6号_伝統と今をつなぐ箸づくり
ロケット団、増山です。
2019/11/8(金)、福井県の小浜市へ。
オリジナルの箸セット製作をお願いしている「兵左衛門」さんを取材してきました。
福井県小浜市は、塗箸の生産が日本一とのこと!
福井といえば、恐竜・メガネ・東尋坊だったので少しびっくり。
今回、オリジナル箸セットを発注させてもらった兵左衛門さんは、
天然素材を使用し、職人の手作業で一膳一膳丁寧にお箸を作られています。
機械で製造しようと思えば、1日で10万膳作れるけど、
兵左衛門さんは、あえて手作業で1日2,000膳ほどの製作を続けています。
自然のぬくもりや、持ちやすさ、使いやすさを追求し、
人の口に入る箸だからこそ、安全・安心をモットーに丁寧に製作されています。
究極の持ちやすさを表現した「けずり箸」は、
木をカットし、けずり、整え、漆を塗るなど11工程を経て完成します。
伝統的な「若狭塗箸」は、卵の殻や貝殻などの装飾をし、幾度も漆や研ぎを行い、32工程を経て完成する逸品です。
上の写真は、まだ研ぎの途中。厚みを変えた紙やすりで、5-6回も研ぐ丁寧さ。この丁寧さが漆塗りの美しさを左右するのだそうです。脱帽。
紙ヤスリの番手は数字が小さいほど目が粗く、数字が大きいほど目が細かい。
さらに、兵左衛門さんの驚くべきところは、職人さんが4人しかいないこと。
一人前になるには10年くらいかかるようで、なかなか職人が増えないことも悩みだそうです。
工程の最難関は、けずり作業で、職人さんが1本1本けずっているため、
世界に1つだけの箸が作られているのも感動ものでした。
また、伝統的な技法を活かしつつも、現代風にアレンジされたデザインも兵左衛門さんの特徴です。
東京にある企画部と福井の製造部、双方がデザインを考えるそうです。
理由としては、斬新で新しいものが生まれるから。
例えば、企画部の方が考えたデザインが製造部の方にとって「こりゃ作れん。無理だろ!」というデザインでも、「どうやったら出来るのだろう?!なんとしてでも作ってやる!」という想いとコミュニケーションが新たなデザインを生みだすのだそうです。
双方の想いが重なって、200~300種類ものデザインバリエーションが実現し、箸デザインの可能性が広がっているとのこと!
さらに、野球好きならピンとくる「かっとばし!!」という商品もあります。
現在、年間10万本もの木製バットが消費されているそうで、プロ野球選手や社会人野球選手が使って、折れたり使えなくなったバットを再利用してお箸にしているそうです。
野球を知らない私でもわかる有名選手のバットも多くありました。
バットに使われるアオダモという木は70~80年経ってやっとバットにできるという貴重な木らしく、「かっとばし」の売上げの一部は、NPO法人アオダモ資源育成の会を通じてアオダモの植樹や育成に利用されています。
環境保全に努めているところも兵左衛門さんの素敵なところですね。
【まとめ】
ここ数年、ありがたいことに地域の伝統工芸品の製作現場に行かせてもらってます。そこでいつも思うのは、職人さんの想いとこだわり。
生産性や効率化の波はあるものの、変えてはいけないこだわりを
とことん追求し、伝統を継承しつつ新たなものづくりを発信している職人さんにはいつも驚かされます。
今回の兵左衛門さんの箸デザインの革新に学べるのは、
自分の限界を超えた先に新たなものづくりが生まれているということ。
自分にはない発想を受け入れ、どうにか形にしていく想いや努力は、
オフィスで働く私達にも大切なことではないかと想います。
クリエイティブなものは日本の各地域でも着実に増え続けているのを実感した出張でした。
※補足:伝統工芸品取材後のあるある
最初は「高いな~」と思っていた商品も、職人さんの想いを感じた後には「安いな」と思ってしまうのです。日本の伝統工芸品はすごいな。
今度はどこ行こうかな~。