【声劇フリー台本】カケラを集めて
一人用台本「崩れ落ちるカケラ」を二人用にした台本です。
台本では「」と【】で読み手を分けて記載しています。
「」の人は好きに泣いてください。
【】の人は自由に慰めてください。
泣き方も慰め方も一例なので、お好きなようにアレンジやアドリブを加えてください。
ご利用の際は利用規則をご一読ください。
【利用規則】
◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。
商用・非商用問わずご利用いただけます。
ご自由にお使いください。
利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。
音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名:影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
(@yukitora01)
配信でのご利用も可能です。
配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。
また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。
台本のアレンジは自由ですが、台本の意味合いが大きく変わるような改変(大幅にカットするなど)は不可とします。
便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。
◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。
【台本】
「……は、ははは……」
「嫌われちゃった……」
【……え?】
「はっきり、言われちゃったよ……」
【いつ……?】
「えーっと……いつの話、だったかな……」
「先週だったかな……?」
「……もうよくわからないや」
【……そっか。そうだったんだね】
【もしかして、ずっと一人で抱えてたの?】
「……どうかな」
【そっか】
【それならまだ、つらいんじゃないかな?】
「そうだね……まだつらい、よ」
【もしよければ、僕に話してくれないかな】
【話を聞くのはできるから、さ】
「……どうしても、最後に話した時のこと……思い出しちゃうんだ……」
「声が、耳から離れなくて……っ」
【そうだと思うよ】
「っ、だめだね……また、思い出してきちゃった……」
【ダメじゃないよ】
【思い出しちゃうのは仕方ない】
【ゆっくりでいいから、話してみてよ】
「……『好きじゃなかった』って、はっきり……そう言われたんだ……っ」
【それはつらいよ……】
【そんな傷付けられ方、あんまりだよ】
【全部聞くから、いっぱい泣こ?】
【僕でよければここにいるから】
「……っう、……うぅ……」
「ごめん……ッ」
【気にしなくていいよ。大丈夫だから】
【本当に、辛かったね】
「つらいよ……ッ」
「なんで……っ、なんであんなこと、言ったんだ……っ」
「『本当は好きじゃなかった』なんて……」
【そうだね……】
【もし思ってしまったとしても、口にする言葉じゃないよ】
【どうして、君を深く傷つけるようなことを言うんだろうね】
「最初から、好きじゃなかった、なら……!」
「好きじゃ、ないなら……っ、優しくしないでくれればよかったのに……!」
「なんで、なんで好きでもないのに、優しくしたんだ……!」
「好き、じゃないなら、『好き』って、言うなよ……!!」
「あれも! あれも、あれも、あれも……!」
「あの言葉も、全部……」
「全部、嘘だったって、そういうこと、かよ……ッ」
【そう思うよね。そう思いたくなるよね】
【……でもね、僕はね、思うんだ】
【何でわざと君をひどく傷つけるような事を言ったのかはわからないけれど】
【その時、その瞬間に君に優しくした、君に『好き』だと言ったその心は本当だったんじゃないかなって】
【全部が全部、嘘だったわけではないんじゃないかなって】
「ッ、う……うぅ……ぁあ……ッ」
「こんな、こと……もう思い出したくない……っ」
「もう、忘れたいのに……ッ」
【忘れられないよね】
【それだけ君が、本当に好きだったってことなんだから】
【難しいよね】
「忘れさせてくれよ……ッ」
「せめて、嫌いにならせてくれよ……!」
「嫌いに、なれたら……っ、そしたら、こんなに苦しい思いもしなかったのに……ッ」
【ずるい人だよね】
【君がこうやって苦しむって分かってないんだ】
【君をこうやって泣かせてるって知らないのが何よりも許せないよ】
「もう嫌だ……嫌だよ……!」
「こうやって泣くのも疲れたんだ……」
【そりゃ疲れるよね。しんどいよね】
「何もかも、全部……全部、失くしてしまえたらいいのに……」
「記憶を全部失くせたら……楽になれる気がするんだ……ッ」
「もう、楽になりたいよ……っ」
【僕に出来るなら、今すぐにでも君を楽にしてあげたいよ】
【君が望む通りに、なんでもしてあげたいって、そう思うよ】
【悔しいね……君がこうして抱えなきゃいけないんだから】
「ッ、うぁ、あ……っ! あぁ、あ……ッ」
「楽しかったこと、とか……」
「思い出が、消えないんだ……っ」
「どうしたら……どうしたらいいんだよ……!」
【……消したいって、思ってる?】
「消したく、ないよ……ッ!」
「でも消したい……消さなきゃって……」
【そうだね……それなら、無理に消さなきゃって思わなくていいよ】
【消えた方が楽かもしれないけど、それは君にとって大切なものでもあるんだから】
【大切なものを手放そうとしなくていいんだよ】
「あんなこと言われても、まだ……」
「まだ、あの頃に戻りたいって……!」
「戻れるんじゃないかって……!」
「っ、そんなこと、無理だって……ありえないって、わかってるのにね……」
【思うよね。思っちゃうよ】
【それは仕方のないことだよ】
「……ばかみたいだ……」
【馬鹿じゃないよ】
【もし、自分が悪いって思ってるのなら、それは違うよ】
【君は何にも悪くない】
【君に今話してくれたことで悪いものがあるとしたら、それは君をこうやって傷付けた、傷つける言葉を言ったあの人だよ】
「……どうしたら、こうならなかったんだろう……?」
「どうしたら、よかったんだろうな……?」
「俺はただ、好きな人と一緒に……」
「……幸せになりたかった……それだけ、なのに……」
【君のその想いはなんにも間違ってないよ】
「……でも、ダメだった……」
【そうだね、悔しいことにね】
【あの人ってみる目がないよね】
【君みたいな人を幸せに出来る権利があったのに、それを手放すんだもん】
【なんの慰めにもならないかもしれないけど、僕は君のことが好きだよ】
【きっと、僕以外にも君のことが好きな人は沢山いる】
【だって、君はこんなにも素敵な人なんだから】
【だから、幸せになっちゃいけないって思わないで】
【君が幸せになれるよう、祈ってるから】