秘密の質問の「母親の旧姓は?」がなくなる日まで
パスワードを忘れてしまったとき、本人確認するために使われる「秘密の質問」。Web系のサービスに登録する時、よく設定が求められる。
秘密の質問には「子供の時のニックネームは?」「初めて見た映画は?」「出身地は?」「好きな食べ物は?」と、様々な種類の質問を設定できる。
私はたいてい「母親の旧姓は?」を選ぶ。ニックネームや映画だと答えがなにか忘れてしまう。出身地だと、神奈川県/横浜市/神奈川県横浜市/東京(東京の病院で生まれたから)と、答えがぶれてしまう。好きな食べ物は、答えるたびに変わっている可能性があるから設定しづらい。
一方で「母の旧姓は?」は、答えがブレる可能性はないので便利だ。この質問があるおかげで、パスワードを忘れたときもスムーズに再発行の手続きができている。
でも、本当はこの質問を見るたび、ちょっと悲しい気持ちになる。
「母の旧姓は?」が秘密の質問にあると、「女性の苗字が旧姓になるものだ」と言われているような気になるから。
2017年時点で、95%以上の既婚女性が夫の苗字にしている。サイボウズの青野社長のように、最近男性が姓を変えるパターンも少し見られるようになったとは言え、2020年の今も比率はほぼ変わらないだろう。実際わたしが結婚すると友人に伝えたときも、「苗字はどうするの?」じゃなくて「苗字何になるの?」としか聞かれなかったし。
だから秘密の質問のなかにも「母親の旧姓」が含まれている。
でも、女性がみな苗字を変えたいわけじゃない。私も結婚して本名は夫側の苗字にしたけど、本当は元の苗字のままでいたい。25年以上ともに生きてきた「浜川」って苗字が気に入っているからだ。だからこのnoteの名前も通販のお届け先も、会社での名前も、全部いわゆる旧姓にしている。
愛着のある苗字で生きていきたいーーー考え方によっては「ただのわがまま」に見えるかもしれないけど、わたしは自分の名前が「旧姓」と呼ばれない日が来てほしいと思ってる。そしてサイボウズの青野社長しかり、同じ思いの人も意外とたくさんいる。
ちょうど今日「#夫婦別姓」がTwitterのトレンドになった。橋本男女共同参画担当大臣が、選択的夫婦別姓を「前向きに検討する」と発言して話題になったのだ。以前から選択的夫婦別姓の議論はあったけど、ようやく動くのかもしれない。
旧姓のまま生きてもいいし、もちろん同姓にしたっていい。女性/男性関係なく、結婚しても好きな姓で生きていける世の中になってほしい。
そしていつの日か、秘密の質問から「母親の旧姓は?」が消える日が来るといいな。
※ちなみに楽天市場では「母親または父親の旧姓は?」となっていた。サービスによっては時代に合わせた質問になっていて、ちょっと安心した。性別欄がなくなる/その他が選べるみたいに、徐々に他のサービスも変わっていくと嬉しい。
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