2024/11/07 20:36

あれは確かに絶望だった。
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夕飯の後、洗い物をしているとき、昔、ある人に言われたことを思い出した。
「全部思い通りにしようなんて、わがままだよ」

あの時、私は一人目の産休明けたばかり。夜中に何度も起きる娘の子育てと仕事と家事に追われていた頃。
ふと漏らした私の愚痴に返って来たのが「わがままだよ」だった。

てっきり「頑張ってるね」と言われると思っていた私は、自分の甘えを指摘されたようで、頭が真っ白になった。
一瞬遅れて、言われた言葉の意味が頭に入ってきて、
そうか、私はわがままなのか。

結婚して知らない人ばかりの土地に来ることを決めたとき、
私はたくさんのことを諦めたと思っていたのに。
産後すぐ子どもを夫の母に預け、仕事に復帰したのも、家族のためだと思っていたのに。

そうか、私はわがままなのか。

すべてなんて望んでるつもりなかった。
いろんなことを諦めて、それでもどうしても叶えたいと思ったことさえも。

そうか、私はわがままなのか。

なら、もう望むのはやめよう。
これっぽっちの夢さえ、叶えられないのなら。
私が選んだのはそういう道だったんだから。
しかたないんだよ。

あれから、私は絶望したまま。