【声劇フリー台本】水面の世界
退廃的な雰囲気を醸し出そうとした一人用台本です。
自嘲気味になりながらお楽しみください。多分ほとんどポエムです。
何もかもを諦めたように読んでいただけると喜びます。
ご利用の際は利用規則をご一読くださいますようお願い申し上げます。
【利用規則】
◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。
商用・非商用問わずご利用いただけます。
ご自由にお使いください。
利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。
音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名:影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
(@yukitora01)
配信でのご利用も可能です。
配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。
また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。
台本のアレンジはご自由に行いください。
便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。
◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。
【台本】
水面に映った世界を眺める。
特別なことは何も起こらない、平々凡々としたひどく退屈な世界。
特に大したものもなくて、ただただ時間が浪費されていく、そんな世界。
こんな世界を眺めて、僕は何がしたいのだろう。何を思いたいのだろう。
分からない。
何も分からないし、何も浮かぶ感情はない。
水面に映った世界には、ところどころ綻びが生じている。
その綻びにこの世界は気付いているだろうか。気付くことができるのだろうか。
世界そのものが大きく破綻してしまうものでなければいいのだけれど。
なんて、言葉を僕は口にしてみるが、正直なところ、目の前の世界がどうなってしまおうと僕の知ったところではなかった。
世界はなるようにしかならない。
そういう風にしか出来ていない。
僕はただの傍観者。眺めることしか出来ない。
世界の綻びも、変化も、他人事のように見ているだけ。
水面に映った世界は今日も平坦で退屈だ。
いや、もしかしたら今日も何かが起こっているのかもしれない。
けれど、空っぽになってしまった僕にはもう、それが分からない。
水面に手を伸ばしたら、乾いた僕も少しは潤されるだろうか。
空になった僕の隙間を少しでも埋めてくれるだろうか。
そんな、淡い期待を抱きながら水面に手を伸ばしてみる。
僕の手は空を切っただけだった。
そうか、そうだよね。そんなものだよね。
水面を眺め続けている限り、僕が世界に触れることはできない。
分かっていたよ。だから、特に落胆もしていない。
ただ、そうだな。この感情と思わしきものに名前を付けるのなら、それは『呆れ』というものなのだろう。
どうしようもない僕に、どうしようもない世界。
せめて水面の向こう側が、もう少し美しいものであったらよかったのにな。
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