ナンバー「3」
中学一年生の頃の記憶。たぶん入学してひと月も経っていない頃だったと思う。
美術の授業で「体操着につける自分のゼッケンを書く」という課題があった。
1から9までの、4桁をゴシック体で書き、その後は各自で体操着に縫い付けるという流れ。
2年生になるまで、この先一年間ずっと付けることになる。
「絵じゃなくて数字だし、色は黒で塗り潰すだけだから、楽勝だろうな~」そう思っていた。
生徒それぞれが、方眼用紙に下書きをしながら作業をしていた。一年生らしい静けさが広がる美術室。
そんな中、ある時、声の大きな男子生徒が話し始めた。
男子A「うは~!3が一番難しい!」
男子B「ウチのクラスの33番って誰だよ(笑)」
男子C「1組の奴いいなー」
男子生徒の声につられて、クラスメイトも集中力が切れ始めてワイワイガヤガヤしてくる美術室。
女子A「ほんと、3って描きづらいよね」
女子B「でも、ウチら3組だから仕方ないね(笑)」
私はといえば、黙々と作業することは昔から嫌いではなかったので、
この時も黙々と、描いたり、消したり、整えたりを繰り返しながら、みんなと同じように格闘していた。
諭吉心の声「ほんと3ってムズイ。 なんなの3って!」
一年生は全クラスで8組までだった。
12345678。直線と斜線と曲線からなる数字。分解すると丸と棒から出来ている数字。
1−4−7は、画的に似ている。直線と斜線の組み合わせで、割と書きやすさがあると思う。
6−8になると、曲線、または円が入ってくる。
2ー3−5。これらにも曲線があり、余白との塩梅が難しくなってくる。
クラス内の番号は男子の1番から始まり、確か女子は40番台まであったように思う。
やがて、各自の生徒が自分の課題に取り組み、清書を終え、晴れて体操着につけて体育の授業やマラソン大会、体育祭等で、自分で描いたゼッケンを胸に一年間を過ごすことになるのだった。
体操着を着る機会がある度に、自分が少し誇らしい気がした中学生時代。
私の番号は「33」。数字の「3」についての、ずっと昔の思い出話。
苦労の末に成し遂げた事は、他人にとっては些細なことでも、時折記憶が蘇り、
当人を支える力になるというお話。
きっと、誰にとってもそれぞれの数字で得意不得意があって、
おそらく体験した当人にしか分かり得ない、辛みや密かな喜びがあるものなんだろう。
どの数字も全部なくてはならないし、1から0まで全部が大切な数字。
全国の学校で、「333」を描いた先輩達や後輩達も、同じ思いだったのかなぁ。
同窓会には行ったことはないけれど、333会にならば、行ってみたい気がする今日この頃。
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