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アラサー女子が老いを感じた瞬間

26歳の秋、大好きだったトリュフチョコレートを食べて「老い」に直面した。

「浜川さんも食べる?」

隣に座る会社の先輩が差し出したのは、トリュフチョコの箱だった。打ち合わせをしたクライアントからもらったらしい。ドン・キホーテで500円くらいで売っている、トリュフが1つの袋にたくさん詰められているやつだ(ちょうど下のようなチョコ)。生チョコのように柔らかくはないけど、チョコがぎっしり感がすごく美味しい。これが大量に入っているんだから、チョコ好きにはたまらない。

チョコレート好きの私にとって、あの箱トリュフは憧れだ。ケチだから500円のチョコレートなんてなかなか買えないけれど、いつか独り占めしてトリュフチョコを頬張りたい!と思っていた。

そんな私に思いがけず、トリュフチャンスが舞い込んできた。

先輩は甘いものが苦手で、いつも苦いお茶ばっかり飲んでいる。クライアントからもらったチョコなので少しずつ食べているけど、なかなか苦しそうだ。

入社6か月の新人らしく遠慮してあまり食べずにいたけれど、「浜川さん、もっと食べていいよ」と言われたので、遠慮なく食べることにした。甘いものが苦手な先輩のためにも、たくさん食べなきゃいけない。机の間にあるアクリル板を飛び越え、先輩の机にあるトリュフチョコを食べまくった。

ところが、ここで事件が起きる。あんなに大好きなトリュフチョコがまだたくさん残っているのに、チョコをつまむ指が止まってしまった。さっきから私、水ばっかり飲んでいる。チョコはすっごく美味しいのに、どうしちゃったんだろう。

もう、食べられない。。。

この状況、前にも体験したことがあった。ふるさと納税で高級な霜降り牛を頼んだ時だ。すき焼きにしてお肉をいっぱい食べるつもりだったのに、全然食べられなかった。

つまり、私は濃厚で重たいトリュフチョコを思いっきり食べられない年齢になっていたのだ。。

あんなに好きだったトリュフチョコをたくさん食べられないなんて……。

これは紛れもなく「老い」だ。26歳、もう立派なアラサー。10代の時に大好きだった濃厚チョコは、もう思ったほど食べられないのだ。

でも考え方を変えれば、これはチャンスなのかもしれない。

自分が死ぬ夢は、深層心理的には「自分を変えたい」というポジティブな気持ちの表れだと聞いたことがある。つまり、トリュフチョコが大好きだった自分がいなくなるのは、新しい自分に生まれ変わろうとしているんじゃないだろうか??

トリュフチョコの代わりに手に入れられるのは何だろう。。。ひょっとしたらワインにハマるような、いい女になってしまうのかもしれない。

そう思えば楽しみだなぁ。

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