生命保険の一時所得課税のメリット
石井です。こんにちは。
金融商品には、利益(儲け)に対して源泉分離課税という税金がかかりますが、今日は生命保険の満期金や一時金に対してかかる一時所得課税についてお話していきたいと思います。
ちなみに、死亡した場合の保険金は契約者、被保険者、受取人の組み合わせによって相続税、贈与税、所得税になりますが、今回は割愛します。
生命保険の解約返戻金や満期金を受け取った際(期間5年以上)、払った保険料より多く返金されたら税金はどうなるの?という事についてです。
※契約期間5年以内では生命保険であっても源泉分離課税となります。
源泉分離課税と一時所得
源泉分離課税と一時所得について簡単に説明します。
源泉分離課税とは
利益に対して20.315%が税金となります。
例えば500万投資して、1000万になったら500万儲かった事になるので
500万の利益×20.315%=1,015,750円を税金として納めます。
一時所得とは
一時所得の課税所得金額の計算式
(一時所得の金額-経費-特別控除額50万)×1/2=一時所得の課税所得額
計算式はちょっと難しく感じますが
利益(一時所得から経費を引く)から50万(特別控除)を引いて1/2したものが課税所得金額です。
例)
養老保険などで20年積み立てて、積立金総額(経費)500万が満期金1000万になった場合。
(500万利益-50万特別控除)=450万が一時所得
ですので、450万の一時所得を1/2したものをその他の所得と合算して
総所得金額から所得税を計算します。
450万×1/2=225万(課税所得金額)
その他の所得が500万であれば
500万+225万=725万
その他の所得が1000万であれば
1000万+225万=1225万
総所得金額に応じた所得税の税率と控除額は下記の通りです。
所得税の計算式は
総所得金額×税率-控除額=所得税の金額
その他の所得が500万であれば
500万+225万=725万
総所得が725万であれば、23%が税率なので
((725万×23%)ー63.6万)× 1.021(復興特別所得税)
=1,053,100円(100円未満切り捨て)が納税額となります。
その他の所得が1000万であれば
1000万+225万=1225万
総所得1225万であれば、33%が税金なので
((1125万×33%)-153.6万)× 1.021(復興特別所得税)
=2,559,100円(100円未満切り捨て)が納税額となります。
簡単に言うと
儲けに対して50万引いて、半分にしたものをその他の所得と合算して
所得税を払うという仕組みです!
一時所得のメリット
説明が長くなりました。。
ここからやっと。一時所得のメリットについてです。
単純に源泉分離課税と一時所得で単純に税率を比較すると
源泉分離課税は一律20.315%なのに対して
一時所得は総所得によって税率が変わります。
増えた分(利益)から50万を引いて、1/2したものをその他の所得と合算して計算するため。
年間の総所得が1800万以上4000万以下の場合だと、所得税率40%なので
源泉分離課税と近い税率となります。(増えた分の半分の課税)
総所得が1800万以上であれば、そこまで大きな差はありませんが、それ以下であれば、源泉分離課税よりも税率は低くなります。
例えば、生命保険の満期金や解約返戻金などを、老後の年金所得のタイミングで受け取ればかなり低い税率で、さらに50万円の特別控除も使えるため
源泉分離課税と比べ、かなりのメリットがあります。
※一般的な年金収入は150万~200万(税率5%~10%)
さらに50万の特別控除がある。
この特別控除の50万円は、毎年(1月~12月)で一度リセットされるので
毎年使えます(その年の一時所得全体で1回)
まとめ
所得税の税率が低いタイミングであれば、一時所得のメリットは大きい!
特別控除50万がある。
老後(年金収入がメイン)には税率で有利。
生命保険の利益は一時所得(期間5年以上)である。
かなりの高所得でない限り、一時所得の方がメリットが大きい。
老後の資産形成のために積み立てなどを行った場合、期間が長くなる為、
利益が大きくなりやすい反面、税金の事も考慮する必要があります。
受け取れる利息や利益に目が行きがちですが、受け取った後の税金なども
考慮すると、長期の積み立ての際には、生命保険などはかなり合理的な
仕組みではないでしょうか?
長くなりましたが、今回は以上になります。