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音楽か絵ができればなとほんとに思う

こんばんは。有紀佑です。

先週、久しぶりに稽古がありまして。
全員揃うのも久しぶりだったので、お喋りにも花が咲き……。充実した土日でした。

さて、今日は何を話そうかなということで。
よければまたお付き合いください。


突然ですが、これを読んでるあなたは演劇を見たことがあるでしょうか。

前回もちらっと触れましたが、わたしは高校のころから演劇をしています。今もやってます。
メインは役者と脚本です。よければ仕事ください。


なんちゃって。


それはさておき、わたしが思うに、演劇を見たことある人というのは圧倒的に少数派のはずです。
やったことある人はもっとでしょう。


それはなぜか。


原因はおそらく、ハードルの高さとコスパの悪さなんじゃないかなと。
同じ芸術分野の、音楽や美術と比べてみれば分かりやすいと思います。

例えば、音楽。
レコードやCD、最近だとサブスクやYouTubeなどお持ちのスマホで、音楽を聴くことができます。
街中や店内にも音楽が流れていることが当たり前になりつつありますし、テレビでも音楽番組が放送されるなど、かなり身近な芸術として普及している印象です。

例えば、美術。
音楽に比べると敷居が高い、崇高な感じがしてしまいがちですが、イラストやデザインも美術の範疇と捉えると一気に親しみやすくなるのではと思います。絵画や彫刻、工芸においても、美術館や博物館でいつでも比較的手軽に鑑賞を楽しむことができます。

また、音楽や美術は授業にもなっているため、そうした芸術分野に興味がない人も少なからず触れたことがあると思います。


では、演劇はどうでしょうか。
もちろん、演劇の授業はありません。課外授業で、人形浄瑠璃とか歌舞伎とか伝統芸能を鑑賞したことがある人はいるかもしれませんが、それ以降触れるタイミングはないかと思います。
じゃあ美術のように気軽に観に行けるのかと言われるとそうでもありません。
演劇は美術館や博物館の常設展示のように毎日同じ場所で同じものが開催されているわけではありません。(大小を気にしないのであれば、どこかで毎日何かしらの演劇は行われているかと思いますが。)
チケット代も数千円〜数万円と幅が大きく、財布に負担がかかることになります。また、上演時間も60分〜3時間前後と、上記の二つよりも圧倒的に所要時間が長いです。

映画やドラマも演劇と同様、演技やストーリーを見せる芸術ですが、その2つとも違うのは時間の融通が効きにくいところです。映画は一日で複数回映画館での上映があり、全国で上演される場合がほとんど。ドラマはテレビで放映されるわけですから、録画さえしておけば家で見たい時に見ることができます。サブスクに入ればどちらもスマホで好きな時間に見ることができて便利ですよね。


一方、演劇は平均1日2回公演程度。期間もバラバラですから、その時期に忙しければ観に行けないということになります。東京でしか公演しないというのもありますし、そうなると地方の人は遠征する費用も発生します。
コロナにより配信システムが普及したとはいえ、その期間が終わってしまうと二度と観ることができないという状況がしばしば発生します。(サブスクも一部なくはないですが。)


このように、演劇は観に行くハードルが高い芸術なんです。


コスパの悪さは上演時間の長さが関係します。

脚本はセリフの連なりです。その会話の中でメッセージ性を届けていくわけで。極端に言えば、音楽が4分で伝えられるメッセージを2時間かけて説明しているということになります。
美術のように直感的に見て良し悪しを判断できるものではないので、全て見てからじゃないと良いものなのかどうか判断が難しいのも理由に挙げられます。

また、鑑賞のときだけではなく、創作する場合においても演劇のコスパの悪さを感じてしまうことがあります。

演劇はひとりじゃできないし、稽古も時間がかかるし、稽古場所も公演会場も借りないといけないし、衣装や道具も用意する必要があるかもだし、集客しないといけないし、公演してもその期間にしか生で観てもらえないから広告としての広まりは弱い。そもそも会場のサイズには限りがあるわけですから、生で見てもらえる人も限られます。

音楽や美術も、もちろん人と共同で行うことはあるかと思いますが、やろうと思えば一人でもできるという点を考えると、やはり演劇はコスパが悪い感じがしてしまいます。


演劇のネガティブキャンペーンばかりしているとそろそろ思われてしまいそうなので、ここからはそんな演劇のセールスポイントを紹介させてください。

①リアルタイムならではの熱量とその共有

演劇は基本会場に行かなければ観られません。そのため、必然的にリアルタイムでストーリーや演技を目の当たりにするわけです。役者もその瞬間に二、三ヶ月の稽古の全てを見せなければなりませんから、当然演技にも熱量を帯びてくるわけです。
体験したことがない人に口頭で説明するのはすごく難しい、感覚の話になるのですが、舞台上から圧が伝わってくる感じです。ほんとにすごい舞台はひとりの人間を高揚させたり、メンタルブレイクさせることもできるほどの破壊力があります。
よく『浴びる』という表現がされますが、本当にすごい演劇は役者の必死さ、ストーリーの濃さを浴びることになるんです。
それがわたしの思う演劇の最大の魅力だと思います。

②感情移入、現実逃避できる

前回のわたしのnoteを読んでくれた人は内容が重複するかもしれませんが、

ストーリー ≒ 誰かの人生

を書いているわけですから、自分に似た境遇のキャラクター、共感できる感情、目を惹くような場面が登場するはずです。そのとき、あなたも心を動かされることがあるかもしれない。①と合わせて言うならば、役者の演技に熱が入れば入るほどその度合いが増していくことになります。

③余韻が長い

音楽や美術もそうですが、芸術は見てもらったり聴いてもらったあと、いかにそのメッセージ性について考えさせるか。もしくはさせたい気持ち(応援歌なら励まして明るい気持ちに、失恋ソングなら寄り添って前向きな気持ちに、など)にいかに持っていくかが良し悪しを決めるポイントになってくると思っていて。
そのときの心情に合ったものが特に刺さるわけですが、演劇は上記の2つに比べると浴びる時間が長い分、そのあとの余韻も長い印象です。その余韻の中で自分の気持ちを整理したり、将来について考えてみたり、そういう活動がしやすいのがいいところなんじゃないかなと思います。


いろいろ述べてきましたが、ここまでの話は全てわたしの個人的な意見ですし、わたしが音楽や美術にそこまで詳しいわけではないので、「こういう苦悩がある!」「コスパの悪さなら負けない!」みたいな意見がありましたら、ぜひ教えてください。

でも言葉にしてまとめてみると、こうして活動していく上で、演劇ってすごく宣伝、普及に不向きな気がしてしまいます。

全然うまく行く気がしません。どうしたらいいか毎日悩んでいます。演劇で生きるのがあまりにも選択としてハードモードすぎる。

こういうとき、いつも音楽か絵ができればなってほんとに思います。
もっと手数が増えたらやりようがあるんじゃないかって。まず認知してもらえるきっかけになるんじゃないかって。

いやその人たちにも、もちろん苦悩や大変さはあると思うのですが。
隣の芝生は青いってやつですね。


……でも音楽やってる人と絵描いてる人が「演劇できればよかったな」って言ってるのを聞いたことないから多分、そういうことなんでしょうね。

何となくお察しかと思いますが、わたしは何か書こうとすると、どんどん言いたいことが増えて文章が長くなってしまいがちなので、なんだかんだ言っても演劇の長さはむしろ向いているのかもしれませんね。


有紀佑としての活動は始めたばっかりですが、とにかくいろんなところで存在をアピールし続けたいと思っています。それでちょっとでも演劇に興味を持ってくれる人が増えたら、一番最高だと思うのです。


引き続きよろしくお願いします。

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