【声劇フリー台本】深海の住人
深海の住人による陰鬱お気持ちポエム台本です。
情緒不安定なのでご注意下さい。
ご利用の際は利用規則をご一読くださいますようお願い申し上げます。
【利用規則】
◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。
商用・非商用問わずご利用いただけます。
ご自由にお使いください。
利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。
音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名:影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
(@yukitora01)
配信でのご利用も可能です。
配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。
また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。
台本のアレンジはご自由に行いください。
便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。
◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。
【台本】
ここは深海。
昏い闇い海の底。
ぼくはここで独り。ずっと独りでここにいる。
上を見てみると、ほんの少しだけ光が見える。
光の中ではみんなが楽しそうにしている。
キラキラ輝いていて、楽しそうで、羨ましい。
ぼくもあの中に入りたい。
そう思って少しだけ光に近づこうと思ったこともあった。
だけど、ぼくは光には届かなくて、そこまで上がることも出来ず、また海の底へ沈んでいった。
光の近くは怖い場所だった。
鋭い刃がいくつも向かってきて、気を抜いたらずたずたにされそうだった。
だから、あんなところに届かなくてよかったんだ。
あんなところに、行かなくて良かったんだ。
ここはとっても静かな場所。
光の差さない、暗くて静かで心地の良い場所。
心地良いから独りでも大丈夫。
ここに居る方が気が楽だから大丈夫。
ここがぼくの居場所だから、ずっとここにいて大丈夫。
そういうものだから、大丈夫。
大丈夫。そう、大丈夫。
何度自分にそう言い聞かせているか分からない。
だって、そうでもしないとこんなところに独りでいる自分があまりにも惨めで、重たい何かがぼくを更に深いところへ堕としていきそうで。
見えないふりをしていたものがドロリドロリとぼくに纏わりついてくる。
濁ったどす黒いものが、ぼくの中をいっぱいにする。
ああ、ああ。溢れ出てしまう。
無意味で無価値で汚らわしくて浅ましいものが、ぐらぐらと頭を揺さぶってくる。
ぼくは。
僕は私は俺は。
どうして、こうなのだろう。
ごく稀に、気まぐれな光がここまで差し込んでくるときがある。
その光に触れてみようとすると、身を焼くほどの痛みがぼくを襲った。
痛い。
痛くて苦しくて辛い。
ぼくは光から逃げ出した。
絶対に光の差さないような場所まで逃げて逃げて逃げて、そして自分に呆れた。
なんて滑稽なのだろう。
光の中に行きたいと、あのキラキラの中で楽しく過ごしたいと懲りもせず願うのに、こうして触れることすら出来ないのだ。
挙句の果て自分から逃げ出してしまうのだ。
ならば最初から願わなければいいのに。
こんな想いなど、捨ててしまえばいいのに。
ぼくなんか、消えてしまえばいいのに。
ここは深海。
昏い闇い海の底。
ぼくはここで独り。ずっと独りでここにいる。
ずっとそうしていろ、と自分を嘲りながら、ぼくはそっと、自分の首に手を伸ばした。
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