【声劇フリー台本】いつもの通話

日課の通話をしていたらうっかり寝落ちしてしまう一人用台本です。
この台本は男性が演じてください。

《》の箇所はそのままでもお読みいただけますが、お好きなお名前などに変更していただいてもお楽しみいただけます。

ご利用の際は利用規則をご一読くださいますようお願い申し上げます。


【利用規則】


◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。


 商用・非商用問わずご利用いただけます。
 ご自由にお使いください。


 利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。

 音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名:影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
(@yukitora01)


 配信でのご利用も可能です。
 配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。


 また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。


 台本のアレンジはご自由に行いください。
 便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。
 性別変更のみ不可とします。
 この台本は男性が演じてください。


◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。


【台本】


 どうしようもなく目が離せない奴がいる。

 そいつは少しでも目を離せばふらふらとどこかに行ってしまうような奴で。
 ふとした拍子にもろく崩れてしまいそうな危うげな奴で。
 だというのに、隙あらば俺から逃げようとする。


 なあ、お前のことだよ《トーヤ》。


 俺との会話が楽しいと可愛らしいことを言われてから、こうして夜に《お前》と通話をすることが日課になった。
 毎日《お前》の声を聞いていれば、いくら鈍い俺でも些細ささいな変化に気付くようになっていく。
 俺と話している内に、《お前》の声が明るくなっていくのが分かると正直俺も嬉しい。
 ああ、今日も通話をしてよかったと、そう思えるんだ。
 そんな感情を抜きに、純粋に俺だって《お前》と会話するのが楽しいというのもあるが。


 通話の中で《お前》は俺への好意を惜しげもなく晒してくる。
 俺の声が好きだと。
 俺のことが好きだと。
 俺と一緒にいるのが楽しいと。

 全く、それだけの好意を俺に向けておきながら逃げようとするんじゃねえよ。
 困った奴だな、《お前》は。
 まあ、逃がす気は更々ないが。

 俺だって《お前》のことを少ならからず思ってる。
 《お前》の声が少しでも沈んでいれば心配だってする。
 分かっておけ。隠そうとするな。



 今日も今日とて通話を繋ぐ。
 ああ、くそ。今日はやけに眠い。
 会話をしていたいのに、抗えない睡魔が絶えず襲い来る。

 俺の声を聞いて、いつもと調子が違うと気づいたのだろう。
 俺を気遣うような言葉が会話の中で幾度いくどとなくかかる。
 最近の構図とは真逆の立ち位置になってしまったな。
 俺も無理できないってことだ。


 ああでも、良かった。
 今日の《トーヤ》の声は明るく聞こえる。
 《お前》の声が沈んでいないというだけで嬉しく思う俺が居るんだ。
 ははっ、俺も大概だったな。


 安堵したからか、眠気がより一層重くのしかかってくる。
 ダメだ、耐えられそうにない。
 これはもう素直に申告したほうがいいだろう。


 恐らく眠ってしまうであろう旨を伝えると、《お前》は「そのまま寝てくれて構わない」と言った。
 そうか……それなら、その言葉に甘えてしまおうか。


 ゆっくりした瞬きを繰り返しながら《トーヤ》の声に耳を傾ける。
 通話を続けている内に、俺も《トーヤ》の声が随分と耳に馴染んだらしい。
 耳に入る声が心地いいと感じている内に、意識は微睡まどろんでいく。

 たまにはこういうのも悪くない。


 明日も、《お前》が元気でいてくれるといいな。
 そしたら、明日も楽しくくだらない話をしよう。


 それじゃあ、おやすみ。《トーヤ》。

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