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2024/08/07 15:05
度肝を抜かれた今村昌弘さんのデビュー作『屍人荘の殺人』を読み終えたとき、次の作品が出ているのは知ってたけど、次は読まなくていいかな、と思った。
ぶっ飛んだ設定のお話で、しかもそれを丁寧に活かしているのに驚いたんだけど、残酷なシーンも多くて、お腹いっぱい、胸焼けしてる感もあったんだよね。
これ以上、読んだら嫌いになるかも。
このまま、いい思い出で終わりたい。
だから、もういいかな、とぼんやり思って、読んでなかった。
ところが。
ある日、知ってしまったのです。
『屍人荘の殺人』で私の心を鷲掴みにした明智恭介さんを主人公にしたスピンオフ作品が出版されたことを。
こ、これは、読まねば。
そして、ふと思う。
シリーズの続きの2作品。あれに明智恭介さんがどんな風に関わってるか、それを知らずにスピンオフに進んでいいのか、私。
スピンオフ作品『明智恭介の奔走』は、『屍人荘の殺人』以前のお話とのこと。一方、シリーズの2作品は以降のお話。時系列的な問題はない。
でも、今まで何度もシリーズの順番を無視して読んで、読んだ記憶を消したい、と悔いたことか。
読書は一度読んでしまったら、もう元には戻れない。知らない自分には戻れない。初読はただの一度きりしか経験できないんだから。
というわけで、『魔眼の匣の殺人』『兇人邸の殺人』を読むことにして、でも読み始めたらオエーーーッとなって(やっぱり残酷な描写が多かった)、合間に、本屋で見かけて買ってしまった『明智恭介の奔走』の表紙をなでたり、うっかり中身を読まないように目を細めながら本文のフォントを確認して過ごしてる。
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