【声劇フリー台本】崩れ切る前に

崩れゆくものに相手を追加した二人用台本です。

台本では「」と【】で読み手を分けて記載しています。
「」の人は自由に泣いて、【】の人は自由に慰めてください。
お互いの名前を呼んでもいいと思います。

ご利用の際は利用規則をご一読ください。


【利用規則】


◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。

 商用・非商用問わずご利用いただけます。
 ご自由にお使いください。

 利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。

 音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名:影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
(@yukitora01)

 配信でのご利用も可能です。
 配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。

 また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。

 台本のアレンジは自由ですが、台本の意味合いが大きく変わるような改変(大幅にカットするなど)は不可とします。
 便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。


◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。


【台本】


「はは……ダメだね、本当に」
「こんなんじゃダメだって、分かってるのに……」
「泣くぐらいなら、他にやることがあるだろうって、思うのに……っ」

【どうしてそう思うの?】
【泣きたいときは泣いたらいい】
【泣けるなら泣いた方がいい】

「だって……泣いたって、泣いたところで何も」

【だからって我慢することはない】
【吐き出しなよ。溜め込まずに】

「……ぐちゃぐちゃ、なんだ」
「せっかく、優しい言葉をもらったのに……!」
「それも、うまく受け入れられなくて……っ」
「それ、どころか……っ、つらくて……」

【優しい言葉がつらい?】

「つらい……受け入れられないのも、そんな言葉をもらう資格はないって思うのも、全部……っ」

【言葉をもらう資格なんて最初からないよ。大丈夫】
【こういう言葉を掛けたいから言ってるだけ】
【言葉を受け入れられないのは仕方ない。そういうこともある】

【それよりもほら、頭の中のぐちゃぐちゃを吐き出してごらん?】
【どんな言葉でも大丈夫だから】


「……僕だって、好き、って言われたい……」
「好かれたい……嫌われたくない……っ」
「だから嬉しい、その言葉が嬉しい、筈なのに……」

【好きって言われるのもつらい?】

「痛いんだ……」
「嬉しいと同時に、痛くて……っ」
「つらくて、仕方ない……」
「好かれる理由がないから……」
「好きって言ってもらえるだけの、価値が提示できないから……っ」
「僕には、何も無いから……!」

【ああ……そういうことか】
【それなら大丈夫だよ。なんの心配もいらない】
【君のことが好きだから好きって言うんだよ】
【何もないなんてことはない。提示しなきゃいけない価値なんて気にしなくていい】
【もう、好きって言われるだけの理由が君には十分にあるんだよ】

「でも、知ってるんだ……好き、はずっとは続かないって」
「今までもずっとそうだった! いつか、誰も見向きもしなくなる……」
「だから頑張らなきゃいけないのに、もう、何を頑張ったらいいのかも分からないんだ……!」

【人が離れてくかもって思うと不安になるね】
【でも心配いらないよ】
【君は十分に頑張ってる。今までも、今も】
【だからもう、そんなに頑張らなくていいんだよ】
【頑張らなくても、君は愛される人だよ】


「……君は、いつもそう言ってくれるね」

【いつも思ってることだからね】

「でも、ダメだ……ダメだね」
「こんなこと言って……また同じことばっかり言って……」

【駄目じゃないよ】
【気にしなくていいよ】

「こうやって泣いてたら、幻滅される……」

【幻滅なんてしないよ】
【泣いて大丈夫。気にしなくていいから】

「無理だよ……駄目だよ」
「君に何度も迷惑をかけてる……」
「何回、同じことを繰り返すんだって……」
「またなのかって、言われる……そばに、居させてもらえなくなる……っ」

【迷惑じゃないよ】
【君がこうして泣いていたって離れないよ】
【ずっとそばにいる。一人にしないよ】


「みんな……みんな、凄い人ばっかりなんだ」
「僕には無いものを沢山持ってる」
「僕には出来ないことが沢山できる」
「すごいなって、尊敬してるんだ……」

「でも、だから、眩しくて」
「だから苦しくて」
「みんなに比べて、僕は!」
「……僕は、何も出来ない……」

【周りの人をそうやって尊敬できる時点で十分凄いことだと思うんだけどな】
【他人を認められるってことは誰にでも出来ることじゃないんだよ】
【それに、君は何もできなくない】
【君にしか出来ないことがたくさんある】

「今はたまたまそばに居させてもらってるから一人じゃ無い……」
「でも、僕だけだったら、何も無いから……」

【そんなことない】
【少なくとも、俺はそうは思わないから君のそばにいる】

「僕は、楽しくないから……一緒に居ても楽しませられないから……ッ」
「誰かに寄生してないと、僕はひとりぼっちになる……」
「だから、だから苦しい……ひとりぼっちになる日が怖いんだ……」

【ひとりになんかさせないさ】
【君と一緒に居て楽しいよ。自信持ちなよ】
【楽しくなかったら、俺がこうやって君と話をすることも無い】
【君は十分魅力的な人だよ】


「嫌いだよ……こんな僕、大嫌いだ……」

【ならその分、俺が君のことを好きでいるよ】

「君はそう言ってくれるけど……嫌いなところばかりだ……」
「だったら、直せばいいのにって、そう思うのにね……っ」
「直らないんだ……考えが、ずっと止まらないんだ……」
「何度も何度も言われた言葉を思い出して!」
「ダメだダメだって思い続けて!」
「また、嫌われてくんだって、悲しくなって……」

「どうしたらいい……?」
「もう、疲れた……っ、疲れたんだよ……」

【そうだね……そうやって考え続けたら疲れるね】

「こうやって泣くのも、息をするのも、何かを考えるのも、疲れた……」

【疲れるね】
【よく頑張ってるよ】
【そんなに頑張らなくていいのに】

「せめて……せめて、好きって言葉で苦しくなりたくない……」
「素直に、嬉しいって思いたい……」
「好きな人と、楽しく過ごしたい……」
「いつか嫌われるって、怯えたくない……」

【なら、安心して好きって言葉を受け入れられるようになるまで好きって言い続けるよ】
【俺からの好きって言葉がなくならないって、安心したら少しは気が楽になるんじゃないか?】

「わからない……それすらも分からないよ……」
「なんでこうなんだよ……」
「どうして、こんなこともできないんだよ……」


「……あーあ」
「また君を困らせちゃった」

【困ってないよ】
【むしろ、君の本心が聞けて良かった】
【ありがとう、話してくれて】

「こんな話を聞かされて、ありがとうって言うなんて……変なの」
「本来ならさ、やるべきことをやってから、こういうことを言えばいいのにね」

【やるべきこと?】

「こういう、わがままを言えるだけの努力って言えばいいのかな……」
「わかんないけど」
「欲求ばっかりで、どうしようもないよね」
「僕って奴はさ、本当に……」

【どうしようもなくないよ】
【こんなのも全部、わがままじゃない】
【もっと言って、甘えればいい。俺がしていいって言ってるんだから】

「……そうだね」
「君はそういう人だったね」

【ああ、そうだよ】

「ありがとう、いつも……」

【どういたしまして】
【こうやって話をして、君が少しでも元気になってくれれば、それでいいよ】
【その方が俺もうれしいからさ】

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