だいたい手取り26〜27万円くらいでした。
年齢の割には高いですが、残業時間60〜80時間/月くらいがデフォルトと考えるとどうか…。
2019年は休職2回(合わせて5ヶ月半くらい)と、医師の診断書により残業禁止またはたくさん残業しないよう言われていた期間が1ヶ月ほどあったので、半年強は残業代支給なしだったわけですが、前年と比べて額面の年収が100万円減りました。
これで注意しないといけないのは、先述の通り年間数十万円の医療費で支出が増えているということ。生活水準は変わらざるを得ません。
3. 保険が選べなくなることによる支出増加
私としてはこれが一番長くあと引く目に見える損失かと思っています。
精神科/心療内科通院歴がある場合、通院が終わってから5年経過していないと、告知事項に引っかかってだいたいの医療保険に入れません。
精神科通院歴があっても入れる保険は告知の内容がかなり少ない緩和型というもので、告知内容を減らしている分、保険料は高くなります。
保険に入るには、例えば「直近数年でがんの診断を受けたことがありますか」といったような質問に答える(=告知)必要があります。
参考:オリックス生命保険「告知とは何のためにするものなのですか?」
https://faq.orixlife.co.jp/faq_detail.html?id=81
具体的には、同じ内容の保障が受けられる保険と比較して、月額にして2,000〜3,000円程度高い保険しかありませんでした(額についてはもちろん、どれくらい手厚い補償をつけるかによって変わります。)
つまり、通院が終わってから少なくとも5年経過するまでは、毎月数千円ずつ高いお金を払い続ける必要があります。
鬱になる前にしっかり保険に入っていれば、そしてそれをやめていなければなかった出費です。ちなみに私は、もともと環境省のグループ保険に入っていたのですが、もう環境省とつながりを持つということ自体が精神的に完全に無理だったので、退職時にグループ保険もやめてしまったのでした(追加料金を払えば続けられるような話があった気がします)。
私は今後いつ治療が終わるかわからないので、何年多めに払い続けなければいけないのかは見通せません。
4. 機会費用
4-1. もらえるはずだったお給料がもらえない
先述の通り、退職前の給料は額面で年収100万下がったのですが、ここでは退職後について書きます。
退職時、心身ともにフルタイムで働けるような状態には程遠く、まずは週3日ほどアルバイト(1日当たり6時間ほど)することにしました。
楽観的に、「鬱になる前はもともと激務でも元気に働いていた私だし、数か月アルバイトして新しい環境に慣れれば、フルタイムに戻れるだろう」と思っていましたが、
働き始めてみると心身のダメージが思っていた以上にすごかったようで、週3日アルバイトしただけで、胃が痛すぎてお休みしてしまうこともありました。
現実はフルタイムに戻るには程遠く、年金のことを考えると扶養の範囲内で働くことを選択せざるを得なくなりました。
ということで、この1年間で、鬱にならずに仕事ができていれば得られたであろう200~300万程度の損失が発生しました。
もちろん、医療費は継続してかかっているので、常に金欠でした。
4-2. 就職先の選択肢が減り、結果お給料が減る
私はそもそものマインドとして、キャリア官僚を目指すくらいなので、ある程度裁量権のある環境で、大きな仕事がしたいという気持ちがあります。
一方で現実は、週数日のアルバイトもままならないほど…。このギャップにはすごく苦しみました。
「自分はもう以前のように何の配慮もない状態でフルタイムで正社員の責任を負うことはできないのかもしれない」と思い、障害者雇用という選択肢もとれるように、2020年夏に、障害者手帳を取得しました。
とはいえじっくり治療を続け、良い人に恵まれサポートしてもらったおかげで、体調自体は徐々に回復していたので、
2021年3月ごろから、障害者雇用も含めて正社員の道を探して転職活動を始めました。
でも、まず前職を鬱でやめている、かつ職歴にブランクありということで大変なハンディキャップです。
まず愕然としたのは、障害者雇用の収入の低さ。
私のような精神障害者の平均給与は月額で12.5万円です。
(参考)
障害者の給料は安い?障害者の平均給料・年収やその実態を調査|atGP(障害者雇用専門の転職エージェント)
https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/c1517/
また、障害者雇用以外の枠で応募する際も、知ってもらっていたほうがお互いのために後から不幸がないだろうと考え、履歴書には必ず障害者手帳を持っていることを明記していました。(書く義務はないと思います。)
そうすると本当に書類が通らず、一次面接までもいけません。
もちろん障害者手帳や職歴のブランクのせいだけではないと思いますが、環境省に在職中だったときに少し転職を考えて応募していた頃と比べて、書類の通りづらさは比較にならないほど。
よって、そもそも仕事の選択肢が少ない中から選ばざるを得ず、結果として年収はかなりダウンしました。(それでも今健康に働けているのでとても感謝しているし楽しいです)
5. まとめ
鬱になったことで、医療費以外にも様々な損失がありました。しかもこれはお金の面だけで、精神的苦痛なども含めたらもっともっと大きな損失です。
冒頭に書いた通り、私は公務災害に認定されて医療費は戻ってくることになりましたが、鬱になってからたった2年半ほどで、医療費以外の機会損失が数百万円に達していると思います。
まず鬱にならないこと、がもちろん大事ですが、そうは言ってもどんな人もちょっとしたボタンの掛け違えで鬱や適応障害を発症することは十分にあり得ます。
①健康なうちに保険に入っておくこと
②医療費の領収書はきちんと取っておくこと
③実際鬱になったら、どんな補償があるのか、健康な時から把握しておくこと
この3点が本当に大事だと思います。
鬱の状態でいろいろ考えるのは、脳みそが疲れているのでハッキリ言って無理ですので、日ごろからの備えが大事です。
少しでも読んだ方の参考になれば嬉しいです。