「定額働かせ放題」なわたしたち
わたしが勤める会社は有料会員制の割引サイトを運営している。いわゆる最近話題の「サブスクリプション」モデルだ。サブスクリプションは、日本語で言うと「定額制」や「●●円で○○し放題」を意味する。お金を払えば、決められた期間はサービスを何度も利用できるものだ。代表的なのはAmazonプライムやAppleミュージックがあげられる。(ちなみにどちらも弊社商品ではない……)
サブスクリプションのいいところは、まずユーザー視点では「お得」であるところ。会員限定でお得な特典が提供されていることもあるし、月額を払えば何度でも使えるので、ヘビーユーザーにはうれしい。
企業視点では「収益が安定する」のと「顧客を囲い込める」の2つだ。会員がやめない限り、会費が毎月一定額入ってくるため、集積が安定しやすい。そして会員でいる限り、顧客は自社商品を利用してくれる。かつ大々的な広告を打たずとも、直接顧客に情報を発信できる。顧客が満足して継続するような、特別感のあるサービスを会員向けに提供し続けられれば、サブスクリプションはとてもいいビジネスモデルなのである。
実は、最も身近なサブスクリプションはAmazonでもAppleでもない。誰もが持っており、本当はかけがえのない権利なのに、実際には軽視されてしまうことが多い。
そう、「労働力」だ。
ホワイト企業に勤めていると考える人は、この先を読む必要はない。ただ恐らく働く日本人の多くが自らサブスクリプションのサービスとなっている「定額働かせ放題」になっていないだろうか?
我が身を振り返ってみると、まさに私の労働力は「定額制」だ。週1回ある朝8時~9時のMTGは残業代に含まれない。就業中には、クライアントからの急な依頼を受けて社内調整をしたり、他部署のベテランに依頼した仕事の後追いをしたり、急に上司の雑用を頼まれる。仕事は想定よりずっと増えているのに、ここまで給料が上がる気配はない。そして終業後、残業が給料に含まれているみなし残業ため、ついさっきまで働いていた時間は定額内だ。こんな働き方を3年続けてきたけど、月額は初月とほとんど変わってない。不景気でも値上げをしない私の労働力は、とても良心的でリーズナブルだ(涙)
おそらくいたるところに、こうしたリーズナブルな定額制の働きマンがいるはずだ。
労働力が定額制なのが決して悪いことではない。でもプラスアルファがもらいたいし、逆にわたしからプラスアルファが提供できる人材になっていきたい。会社が心から満足して定額料金を払ってもらえるよう(そして定額料金を値上げできるよう)、質の高いサブスクリプションを提供したい。
※「定額働かせ放題」の言葉を初めて聞いて感銘を受けたが、調べてみると一般的な言葉だったようですね…発祥元をご存知の方いたら教えてください!