「おとなしい」と言われるのがつらいなら、あなたなりの「おとなしい」の定義を。
「おとなしい」のジレンマ
子どものころから「おとなしい」と何度も言われてきました。大人になってからも、頻度は減ったもののやはり言われます。
「おとなしい」という言葉は悩ましい言葉です。一般的に褒め言葉のはずなのに、言われるとむしろ傷つく。もちろん、素直に喜べる人もいるのでしょう。「え?なんで傷つくの?意味がわからん」と思う人もいると思います。でも少なくとも私は、こうやって根に持ってnoteの記事にする程度には傷ついてきました。
辞書によると、「おとなしい」を人に対して使うときの意味は
1、性質や態度が穏やかで従順なさま
2、騒いだりしないで、静かなさま
(「デジタル大辞泉」より引用)
とのこと。良い意味ですよね。
ただ、この言葉は「無口」「内気」「弱気」「つまらない」といった意味合いで、ネガティブな文脈にも使えてしまいます。言う側にとってはきっと、褒め言葉なのだから言っても問題ない、悪口ではないという認識なのでしょう。その結果、非難や嘲笑のニュアンスが含まれていたとしても、面と向かって気軽に言うことができてしまう。だから悩ましい。
私が言われていちばんきつかった「おとなしい」は、「陰気」と同義と思われる「おとなしい」です。場面は、初対面やそれに近い人が集まるイベント。「おとなしいね」と言われた後には「もっと明るくしてよ」や「楽しくやろうよ」のような言葉が続きました。
はいそうですかわかりましたと明るく楽しくできるんだったら、あなたに言われなくても最初からそうしてます。他の人みたいに明るく楽しく過ごしたいって、誰よりも私が思ってます。
心底傷つき、その後も何度となく「思い出し怒り」をしていました。
「おとなしい」の背景にあるもの
私にとってトラウマとも言える言葉を悪気なくかけてくる人に対して、怒りの感情しかありませんでした。人見知りで口下手なことがどれだけ苦しいかわからないのか、と。
ただ、冷静になってよく考えてみると、決して「おとなしい」と言ってくる人が問題なのではないような気がしてきました。
まず、これだけ「おとなしい自分」にコンプレックスを持っていたら、本当に「穏やかな方ですね」という褒め言葉の意味で言われたとしても、素直に受け取れず傷つくのではないか。
そして何より、人見知りで口下手で、イベントのような盛り上がるべき場面でそのように振る舞えない私は、大なり小なり周りの人に気を使わせてしまっているのではないか。自分のことで精いっぱいで、周りへの配慮や感謝の気持ちが欠けてはいなかっただろうか。
「おとなしい」性格自体は変えられなくても、変えられる部分があるように思えてきました。
傷つかない「おとなしい」の定義
「おとなしい」は、人の性質を表す言葉のひとつに過ぎないはず。誰かに言われた「おとなしいね」に「内気」「弱気」のような嘲笑のニュアンスが含まれていたなら、放っておくなり「そんなことはない」と言い返しておとなしくないことを示すなりすればいい。「無口」「つまらない」のような非難のニュアンスが含まれていたなら、気を使わせてしまっていることに感謝・謝罪しつつ改善策を考えればいい。人格を否定されたとか思わなくていいのです。
自戒を込めて書きますが、「おとなしい」と言われて傷つく人ほど、その人こそが「おとなしい」という言葉に対してネガティブなイメージを持っているのではないでしょうか。そして、その言葉をかけられたときに、拒否反応が過剰に出てしまうのではないでしょうか。
「おとなしい」のイメージを、本来のポジティブなイメージに・・・というのは難しくても、せめてプラスでもマイナスでもないニュートラルなものに変えられれば、言われたときのつらさが和らぐ気がします。
私と同じように、「おとなしい」と言われるのがつらい方がいるなら。
自分だけの「おとなしい」の定義を考えてみませんか?
辞書の定義より自分にしっくりくる定義を。
「おとなしい」と言ってくる人の定義に引っ張られない、自分の軸が通った定義を。
そして、「おとなしい自分」も悪くないな、と思える定義を。
私の定義はこれです。
【おとなしい】
1、 人や環境と心の距離が縮まるまでの期間の、言動のぎこちないさま
2、 本質を内に隠しているため、表面上は静かでときに物足りなく映るさま
なじむのにすごく時間がかかるけれど、なじんでしまえば「おとなしい」どころかむしろがさつ。自分のことをあまり話さないけれど、内面は結構いろいろ詰まっている。これが私のおとなしさ。
まあ良くはないけれど、そんなにひどくもないよね。そう思えたらいいのです、きっと。
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今回の記事は、こちらの企画に参加したものです。
企画の趣旨に添った文章になっているか自信がないのですが、「おとなしい」をテーマに書こうと思い立ち、書き出したら止まりませんでした。
自分の内にあるものを引き出し掘り下げる機会になる、おもしろい企画だと思います。
ひでさん、ありがとうございました。
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