【声劇フリー台本】ホムンクルスと少女

無邪気で可愛い少女と、その友達のホムンクルスの台本です。
いずれも一人用台本となります。

若干の狂気ですのでご注意ください。

ホムンクルスの性別は問いません。
少女は幼い声で演じてください。
パパはパパです。

ご利用の際は利用規則をご一読くださいますようお願い申し上げます。


【利用規則】


◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。

 商用・非商用問わずご利用いただけます。
 ご自由にお使いください。

 利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。

 音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名:影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
(@yukitora01)


 配信でのご利用も可能です。
 配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。
 また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。

 台本のアレンジはご自由に行いください。
 便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。


◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。


【台本 side少女】


 あのね、あのね!
 パパが、『良い子でいっぱい頑張ったら』プレゼントをくれるんだって!
 嬉しいわ。楽しみだわ!

 パパは、どんなものをくれるのかしら?
 ワクワクするわね。
 ね、アナタもそう思うでしょ?

 分からない?
 そうなのね。でも、いつか分かる日がくるわよ。
 だから今日も、私と一緒に遊びましょ!


 ねえねえ、今日のお菓子、すっごく美味しいわね!
 アナタもこれ、好きなんでしょ?
 ふふふ、私と一緒ね!

 え? どうしてそう思ったのかって?
 だってアナタ、今日はいつもよりも嬉しそうなんだもの。
 またこのお菓子が出るといいわね。
 パパにオネダリしておくわ!


 なあに? 急にどうしたのかしら?
 この花冠を……私に?
 すごい! とっても綺麗で素敵だわ!

 パパに作り方を教えてもらいながら作ったのね。
 ふふ、本当に嬉しいわ。
 ねぇ、アナタがかぶせてくれる?

 どう? 似合うかしら?
 うふふ、ありがとう! なんだか、お姫様になった気分だわ。
 私がお姫様だったら、アナタは何かしら?


 今日は何を作ってくれたのかしら?
 まあ! アナタと私が好きなお菓子じゃないの!
 これ、本当にアナタが作ったの?
 すごいわ……アナタって何でも作れるのね。

 ねえ、早速食べてもいいかしら?
 だって、こんなに美味しそうなんだもの。お預けなんて嫌よ。
 アナタも一緒に食べましょ?

 とっても美味しいわ!
 うふふ、一緒に食べると美味しいものがもっと美味しく感じるわね。
 私、とっても幸せな気分だわ。
 ありがとう。大好きよ。


 聞いて聞いて!
 とうとうね、パパが私にプレゼントをくれるんだって!
 ね、パパ?

 ええ、ずっと楽しみにしていたんだもの。
 ありがとう。どんなものをもらえるのかドキドキしているわ!
 ねえ、パパ? 早くプレゼントを見せてほしいわ。
 プレゼントは何かしら?

……え? 『たましい』?
 本当に!? 本当にいいの!?
 嬉しいわ! 本当にありがとう、パパ!

 ええ、私とっても頑張ったわ!
 頑張ってお世話して、とっても美味しそうな『たましい』に育てたわ!
 それを食べていいなんて……うふふ、パパ大好き!

 ふふ……大丈夫よ、怖いことなんて何にもないわ。
 だってアナタ、私のこと大好きでしょう?
 私も、アナタのことが大好きよ。食べちゃいたいくらいに。
 これから、アナタは私の一部になるの。それって、とっても素敵なことよね。

 ねえ、パパ。残った身体はキラキラで可愛いお菓子みたいにして飾って欲しいわ!
 いいでしょ? パパ。おねがい。

 ありがとう! 食べた後も楽しみだわ!

 ねえ、早速食べてもいいかしら?
 だって、こんなに美味しそうなんだもの。お預けなんて嫌よ。

 それじゃあ……いただきます!


【台本 sideホムンクルス】


 ボクは『ほむんくるす』っていうんだって。
 『ほむんくるす』がなんなのか分からないけど、『おじょうさま』と一緒に過ごせばいいんだって。
 そう、『パパ』が教えてくれた。

『パパ』が『おじょうさま』にプレゼントをくれるんだって。
 うれしい……って、なあに?
 わくわく? よく分からないけど、『おじょうさま』は笑ってる。

 そっか、ボクにもいつか分かる日がくるんだね。
 うん、一緒に『おじょうさま』と遊ぶよ。


 おじょうさまと毎日お菓子を食べる。
 今日のお菓子を食べたら、いつもよりも顔がふにゃってした。なんだろう?
 『好き』?

 どうしておじょうさまはそう思ったの?
 そっか、顔がふにゃってするのは、嬉しいからなんだね。
 『好き』だと嬉しくなるんだね。
 また、このお菓子食べられるの? もっといっぱい食べたい。

『ホムンクルス』は人によって造られた人間のことらしい。
 ボクはパパによって造られたんだって。
 お嬢さまやパパとは違って、本当の人間じゃないけれど、ボクはそれでもいいと思った。
 だって、パパに造られたからボクはお嬢さまと一緒に居られるんでしょ?
 お嬢さまと一緒に居られるのなら、ボクはなんでもいい。


 ねえ、お嬢さま。渡したいものがあるんだ。
 この前、お嬢さまが『かわいい』って言っていた花を使って花冠をつくってみたんだ。
 お嬢さまに、似合うと思って……
 パパにつくり方を教えてもらって、ボクひとりで作ったんだよ。

 うん、お嬢さま、すごくかわいい。
 お嬢さまは、ボクのお姫さま。


 今日はお菓子を作ったよ。
 お嬢さまも好きって言っていた、あのお菓子。
 お嬢さまの喜ぶ顔が見たくて、頑張って作ってみたんだ。

 美味しい? そっか、よかった。
 食べてもらえるかどうか、すごくドキドキした。
 ボクも、お嬢さまと一緒に美味しいものが食べられてすごく幸せだよ。

 ボクは、お嬢さまのことが大好き。


 そっか、とうとうプレゼントがもらえるんだね。
 よかったね、お嬢さま。
 嬉しそうなお嬢さまを見ていると、ボクも嬉しくなるよ。

 プレゼントは何だろうね? ボクもなんだかワクワクしてきた。
 本当に、ボクにも分かる日が来たね。
 なんだかボクまでプレゼントをもらった気分。

……え? 『たましい』?
 『たましい』って、なんの……?
 待って、待ってよ、お嬢さま。
 頑張ってお世話して、育てた『たましい』って、もしかして……

 い、嫌だよ! なんで、どうして!?
 ボクはもっとお嬢さまと一緒に居たい!
 ねえ、どうしてパパもそんなことを言うの!?

 嫌だよ、怖いよ、助けて! ボクはまだ死にたくない!
 お嬢さまのことは大好きだけど、食べられたくない!
 ボクのことをそんな目で見ないで!

 いやだ、いやだよ! 痛い……ッ!
 助けて! 誰か、誰か──ッ!

 う、あ……あ、ああああああああああああああああ!


【台本 sideパパ】


 私の娘は少々偏食家だ。
 甘やかしすぎてしまったからだろうか……しかし、可愛い娘を見ているとついつい好きなものをくれてやりたくなるものだ。
 好きなものを食べて幸せそうな顔をする娘のなんと愛らしいことか。

 だが、成長するにつれ娘は段々とグルメになっていった。
 お陰で、私は『食事』の準備に苦労するようになってしまった。
 このままでは、娘が満足するようなものを食べさせてやることが出来ない。
 娘の笑顔を曇らせることになってしまう。

 優しい娘だから、きっと多少口に合わなくとも喜んで食べてくれるだろう。
 しかし、私が見たいのは心の底から喜ぶ娘の顔だ。
 その為ならば、私はどんなことだってしてやろう。

 ああ、そうだ。
 せっかくだから、娘と一緒に『食事』を作るのも良いかもしれない。
 娘に一度提案してみよう。


 娘は今日も『食材』の世話をしている。いい子だ。
 私には『食材』の用意はできても、その世話は出来ない。
 娘に提案して正解だった。

 どうやら娘には『食材』の世話をする才能があるらしい。素晴らしいことだ。
 『食材』が少しずつ変化していっているのがよく分かる。
 このままうまくいけば、娘は最高の『食事』が出来るかもしれない。

 ならば、私も出来得る限りの助力をしよう。
 『食材』の世話はすべて娘がみるということにはなっているが、手伝わないとは言っていないからな。
 娘の為に用意した花畑を『食材』に荒らされるのは正直不愉快だが、娘の為と言うのだ。許してやろう。
 それに、優しい娘は『食材』が作ったものに対して素直に喜ぶだろう。
 私はまだ娘にプレゼントをやることはできないから、大目にみてやろう。


『食材』の娘を見る目が随分と変わった。
 烏滸おこがましいと言わざるを得ないが、娘の為になるのだ。認めてやろう。
 それに、『食材』と接している時の娘も随分と楽しそうだ。

 そろそろ、収穫時しゅうかくどきだろう。


 娘よ、よく頑張ったな。パパとの約束を覚えているか?
 ああ、そうだな。
 『いい子でいっぱい頑張ったら、プレゼントをあげよう』と言ったな。
 今日がそのプレゼントを渡す日だ。

 ははは、そんなに喜んでくれるか。
 お前がそうやって嬉しそうにしていると、パパは幸せになるよ。

 まあ待ちなさい。そんなに焦らなくても『プレゼント』は逃げないさ。
 お前へのプレゼントは、そこのホムンクルスの魂だよ。
 今からホムンクルスの魂を取り出してやるからな。

 ああ、本当だとも。
 お前が頑張って育てた、『恋愛』の感情を持つ魂。
 ずっと食べたかったんだろう?

 ん? 残った身体を飾りたいだって?
 そんなにこのホムンクルスが気に入ったのか。
 分かった分かった、パパがなんとかしてやろう。
 じゃあ、あとで飾ることも考えて、綺麗に殺してやらないといけないな。

 さあ、たくさん召し上がれ。

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