失恋3
濡れない雨に乾かされて重くなる服を脱いだ
ふたりで傘をさして歩く夢は寝言のようだ
あなたの眼差しは温かいが床は冷えている
わたしの震えは予感だったのかもしれない
黒い雲に青い空が抵抗することはできない
ふたりは空を飛べたなら大地に抵抗できた
あなたの青い空を信じていたが黒い雲を数えた
わたしの黒い雲は測れなかった
数えることはまるで愛を失うための儀式のようだ
愛するためにはなにもかも数えてはいけなかった
あなたはそれを知っていて数えた
数えられないと知ると数えられるものを数えてしまったので
ふたりは別れることになった
さようならの数を永遠に数えてしまうと
愛は永遠に失うことになるので
あとひとうだけ あとひとつだけと
繰り返しては 徐々に失う道を選んだ
あとひとつ さようなら