女の子の色なんてない
「これ!」
1歳8ヶ月になった息子がパステルピンクの靴を指さして言った。
先週末、息子の靴が少しきつくなってきたので14センチの靴を買いに、赤ちゃん本舗へ行ったときのことだ。靴コーナーには、100種類以上の靴がズラ〜と並んでいる。
「これがいいの?」
「これ!ピンク!!」
息子は最近気に入ったものがあると目をキラキラさせて「これ!」と選ぶ。おもちゃでも、Tシャツでもなんでもそうだ。だから、間違いなくこのピンクの靴を気に入っている。
おおっ!これが気に入ったのね!と言いながら試着してみると、足の形にも合っている。「じゃあ、これこれにしよっか、いい色だね」と息子に話しかけて買い物かごに入れたとき、一瞬頭をよぎったのは「息子にピンクの靴を履かせてたら、他の人にどう思われるかな。」ということだった。
普段から息子はピンクのTシャツやピンクのズボンをはくこともある。もちろん青や黄色、緑と様々な色の服を着る。それまで男の子がピンクを身に着けることに一切抵抗がなかったのに、「ピンクの靴」となったとき、なぜか人からどう思われるか気にする気持ちがひょっこり現れたのだ。
息子が生まれる前、夫と「子どもが生まれたら男女関係なく好きな服や物を選んでもらおうね」と話していたのに、私の心の中にも潜在的に「ピンク=女の子の色」という気持ちがあったのだろうか。
いや、もう少し細かくいうと、自分は「『ピンク=女の子の色』と思っている人にどう思われるかということを気にしてた」ということが分かった。
自分の価値観より人の目を重視している点で、余計にたちが悪い。
以前、5歳だった時の姪っ子がピンクの色鉛筆を使っていた時に、「これは女の子の色だよ」と言っていたことを思い出した。こんな小さい子にもそういう意識がすりこまれてしまうのか…と少し切なくなった。
そのときは、「女の子の色も男の子の色もないんだよ、好きな色を選んでいいんだよ」と伝えたけれど、自分はまだまだ口先だけだったのかもしれない。
女の子の色なんてない。
好きなものを自由に選んでほしい。
人の目なんて気にしない。
そんな普通のことを躊躇してしまう自分がいることを忘れぜずに、意識的に大切にしていきたい。
今日もピンクの靴を嬉しそうにはく息子。
これからも息子の好きな色の靴を買い続けよう。