あの夏から5年
手持ち花火、かれこれ5年くらいしてないな。
あの夏からもう5年が経とうとしてるなか
こんな文章をしたためています。
新社会人になってすぐの夏。
春に一人暮らしを始めて、最初の夏休み。
失恋をしました。
よくよく考えればあなたとの賞味期限が切れ切れの関係をここまで続けてこられたことが奇跡みたいでした。
出会いは大学時代のバイト先の塾でした。
最初は英語しか知識のない私と
同じ生徒を受け持つことが多い
「相方」だと思ってました。
生徒のファイルを「どうぞ」「どうも」と
受け渡すだけの関係を一年くらい続けてたら
バックヤードで少し話すようになって
互いにSNSをフォローして
バイトのない時はそこで話して…
「相方」から気がついたら「仲のいい先輩」に
なっていました。
私はback numberが好きだったからという理由で、あなたは原作漫画が好きだからと
ラブコメの実写映画を見に行くことに
始めて映画見に行くのにカップルシートしかなくて思えばあれが初めてのデートと言えるものだったのかもしれません。
そこから、バイト先でも仲良く話したり
また映画を見に行ったりしました。
京都の学生だった私たちにとってシネコンは
京都駅か河原町くらいにしかなくて
河原町でランチして、
映画見て、カフェでお茶する。
完璧な流れだったと思うし
今思えばピークはその時でしたね。
あなたの思いに気付き始めて、
向き合うには少し遅すぎました。
気持ちが切れたとかそんなんじゃないけど
寂しさを埋めるだけで、お互いを傷つけるほど付かず離れずの心地よい関係を気がつけば結局4年くらい続けていました。
酷い失恋があって大学に行けなくなっていた
あなたの留年が決まった時、そうすべきじゃないのに、期限が伸びたような気がして
少し喜んでしまいました。
そんなロスタイムを惜しむように
4回生でサークルを引退して暇になった私と
5回生になり授業を受けざるを得ないあなたは
混雑しててあまり行かなかった食堂で昼ごはん食べたり、授業も一緒に受けたりしました。
まさか大学最終年に新入生みたいな形の
微かな恋を育もうとするなんて思わなかったです。
そんな緩い幸せがダラっと続く、ソラニンみたいな関係を繋ぎながら、私は
文化祭の実行委員、大学の学生自治議員、ゼミ三足の草鞋を履いて死にそうだったんですが…
とはいえ、僕と出会った時のあなたもそこそこに
死にそうな顔をしてました。
そんなんだから釣り合いそうってお互いがお互いを思ってたから、少年誌の人気漫画よろしく延命に次ぐ延命を重ねられたんだと思います。
自惚れも甚だしいけど、この恋はあなたが仕掛けたものだと今でもずっと思ってます。
ですが、ここまで中身も見た目も含めて好きになったのは生まれて初めて、というか生きててもそうないんだろうとそう思います。
これまでの自分の恋は大概"見た目先行型"
シドのsweetから引用するなら"憧れ先行型"
そこから好きになるので熱しやすく冷めやすかったのですが、この恋はいまだにズルズル頭の中を占めています。それを清算するためにこれを書いているくらいですから。
あなたからしたら
もうなんでもない後輩かもしれませんが、
私はそうじゃない。
いまだにあなたに似た人を不意に探してしまうし
どこかで会わないかな…
そんな偶然に期待してしまいます。
極め付けは、人に恋をすることが億劫になってしまいました。ここまで中身も見た目も好きになってしまったら、早々に塗り替えれそうにはありません。あわよくば責任をとって欲しいくらいですが、そんなわがままは墓場に行くまで持って行きます。
ここまで綴ったコレがあなたに届くなんて微塵も思ってないけど、もし、何かの偶然であなたがこれを読んだら、一報ください。
会えるわけないし、会えなくてもいい
なんて建前では言うもののやっぱり
心の底から会いたいと、そう思っています。
結局こんなものを書いたって清算にもならないし、あなたに会えるわけでもない…
だけど5年経ってようやく少しずつ、少しずつ
僕は前に進めそうな気がしてます。
この夏はあなたが育った街
大和郡山市を旅することにします。