田んぼの真ん中のボロアパートに住んでいた〜虫との闘い編〜
現在、わたしとパートナーは、あまり持ち家が欲しいと思っていない。
しかし以前、本気で持ち家が欲しくて、ハウスメーカー巡りや土地探しに奔走していた時期があった。
貯金もろくにないブラック企業勤務の我々が、それでも身の丈に合わない持ち家を欲してやまなかったのは、当時住んでいたアパートによるところが大きかったかもしれない。
田んぼの真ん中の木造メゾネット駐車場2台込み 2LDK 家賃4.5万円
当時勤めていたブラック企業では家賃補助なんぞ無かったので、できるだけ安く、かつ通勤の都合上駐車場を2台分確保できる物件を探し回った結果が上記だ。
メゾネットタイプの家は住んだ事がなかったので、一度は住んでみたいという憧れも反映されていたりする。
ここでする事になる様々な経験を、物件を選び引越してきた当時は想像すらしていなかった。
入居した我々を迎えたモノ
引越してきて間もない夜、歯磨きをしていた我々を迎えたのは、リビングの壁に貼り付く巨大な便所コオロギであった。
いやビビる。心の準備なんてできていないし、当然対処する道具もない。
でも流石に室内で野放しにできるようなサイズ感ではない。
てかこんなでかくて足長いコオロギが存在したんか。
地獄のように長い逡巡の時間ののち、都会育ちのパートナーのためにも、半泣きになりながら大量のトイレットペーパーでそいつを捕らえてゴミ箱にぶち込む。
絶対に足速いタイプのビジュアルだったから逃げられなかったのは幸いだった。
ちなみにパートナーからはご褒美として星乃珈琲店のパンケーキを奢ってもらった。
便所コオロギ討伐のご褒美がパンケーキ。
なんて相反する世界観だろう。
しかし、虫との遭遇がこれだけで済むはずもない。
その後の生活で、もはや顔馴染みレベルで相対する事になる虫がいた。
ゲジゲジである。
宿敵ゲジゲジ
奴はどうやら、益虫の類らしい。
旺盛な食欲で次々に害虫を捕食し、その対象はなんとゴキにまで及ぶそうだ。
そのため奴の天下であればゴキは出ないという。
実際、その物件に住んでいる間ゴキを見たことは無かった。
もっともそれ以外の虫については実に多様であったが…
それだけ益虫としての側面を持ちながらも、奴を到底許容できない存在たらしめるたった一つの要素が、その見た目だ。
奴はステータスの全てを”足の速さ”に全振りしているそうで、その足の長さも本数もただ素早く走る上で合理的にできている。
そのためか、ただでさえ細長い体に「そんなに要る?」レベルで足がついている。
もうちょっと外見を描写しようかと思ったが筆者の精神衛生上控えておく。
とにかくその醜悪な見た目の虫が、結婚祝いに会社の人に頂いたHotmanのバスタオルにへばりついていたのだった。
結局その時は高級バスタオルを道連れにする対処しかとれなかったが、その後奴とは幾度となく遭遇し続ける。
慣れとは恐ろしいもので、やがて奴が姿を現すと「あぁ、そんな季節か…」などと呟くまでになってしまった。
憧れの新生活はいずこへ
オシャレな家に住みたいと思っていた。
引越しというイベントに少なからず胸をときめかせ、当時知識が無いなりに昼夜インテリアサイトを読み漁っていた。
ところがどうだろう。2人で選んだインテリアの間は、ゲジゲジが元気よく駆け抜けていくコースと化していた。なんて速いんだ。
そして頭を悩ませる存在はゲジゲジだけではない。
軒先には何度となく蜂が巣を作り、紙製品にはそこを住処とする虫がわき、壁紙のクロスにも謎の幼虫が駆除すれど駆除すれど付いている。
ゲジゲジ、他の虫食ってくれるんじゃなかったのか。
もはや我が家に安寧の地などなかった。
ボロアパート暮らしについて綴るつもりが、虫との戦いという一側面だけで一編書いてしまった。
虫以外の受難については、以下の記事に記した。
読んでくれてありがとう。