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チラシはいらないけど、渡してほしい
わたしにはチラシを配らない不動産屋
街を歩いていると、いたるところにチラシやティッシュ配りをする人がいる。ティッシュであれば、時々もらっているものの、チラシは基本的にもらわないようにしている。チラシをもらったところで、かばんの底でしわくちゃになって息絶えるだけだからだ。
チラシ配りがいると、軽く会釈をしてさっと断るか、面倒なときはチラシ配りの手が届かない場所まで移動して通り過ぎるようにしている。
ある土曜日の昼間、駅に向かって歩いていると駅前で不動産屋がチラシを配っていた。白いワイシャツのうえに家の写真が貼られた看板をぶら下げ、はつらつとした笑顔でチラシを配っていた。駅前だから、チラシ配りを避けることができない。どうにか断って進むしかない。
不動産屋の前に来た時、忙しそうな顔をしてみた。それでも不動産屋は必死の笑顔でチラシを渡してくる……と思いきや、わたしを一瞥しただけですぐに視線を私の後方にうつし、チラシを渡す待機を始めたのだった。
「えッ、私にはチラシ配ってくれないの!?」
チラシは基本みんなに配る平等なものだと思っていたので、非常に驚いた。もちろん配られたところで結局もらわない。それでも、渡しては欲しかった、、
わたしが家を買いたい金持ちだったらどうするの?
不動産屋がチラシを配らなかったのは、おそらくわたしが幼く見えたからだろう。ただ、もし私が家を買いたいと思っている金持ちだったらどうするんだ、ということである。
本当の金持ちは、一般市民になりきって街を歩いている可能性だってある。わたしのように、幼くさえない女が、新築戸建てを「現金一括でおねがい」なんて言って、買えてしまうほどの財力を有しているのかもしれない。
もしくは財閥会長の親がいて、わたしが家で「今日もらったチラシの不動産屋、案外いいかもよ」なんて、親の財布を開くサポートをする可能性だってある。
不動産屋は、そんな輝かしい可能性を、私の見た目だけで判断をして、捨ててしまったことになった……かもしれないだ。実際私はおかねもちでも財閥の家に生まれたわけでもないけど笑、いつか、いつかはびっくりするくらい金持ちになっているかもしれないのだ。そんなちっぽけな妄想をしながら、いつも不動産屋のチラシ配りの前を通り過ぎている。