【朗読フリー台本】戒めのようなもの
なんのまとまりもない思考の吐き散らしです。
ご利用の際は利用規則をご一読下さいますようお願い申し上げます。
【利用規則】
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ご自由にお使いください。
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配信でのご利用も可能です。
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また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。
台本のアレンジはご自由に行いください。
便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。
◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。
【台本】
……おぇ。
中からドロリと溢れた液体のようなものと、強すぎるチョコレートの味に思わず顔をしかめた。
後味が気持ち悪い。こんなことなら食べるんじゃなかった。
嗚呼、胃が痛い。
食べるという行為が嫌いになっていきそうだ。
耳から入る全ての情報に苛立つ。
人の話し声、空調の音、ガサガサという紙袋の音、キャビネットを開く音、プリンターが起動する音、電話の鳴る音、ビニール袋の音、窓の外から聞こえる蝉の声、キーボードを叩く音、ペンのキャップを開ける音、カチカチとボールペンを鳴らす音。
音という音の全てを遮断したくて仕方ない。
蛍光灯の光が痛い。
憎い程に晴れ渡った空を見ていると目が痛い。
どこもかしこも光にあふれていて逃げ場がない。
人と関わりたくない。
名前を呼ばれたくない。
話しかけられたくない。
どうでもいい話など聞きたくもない。
でも関わらなければいけない。
必要であれば名前を呼ばれてしまう。
話しかけられてしまう。話を聞かなければならない。
仕方ない。そういう生き物だから。
だから、いつものようにハリボテの自分を作り上げて、言われたことに応じていく。
光の差さない薄暗くて、余計な音の聞こえない静かな場所で、余計なことを考えずに横になっていたい。
そうしていたらきっと心地よく眠気に襲われて、そのまま気持ちよく眠れそうな気がするんだ。
そんなことを漠然と考えるが、身体の至る所からする痛みが眠気を悉く打ち消していった。
疲弊していく。擦り減っていく。
集中なんて出来るわけも無く、止まった手は動き出そうとしない。
思考は上手くまとまらず、綴った言葉は酷く乱文で悪文だ。
だというのに何かを綴らずにはいられないだなんて、これは最早病気の域だ。
やめておけばいいのに、書かないということが出来ないんだ。
それらしい、崇高な精神など持ち合わせていない筈なのに。
一体何を気取っているのやら。
いっそのこと嗤ってくれ。
飾り立てる言葉を無くしてしまえば、こんなにもつまらなくてくだらない言葉しか吐き出せないのだ。
それでも書くという行為そのものにこうして縋ってしまうんだ。
意味なんて無い。
伝えたいものも無い。
込めた思いも無い。
面白味も何にも無い。
中身なんてあるわけが無い。
ただ、浮かんだ言葉をひたすら吐き出しているだけ。
怠惰で無気力な僕のひとりごと。
日記にもなり得ない、ただの吐き散らし。
こんなものに意味なんて無いけれど、後から読み返したときにいい戒めにはなりそうだ。
精々、恥ずかしい思いをすればいい。