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アカデミー賞最有力「グリーンブック」のタイトルに隠された秘密とは?

今日紹介する映画は2019年3月1日に公開された「グリーンブック」。

あらすじなどはもうすでに様々サイトに載っているのでそちらをご覧ください。

今日紹介するのはタイトルの「グリーンブック」についてです。

グリーンブックと聞いてどんなことを連想するでしょうか?

私はこの映画や時代背景などを全く知らない状態で映画を見たので、はじめタイトルの意味について考えることすらしませんでした。

タイトル「グリーンブック」に隠された秘密とは?

「グリーンブック」というのは略語で正式には"The Negro Motorist Green Book" "The Negro Traveler's Green Book" "The Traveler's Green Book" と言います。

グリーンブックは、端的にいうと人種差別が残る時代のアメリカにおけるアフリカ系アメリカ人のための旅行本です。

「グリーンブック」の歴史的背景

20世紀半ば、アメリカでは経済的・技術的発展により車を手に入れ、さらに自由に使えるお金や余暇を楽しむ余裕を持つ人が増えました。

それに伴い国内の観光産業は盛んになり、観光客用のモーテルやレストラン、アトラクション施設などはより良い旅を求めるアメリカ人のニーズをきっちりと掴むことになります。しかしながら、アフリカ系アメリカ人にとってはあまり関係のないことでした。その当時はジム・クロウ法(※)が適応されている時代でありアフリカ系アメリカ人が旅行することは滅多になかっただけでなく、旅行するにしても常に暴力やリンチの危険と隣り合わせだったからです。

※ジム・クロウ法
1876年から1964年にかけて存在した、人種差別的内容を含むアメリカ合衆国南部諸州の州法の総称。主に黒人の、一般公共施設の利用を禁止制限した法律を総称していう。(引用元:wikipedia)

実際映画の中でも主人公の黒人ピアニスト、シャーリーが真夜中に運転中の車を止められ、警官に理由を問うと、「黒人は夜間外出禁止だから」と言われるシーンがありました。

Green Bookは一体誰が作ったの??

グリーンブックの生みの親はVictor Hugo Greenさん(以下グリーンさん)というアフリカ系アメリカ人です。グリーンさんはpostman(郵便配達員)として働いており、ニューヨークに住んでいました。彼はのちにバージニア州の女性と結婚することになるのですが、グリーンさんの実家があるニューヨークから奥さんの実家バージニア州まで約400マイルもありました。アフリカ系アメリカ人のグリーンさんにとって、この距離の移動は毎回肝を冷やしたに違いありません。グリーンさんは黒人が安全に観光や長距離移動できないことへの問題を抱えていました。

1936年グリーンさんはこの問題に立ち向かう決意をします。手始めにニューヨーク市内の「アフリカ系アメリカ人のお客様歓迎」のホテルなどをまとめた15ページからなる" The Negro Motorist Green Book"を出版します。

この初版Green Bookの需要は思っていたよりも高く、翌年にはアメリカ全土の情報をGreen Bookに載せようとグリーンさんは方向転換します。

Green Bookは次第に情報量を増していき1947年のものは80ページにも上りました。(第二次世界大戦時中は出版を停止)

映画の中でグリーンブックの役割は?

ネタバレになってしまうので、映画を見たい方はこれ以降目を通さないほうがいいかもしれません。

実は、映画の中でグリーンブックが出てくることはあまりないです。ただ、要所要所でかなり重要な役割を担っています。

僕が一番印象的だったのは、ツアーファイナルの演奏会のシーンです。

主人公のシェーンはあるクリスマスコンサートに呼ばれていました。コンサート会場について彼に用意された楽屋は、3畳ほどしかない小さくて汚い物置小屋。おまけにディナー会場に入ろうとした時、受付の人に止められ「昔からのしきたりで黒人は入れないことになっているので、お引き取り願います」と言われます。シェーンは食い下がりますが「もし私をレストランに入れるつもりがないなら、演奏会はしない」と吐き捨て、コンサートを放り投げ会場を後にしてしまいます。

その後、シェーンの運転手役の人がグリーンブックでアフリカ系アメリカ人の集まる場所を探し、そこでピアノを披露するという展開が私はとても印象的でした。

Green Book総評

私はこの映画の主人公シェーンの揺るぎない信念に魅了されました。差別されることをわかった上であえて南部へのコンサートツアーを決行したのです。なぜ差別されることを承知の上で、南部へのツアーを行ったのか。これはぜひ劇場でご覧いただきたいので、ここでは書きません。自信を持ってお勧めできる映画だと思います。

実はGreen Book、アマゾンで買えるみたいです。

参考資料・動画

☆参考動画

英語ですが、グリーンブックを知るためにとても有益な情報を与えてくれる動画を見つけました。

☆参考資料

・ジム・クロウ法https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A6%E6%B3%95

・The Green Book 
https://www.britannica.com/topic/The-Green-Book-travel-guide

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