「オンラインで、本と、おしゃべりと、」で『バスカヴィル家の犬』について語り合いました♫
2021年10月30日、足立区立舎人図書館さんと「本と、おしゃべりと、」のオンラインイベントを行いました。
今回のテーマは、コナン・ドイル著シャーロックホームズシリーズの一冊、『バスカヴィル家の犬』です! 名探偵シャーロックホームズと医師ワトスンの名コンビが、ホームズを出し抜くほどの頭脳を持つ敵とどう対峙するのか? バスカヴィル家の魔犬伝説は事件にどう関係しているのか? といった点が見所です!
なお、イベントはみんなで読後感想を語る趣旨なので、この記事はネタバレ全開です。ご注意ください。
1・作品概要
シャーロックホームズが登場する作品は執筆当時も大人気でしたが、著者コナン・ドイルは『最後の事件』という短編で、物語を一旦終了させています。そこではロンドン犯罪者界の帝王・モリアーティ教授とホームズの対決が描かれました。
今回扱った『バスカヴィル家の犬』は、一旦終了した後の復帰作品であったためか、話の前半でホームズが犯人と思われる相手に出し抜かれる展開があります。強敵モリアーティ教授との対決を描いた後なので、ホームズに匹敵する頭脳を持つ敵を出現させたのでしょう。
とは言えホームズは強敵出現を喜んでいるようでもあります。ここから物語が激しく動き出す期待感が持てるシーンと考え、マンガにしてみました。
ホームズは難解な事件に出会った時ほど充実感を得る人なので、まさに水を得た魚!というところでしょう。
読後に振り返ってみれば、このシーンは敵がホームズを意識していることを明示しており、この敵に対峙するためにホームズとワトスンが別行動しながら謎解きを始めるという展開の動機付けにもなる大事な場面です。
事件はバスカヴィル家に伝わる魔犬伝説を利用して、遺産を奪い取ろうとしているのは誰か?という終わってみればシンプルな話です。しかし、様々な人間模様が絡みあい、ホームズの予想を上回るほど周到な「魔犬」の利用法があったりと、終盤までハラハラ感があります。120年も前に書かれた作品(初出は1901年)ですが、時代を超えて人気を持ち続けている作品であることがうなづけます。
2・イベントで出た話題
イベントは、舎人図書館のスタッフさんが「印象に残っている場面」や「好きな登場人物」などお題を出して答えていく形式で行いました。
参加者の多くがワトスンに感情移入していて、冒頭でホームズがワトスンを褒めるシーンは皆さんの印象に残っていました。
一方、私はステイプルトンという人物に強く興味を惹かれました。作品としては卑劣な悪役として書かれていますが、波乱万丈な人生、高い知能、周囲に2人の魅力ある女性がいる点などを考えれば、ステイプルトンをダークヒーローとして描くスピンオフがあっても面白そうです。
そんなこんなを盛り込んだ感想マンガがこちら。
3・翻訳を見比べるのも面白い!
『バスカヴィル家の犬』の初出は1901年! 120年も前の作品ですから、何度も日本語訳されています。私は深町眞理子訳と阿部知二訳を読みましたが、少し雰囲気が違うと思ったシーンがいくつかありました。他にも駒月雅子、大沢在昌、鈴木幸夫、延原謙、日暮雅通、各務三郎など多数の人が訳しているので、特定のシーンを見比べる取り組みもしました。
時代や解釈によって訳がそこそこ違うことが読み取れて、歴史ある翻訳作品ならではの楽しみ方があることを、みんなで納得しました。
4・次回は久々のリアル開催!テーマは「〇〇の秋」
次回の「本と、おしゃべりと、」は久々のリアル開催です! テーマは「〇〇の秋を感じる小説」!
食欲とかスポーツとか、〇〇に当てはまりそうな小説を参加者がそれぞれ選んで紹介する形式です。11月20日14時〜16時、足立区立舎人図書館にて、事前予約制で開催しますので、ぜひ申し込みの上ご参加ください。
詳しくはこちらからご確認ください ↓