あなたはインテリゲンチャにとっての被検体
地下室からもれる方眼紙
それに力の都合を乗せたら
病んだ魂は光速で空を飛ぶだろう
花の蕾は恥じらいながら膨らみ
鳥は新芽を喜びながらついばみ
樹々に潜む病んだ魂は色づくだろう
街はいつまでも人を待ちつづける
沈黙は定規で図る絵空事
少女の魂は病みながら笑顔になるだろう
傘は歯に入れている
涙は口に降り
足先は汚水でむくみつづけるだろう
地下室からもれるスープ状の文字
それに裏の朝日を沈めたら
病んだ魂は凍えて地中に隠れるだろう
あなたはペンです
(初出:P.N.小林かよ 「詩と思想 2016年5月号」)