出来事に良いも悪いもない~あるのは自分の判断だけ
昨晩、NHK・Eテレで放映された「スイッチインタビュー」という番組に、精神腫瘍医の清水研先生とジャニーズの関ジャニのメンバーである安田章大さんが出演されていました。
癌患者とその家族の心のケアをされている清水先生のご著書は、友人から聞いて読んでいたので、またそのことをお話しする機会もあるかと思いますが、今回は安田章大さんの言葉で心に残ったことがあったのでご紹介したいと思います。
安田さんは、2017年に脳腫瘍の大手術を受け、その後も術後てんかんでお風呂の浴槽内で倒れて溺死しそうになったところを助けられたそうです。「あのとき、100%死んでたんやオレ」、「無い人生を今も僕は歩んでいるんだ」と思ったときから、生き方が変わってきたといいます。
今までできていたことができなくなったり、過去に大事にしていたものを失くすることは辛いけど、そこはチェンジするタイミングであり、必ず好機だと捉える。その心の持ちようをコントロールできるかどうかが重要と語る安田さんは、ご本人もおっしゃる通り、もうジャニーズの可愛いアイドルではなく、「精神が富んだ、人生経験豊富なアイドル」の顔になっていました。
安田さんは、昨年末には、唐十郎作『少女都市からの呼び声』という芝居で主演を務めてます。アングラ演劇が全盛だった頃に学生生活を送っていた私も、唐十郎の芝居と聞いて懐かしくて観に行ったのですが、安田さんのエネルギーが伝わってくるお芝居でした。
その時は、彼のこと自体あまり知らなかったし、ましてや大病をされていたことなど全く知りませんでしたが、色々な体験をされた後だからこそ、今この瞬間にあれだけのエネルギーを発散し、観客を巻き込んでいくことができたのでしょう。
病気や失業、離婚など、一見辛い経験はたくさんありますが、一番大事なことは、思いっきり泣いた後は、自分の心をしっかりコントロールして、決して腐らず諦めないことです。自分のエネルギーを高く保ってさえいれば、オセロの石が裏返るように、ある日いいことに変わる瞬間があります。
その出来事が起こったときだけを見れば不幸と思えることも、少し俯瞰して長いスパンで物事を見ると、あの喪失があったからこそ、今新しいものを得ていると思えることはよくありますよね。
安田さんは、「ありのままの自分の体験を語ることで、同じような体験をしている人たちの勇気や希望につながれば」と言っていました。
それを聞いて、彼は自分の病気の体験を通して、人生が大きく変わり、きっと将来、素晴らしい役者としても活躍するのだろうと楽しみになりました。