【BL声劇フリー台本】また会おう
夢なのか幻覚なのか分からない世界でちょっと不思議なやりとりをするBL二人用声劇台本です。
この台本は男性が演じてください。
台本では「」と【】で読み手を分けて記載しています。
《》の箇所はそのままでもお読みいただけますが、読み手の方のお名前などお好きなお名前に変更してもお楽しみいただけます。
口調、一人称、二人称の変更、アドリブはご自由に行いください。
ご利用の際は利用規則をご一読くださいますようお願い申し上げます。
【利用規則】
◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。
商用・非商用問わずご利用いただけます。
ご自由にお使いください。
利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。
音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名：影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
（@yukitora01）
配信でのご利用も可能です。
配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。
また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。
台本のアレンジはご自由に行いください。
便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。
性別の変更は不可とします。
この台本は男性が演じてください。
◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。
【台本】
「《イオ》？ 聞いてる？」
【えっ……】
【あ、ああ……悪い、聞いてなかった】
「全く、そうだろうと思った」
「《イオ》ってば、ずっと心ここにあらずって感じなんだもん」
「酷いねー、俺が目の前にいるのに他の誰かのこと考えるなんて」
「浮気者」
【なっ……】
【なんでそうなるんだ。それに、他の誰かのこと考えてたなんて言ってないだろ】
「ふーん？」
「じゃあ、俺のことでも考えてくれてた？」
【…………】
「……え？」
【まあ、否定はしないな】
「え、まじ？」
【なんだ、嫌なのか？】
「嫌なわけな……あ」
「いや、えっと……これは違くて」
「そうじゃなくって……えっと……」
【嫌じゃないのか。そうかそうか】
「ぐッ……」
「そうだよ、嫌じゃないよ」
「《イオ》が俺のことを考えてくれてるってだけで喜ぶ単純野郎ですよ、俺は」
【はははっ、素直で大変よろしい】
【……ああ、そうだな、《お前》はそういう奴だったな】
「……ん？ 急に何？ どういうこと？」
「『だった』って言い方がちょっと引っ掛かるんだけど」
【『だった』で正しいだろ】
【……お前は、《トア》じゃない】
【俺の願望がこもった幻覚なんだろう？】
「なぁんだ、気付いてたんだね」
「そのまま気付かずに俺と楽しく会話してくれればよかったのに」
【気付きたくはなかったさ】
【でもダメだった】
【なんて言えばいいのか分からないが……ちょっとした違和感がある】
「違和感？ そんなの、無いと思うんだけどなぁ」
【あるんだよ】
【俺がどれだけ《トア》のことを見てきたと思ってるんだ】
「ははっ、嬉しいこと言ってくれるじゃん」
「でも、その違和感ってちょっとしたものなんだろ？」
「だったらそんなもの、俺と話してる内に消えてくよ」
【もしかしたら、そうなのかもしれないな】
【でもそれは俺が嫌だ】
「どうして？」
「だって、俺は《イオ》の願望がこもった俺なんだろ？」
「理想の俺と楽しく会話が出来る。最高じゃない？」
【ああ、確かにそう言ったが……でもそういうことじゃない】
【俺は《トア》に俺の願望を押し付けたいわけじゃない】
【理想の《トア》と会話がしたいわけじゃない】
【ありのままの、本当の《トア》と会話がしたいんだ】
「……あっそ」
「でもじゃあ、どうするの？」
「ここから出ていくつもり？」
【ああ、勿論】
【ここから出て行って、本当の《トア》に会いに行く】
「本当の俺なんか、もうどこにもいないかもしれないよ？」
【どうだろうな、それは探してみないと分からない】
【意地でも探し出したいところではあるけどな】
「俺が、行かないでって言っても？」
【ああ、ここから出ていく】
「ありとあらゆる手を使って《イオ》を止めようとしても？」
【そのときはお前を殴り倒してでも行くさ】
「あははっ、何それ。酷いなぁ」
「でも、《イオ》のことだから本当はそんなことしないんだろ？」
「《イオ》がそういうことをする人じゃないって、分かってるからさ」
【そうだな】
【でもそれは、《トア》も一緒だろ？】
【俺が行くって決めたら、無理矢理引き留めようとはしないだろ？】
「……ズルい人だなぁ」
【そいつはどうも】
【じゃあ、そろそろ俺は行くよ】
【今度は本物と会おう】
「わかったよ」
「ばいばい、またね」
【ああ、またな】